12 いざ閑話!~一般的なプレイヤー~
本日五回目の更新です!
ケイオスプライドオンライン。
それは、魔神王復活により混迷を極め、様々な思惑と誇りが錯綜する世界を冒険する、最新ファンタジーVRMMOだ。
正式なサービスが開始され、オープニングイベントが催された。
そしてその中で最初の拠点となる街は半壊した。
世界観が重ためのシナリオではあったが、プレイヤーに被害があるわけでもなかったのでそのまま受け入れられた。
「っとにもう、そういうスタートなら事前に言っておいて欲しかったわ。全体的にアイテムとか値上がりしてるじゃないの」
「まぁまぁそう言うなよメリア。その間の期間はチュートリアルだったってことだろう」
勿論、全員がそうではない。
メリアというキャラクターネームのプレイヤーはかがり火の前で愚痴をこぼしていた。
仲間のプレイヤーに慰められても不機嫌そうな顔のままだ。
「それくらいは理解してるけど。分かってたら買い込めたのになって、ちょっと悔しいだけ」
「俺もその気持ちは分かるけどな。クエストでもして稼ごうぜ」
「はぁ、切り替えて行きますか」
メリアが立ち上がったのに合わせて、男も立ち上がる。
二人は街の外へと向かった。
「よっ、ほっ」
「ふんっ」
「やっぱりこの黒いのはちょっと手強いね」
「ああ。その上素材は渋いから厄介な奴らだ」
「後で倒した分だけお金をもらえるけど、安いよね」
二人は消えていく赤黒いモンスターを眺めながらごちる。
この靄で形作られた≪クラウド≫と呼ばれるモンスターは、魔神王アルディエル・ゴールドライトの放った尖兵である。
スターレの街周辺にはまだ多く出現し、周囲のモンスターに比べてやや強い。
素材自体は有用だが、ドロップ率は良くない。
「どうする、ここいらでクラウド狩りするか? もう少し離れればほとんどいなくなるらしいから、他のモンスター狩ったり、素材の採集なんかも出来るが」
「うーん」
男の問いかけに、メリアは考え込んだ。
今は何をするにしてもお金が必要であり、主流は三つだ。
クラウドを狩って討伐報酬を得る。
復興に必要な素材を採集して回る。
少し遠くへ行ってクラウド以外のモンスター素材を集める。
モンスターの素材は集めやすいが、単価は安い。
逆に採集で手に入る素材は単価が高い代わりに場所が遠かったり、確率が低かったりと入手難度が高い。
どっちを選ぶかは好みと、キャラクターの構築が大きく関わってくる。
この二人はソロ戦闘に特化したバランス型であり、ゲーム内でも常識と呼ばれる程人気の構築である。
「今使ってる武器ってランクどれくらいだっけ?」
「俺のはDランクだな。ほら、特典ガチャの景品」
「アタックは?」
「武器が24で、ステータスも合わせると30くらいだな。中々だろ?」
「レベルは二人とも8だから……そうだね。そのくらいあれば多少遠出しても狩れるはずだけど、どうせならもっと効率よくしない?」
「効率よく? ってお前、今度は何する気だ?」
「失礼な。ちょっとお友達と一緒に狩りしようってだけだからね」
あきれる男を後目に、メリアは怪しく笑う。
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