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7.石田一家殺傷事件⑦

2011年7月20日

-夕日新聞記事-

2010年5月7日、弥富市の石田さん宅で母親の貴美子さん(当時56歳)と次男の孝雄さん(当時26歳)が殺害され、長男の茂さん(当時28歳)が重症を負った事件。この事件の犯人が昨日逮捕された。犯人は愛知県内の大学に通う中国人留学生、王 庚申容疑者(22歳)。

どのような経緯でこのような事件を起こしたのか、警察での取り調べが続いている。



やっと、やっと逮捕された!

僕、石田茂はこの記事を読んで大いに喜んだ。

正確に言えば、この記事が出る前日に、既に河内刑事からそのことを聞いていたのだけれどその時は夢でも見ている気分になり、現実感があまりなかった。

けど、こうして実際に記事を読むと実感が湧いてくる。


勿論、犯人が逮捕されたからと言って亡くなった母と弟がかえってくるわけではない。

けれども、これで少しは母も、孝雄も浮かばれるだろう。


僕は仏壇の前に立ち、犯人が捕まったという新聞記事を供え、焼香をあげた。


しばらくすると、思わぬ人物……とまではいかないか。佐目野から電話がかかってきた。


「もしもし、石田です」


『お久しぶりです。佐目野です。犯人が捕まってよかったですね』


「おかげさまで」という言葉が喉まで出かかったが、呑み込んだ。

果たしてこれは本当に佐目野のおかげなのだろうか?


今まで佐目野が関わった事件には「霊視により事件解決」という記事が出ていた気がするのだが、今回は、それがなかった。

それに、警察から報奨金の話も聞いていない。


『実は石田さんにお願いがありまして……

今回、私は警察とある取引をしました』


取引?一体何をしたというのだろうか?


『私が事件に介入したことを伏せる代わりに、報奨金は私が直接貰うことになりました』


「それじゃあ!やはり佐目野さんのおかげで事件が解決できたんですね!」


さっきまでは本当に佐目野手柄なのか疑ってた癖に()()()とは……自身の酷い手のひら返しっぷりに思わず苦笑する。


『ええ。というわけで、いやらしい話、いや。いやらしくない話、石田さんに今後金銭の要求をすることはございませんのでご安心を。それから、石田さんからもこの事件に私が介入したことはくれぐれも口外なさらぬようお願いします』


「はい。わかりました」


『では、失礼します』


「あ、ちょっと!待っ


……


既に通話は切られてしまっていた。

ちゃんとしたお礼を言いそびれてしまった。


事件を解決に導いてくれたことは勿論、

佐目野が霊視するために我が家で来た時の日のこと。


彼が帰った後、初めて彼が仏壇に線香をあげ、供え物も用意してくれていたことに気づいたのだ。


「また、会えるかな?」


最初は無愛想で胡散臭く、近寄りがたい人物だと思っていたが…人と、亡くなった人を思いやれる優しい青年………なのかもしれないな。


彼が本当はどういう人物なのか、1度ゆっくりと話をしてみたいものだ。


これで、弥富市一家殺傷事件の話は終わりになります!次回からは新しい話に。

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