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15.片田舎の災いの裏で…①

全5話。

先祖の霊?何それ?

(くだん)の一酸化炭素事故から数日。


フリー記者の手津田さんが我が家を訪ねてきた。


「私が仲介した依頼を見事に解決してくれるとは……いやはや、佐目野君にはいつも驚かされる!」


「たまたまですよ」


私の母が北海道出身だから、寒冷地の苦労話はよく聞かされていた。だから今回は本当に、たまたまそういった知識があっただけ。


「実を言うとあの依頼に関しては、佐目野君には『これは霊の仕業ではないです』と言って貰うだけでよかったんだけどね」


「?……手津田さんは最初からあれが霊とは関係ないと分かった上で私に依頼をしたんですか?」


カルト好きの手津田さんにしては珍しい


「佐目野君は、おかしいと思わなかったかい?

どうして急に先祖の霊という話題が出てきたのか」


「それは……まあ。でも、火のないところに煙は立たないと言いますし、私の知らないだけでそういう噂もあったのかな〜なんて……」


「だから()()、火をつけた人物がいるんだよ。今までそんな噂なんて何1つなかったのに!」


「それは、つまり……?」


「今回の不運な出来事に……住民たちの不安につけ込む不届き者がいたんだ」


耳の痛い話だな。


「霊感商法ですか」


「そう。それもどうやら単独犯ではないらしい。組織ぐるみの犯行のようでね……」


「へぇ〜」


「『へぇ〜』じゃないよ!何でそんな他人行儀なのさ!君は悔しくないのか!」


「はぁ……」

別に。何にも悔しくありませんが。


「な、嘆かわしい!いいかい、こういう奴らを野放しにしていてはだね……いずれ、君のような()()の霊能力者が風評被害を受けてしまうことになるんだよ!」


本物でないから仕方あるまい


「あー悔しいなー。そういう輩がでてきて至極くやしーなー……って言えば満足ですか?」


「そんなことでは満足しない!

言っただろう、『野放しにして』いいのかと!」


「そうはいいましてもね……どうしろと?

ッ!まさか、そいつらの尻尾を掴めというわけではないでしょうね!?」


「いやいや、『まさか』でも何でもないよ。それが至って普通の考えだよ」


め、めんどくせぇー!それのどこが普通の考えなんだよ!

私は、興味のある(面白いか、金銭的な旨味がある)ものしかやる気が起きないんだよ!


「それは、警察の仕事でしょう?」


「警察が解決出来なかった事件を散々解決してきた人物が、今更何を言っているんだい!」


それは、金になるし、警察の面子を潰すという目的もあるからやっているだけです。それに、自分に解けそうな事件にしか介入していないだけです。


「そうは言いましてもね。手津田さんは記事にすりゃ金稼げますが、私はどうです?メリットがないでしょう」


「言っただろう?このままでは君の将来が危ないんだよ!……だから、私は別にその記事で得た収益全部を佐目野君に渡しても構わない」


「……構ってくださいよ」


「構わない!」


やめろ。そんなギラギラとした目でこっちを見るんじゃない。

こうなれば、どうやっても手津田さんが手を引くことはないだろう。


「分かりました……やりますよ」


「その言葉が聞きたかった!」


その言葉は言いたくなかった……



非科学的なものの商売はどこからがアウトなんでしょうね?

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