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第6話 イベント開始!(4) ――パーティと魔王戦

「どんどん行こうか!」


 魔王は距離を離すと様々な属性球を間髪入れず、無数に打ち出す。


 球の大きさは様々で、地面に当たった時の反応も様々だった。


 火球は火柱を上げ、氷球は地面を凍らせ、水球は周囲を水浸しにする。


 更に周囲に電撃を放つ雷球や、地面を抉ったり爆撃したりする球まであるので中々の猛攻だ。


「適当に魔法を放って当たる程、私達は甘くないよ!」


 ルユは密度の薄い箇所を選び、カナは結構ギリギリに見えるものの全弾異様な身のこなしで自力回避する。


 クロとトウカは機動力こそ無いものの、それぞれ先程の鞭とヨーヨーを合わせた様な武器を振り回し、魔法を切り裂いたり、結界での防御で防いでいる。


「でも、これじゃあ近づけないです!」


 カナが言う通り、全員避けるのに精一杯で魔王には近づけていない。


 いや、1人だけ避けながら近づいている者がいた。


「取り敢えず、私が一撃いれるよ!」


「やはり、そう来るよね。でもこれを避けられるかな?」


 魔法の軌道を読み、自身に肉薄してきたルユにほとんどゼロ距離で魔法を構える魔王。


 それに対しルユは……。


「できるよ!」


「なに!?」


 魔法はほとんどゼロ距離の上に、放射状に放たれた閃光の魔力弾だったのだが、ルユは自身の大剣に身を任せ軸にし、重みを利用して自分の体を回転させることによって、全弾避け切る。


「まずは一撃!」


「クソ、嘘だろ……ぐっ!?」


 魔王は急ぎ、杖を盾にするが間に合わず、かなりのダメージを受けた。


 魔王による魔法の猛攻は1度止む。


「っち……」


 舌打ちした魔王は即座にまた距離を取って体勢を立て直す。


 魔王のAGIは0だが、魔法で宙を移動している為、INT依存の移動になっているらしい。


 全ての行動に魔力を使用する、とことん魔法に極振りされた戦闘スタイルだが、それ故に極振りが活きている。


「逃げ足は相変わらず速いねー」


「死神対策であって本来はお前達用じゃないんだけどね……」


 体勢を建て直した魔王はもう一度杖を構える。


「それにしても、あれを避けるってどうなってるんだい君は?」


「前回は喰らったけれど、1度見てるからね。発動タイミングも射角からの軌道も全部覚えた。後はタイミングを測って事前に考えた通りに動いて避けるだけだよ。固定軌道のスキルは私には悪手って前にも言わなかったっけ?」


「はは、変態性に磨きがかかってるじゃないか。自覚はあるのかい?」


「もう慣れたよ」


 ルユもまた、武器を構え始めるのだった。


「えっと……クロ?」


 ルユと魔王は2人でお互いを削り合い始め、手が出せないのでカナはクロに聞きたかったことを聞く。


「何だ?」


「ルユのさっきの動きって……」


「ああ、ルユの強さはバカみたいな計算能力の高さを武器にしたPSだ」


「固定軌道の攻撃は勿論、追尾型もどういう精度で追っているのか本人が理解すれば相手にぶつけられたり、爆風で吹っ飛ぶ距離を考慮してカウンターを浴びせたりとか、変態的な身のこなしで戦いますよ」


「それで変態剣士……」


「本人がネカマって事もあって、その通り名が加速したな」


 その言葉にカナは食いつく。


「そうだ、その事何だけれど、ルユの中身(リアル)って……」


「何だ、気付いて無かったのか? 優冴だよ、瑠璃鐘優冴」


「え! それじゃあ妹さんは?」


「あ、それ私ですよ」


「ええっ!? ずっとクロの妹とかだと思ってた……」


「俺に兄弟はいねえよ」


「そう、なんだ……」


 そこまで話した所でルユ達の方に動きが起きた。


「いつも通り、回避不能の質量押しが一番良いな!」


「またそれかい、もうちょっと芸が合っても良いと思うよ!」


「そう言いながらあからさまに下がっているじゃないか」


 そもそも回避ができない程の密度で放つ、魔法の質量押しはルユには有効の様で、段々と彼女は押されていく。


 それもそのはず、ルユは火力重視では有るが、特化では無い。


 全プレイヤーNo.2のレベル、そしてINT極振りである魔王の魔法攻撃にはどうしても火力負けするのである。


「……!」


 的確な防御で被ダメを抑え続けるルユ。


 しかし、それにも限界はあるようで遂に攻撃を通し、大きなダメージを受けてしまった。


「これで終わりだ!」


「ぐっ……!? ふふ、私ばっかりに気を取られて良いのかな?」


 大技を放とうとした瞬間に背後に気配を感じた魔王。


 そこには、いつの間にか背後に飛び上がり拳を構えるカナが居た。


「くっ……!」


 魔王は大技を中止し、苦し紛れに速度重視のレーザー魔法を背後に放つ。


 しかし。


「っ!」


 レーザーの速度はとてもこの距離で避けられる速さでは無いのだが、カナはそのバカげた反射神経で体を逸らし、避けてみせる。


「君もかいっ!?」


 ルユに続き、本来は必中でもおかしくないはずの攻撃を避けるカナに思わず、そう叫ぶ魔王。


 実はカナもトウカの強化魔法でかなりステータスが強化されているのだが、それを抜きにしてもカナの反射神経はトッププレイヤーを驚かせるほどに異次元な戦闘センスを発揮している。


「カナ! 全部吹き飛ばしちゃえ! 【マジックリンク】!」


「【白砂姫の記憶】、【超岩蛇の咬砕】!」


 カナが紅いオーラを纏いながら拳を突き出すと魔力が大きな蛇の頭を象る……のだが今回は更に紅いオーラがその上から覆う。


 ピーッ!


 イベント終了の音がステージ中に鳴り響くのと大きく紅い蛇が、魔王を噛み砕くのはほぼ同時であった。

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