13 いざ相談!
本日六回目の更新です!
長峰真朝は自室のベッドで目を覚ました。
カーテンの隙間からは光の帯が差している。
「……んう? ……んー、よく寝た。あれ、もうお昼まわっちゃってる」
身体を起こし上半身だけで伸びをする。
まだボーっとするまま時計を見て、意識がハッキリとした。
「昨日はあれからしばらくレベル上げをして、お城に帰ってすぐにログアウトして……そのまま寝ちゃったのかな」
自らの行動を思い出そうとするが、途中で途切れている。
真朝はログアウトしてすぐに寝たのだと判断した。
暗黒四魔神や精鋭部隊と共に高難度ダンジョン≪嘆きの森≫に入ったマーサは、ただひたすらに守られていた。
≪CPO≫はパーティーメンバーだとしても一定の範囲内でなければ経験値の分配はされない仕様だ。
その為手厚い護衛の中、四魔神達がモンスターを倒すのをひたすら眺めていた。
途中からはモンスターの方を誘導し歩くことすらしなくなるという優遇っぷりだった。
しかし睡眠時間が短かったマーサには少々退屈で、しばらくすると睡魔が押し寄せてきた。
そればかりはどうにもならなかった為、深夜二時頃には狩りを撤収し、マーサはそのまま眠りについたのであった。
「あ、倉持さんから連絡来てる。えーっと……?」
手元の携帯端末には最近真朝に声をかけてきた友人、倉持からメッセージが送られてきていた。
倉持は真朝が初心者であるのをいいことに、自分に都合の良いキャラ構築を勧めた上、明らかに比率のおかしい交換を持ちかけていた。
しかし、真朝はそのことに気付いていない。
それどころか、自分に良くしてくれる友人だと好感を持っている。
『今日良かったら一緒に遊ばない?
勿論CPOでね。気付いたら連絡して』
「今日かー。そういえば、最初の街ってどうやって行くんだろう? アルディちゃんに相談してみないと……あ、まずは返信だね」
真朝は後でまた連絡する旨を返信して、携帯端末を置いた。
「準備したら早速ログインしちゃおーっと!」
真朝はすっかりCPOにハマっていた。
数分後、再び横になった真朝は早速とばかりにVR機器の電源を入れた。
▽
一瞬沈んだマーサの意識が浮上する。
目を開くとそこは魔神王アルディエルの私室であり、豪華なベッドの上で横になっていた。
ベッドの縁には部屋の主であるアルディが腰掛けている。
マーサが目を覚ましたことに気がついて笑顔を浮かべた。
「おお、起きたかマーサ。昨日はお疲れ様だったな」
「おはようアルディちゃん! アルディちゃんも寝てたの?」
「い、いや、吾輩はその、ちょっとな。気にするようなことではないのである」
「そうなんだ」
「そうそう、そうなのである」
慌てた様子に気付かず、マーサは素直に頷く。
アルディはダメ押しをしつつホッと息を吐いた。
仕事に疲れマーサの寝顔を眺めて癒されていたとは、恥ずかしくて言えなかったのである。
「そういえばアルディちゃん、ちょっと聞きたいんだけど、いい?」
「勿論。吾輩に答えられることならば何でも聞いてくれて構わんのである!」
「ここからスターレの街って遠い?」
「うん? 我が魔界は世界の端っこであるから、かなり離れているぞ。確かスターレは中央大陸だった筈であるし」
「そっかぁ」
(残念だけど、遠いなら仕方ないよね。メリアちゃんに連絡しておかなくっちゃ)
残念そうな笑顔を見てアルディは思った。
なんとかしてあげたい、と。
「どうしたのであるか? 吾輩に相談してみるがよいぞ!」
「えーっと、スターレにいるお友達のところに遊びに行けないかなって思ったんだけど……遠いみたいだし大丈夫だよ」
「スターレに友人が……」
(スターレってつい昨日尖兵をぶち込んだ街であるが……あれ、これマジやば案件であるか? ままままずいのである! もしマーサの友人が死んでいようものなら――離婚の危機!?)
アルディの顔は見る見る青ざめていく。
ゲームの世界ではあるが、そこに生きるNPC達にとってそうではない。
この世界こそがリアルなのだ。
少なくとも、≪CPO≫というゲームはそういう仕様である。
アルディの慌て様に、さすがのマーサも気が付いた。
心配そうにアルディと目線を合わせる。
「どうしたの? 大丈夫?」
「だ、大丈夫、大丈夫である。それよりも、スターレに行きたいということであったな。問題ない、吾輩が送ってやろう!」
「本当? でも、いいの? 遠いんでしょ?」
「何も問題ないぞ! 吾輩に任せておくのである!」
「ありがとうアルディちゃん!」
「う、うむ! それでは吾輩、準備を整えてくるからマーサも準備をしておくのである!」
「うん、分かった!」
なるべく平静を装いながら、アルディは部屋を出る。
そして後ろ手で扉を閉めた瞬間走り出した。
(こうしてはおれんのである!)
とある人物の部屋に向かっていると、正面から暗黒四魔神の一人、メルドがやってきた。
眼鏡を持ち上げて、支配者らしからぬ行動をしているアルディに眉を寄せている。
「アルディ様、そんなに慌ててどうしたんですか? 魔神王たるもの常に冷静でいないと威厳が損なわれてしまいますよ」
「おお、メルドではないか。丁度さがしていたのである。実は、かくかくしかじかでな」
アルディは事情を説明した。
四魔神随一の頭脳を持つメルドに頼った方が間違いないという判断で、メルドの部屋へ向かうところだったのだ。
「なんと、それは大変ですね」
「そうであろう? もし友人とやらが死んでおれば吾輩は償いきれんかもしれないのである……!」
「分かりました、メルチを呼びましょう」
「メルチを? 一体どうしようというのであるか?」
「メルチは命と魂を司る≪命魂の魔神≫。もしその友人が死んでいたとしても、死霊魔法を使えば配下として蘇らせることが出来ます」
「おお、なるほど! 流石は知将メルドであるな!」
「ふふふ、それほどでもありません。それでは早速準備を致しましょう。アルディ様は安心して執務に励んでください」
「うむ、助かったぞ!」
メルドの策を聞いたアルディは、心の底から安堵した。
先程までとはうって変わって軽い足取りで自室へと戻って行った。
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