071薬剤
すぐさま時を戻し、私は薬剤制作に時間を使い始めました。
幸いお兄様の残した瘴気取り扱い注意書きがあったので、理解するのに苦労はほとんどありませんでした。
まずお兄様に起きた状況を整理してみましょう。
まず人喰い植物に噛まれた。
噛まれたくらいなら問題ないかと思いますが、瘴気のこもった部屋で育った植物。
自然の瘴気とは異なり、瘴気が濃く、なにかしらの影響を与えてしまった可能性を考えた方がいいでしょう。
例えば毒性を持ってしまった。
噛みつかれたときに筋弛緩を起こさせたり、シンプルに毒を体内に流す、噛み付いたついでにもし食べ残しが残った場合のために種や芽を植え付ける等。
そして私がかけてしまった薬剤一つ目。
瘴気癒着剤。
効果の程はわかりませんが、瘴気を纏っている。これが無限の可能性を生み出す要素になるのが厄介です。
記憶を辿る限りですが、あの薬剤は生きていればなんでもくっつけてしまうでしょう。
普通人間と植物が癒着してしまうことはあり得ない。
だが瘴気のおかげでそれをも成し遂げてしまった…と考えるのがいいでしょう。
最後に蘇生薬。
これは禁忌の薬剤でしょう。使わなければ問題ありませんが、使った場合は問答無用であの世に連れて行かれるでしょう。
実際死神さんに会いましたので間違い無いでしょう。
私は生前の行いが良かったのか猶予をあたえられましたが。これは僥倖と言わざるを得ないでしょう。
さて。
長々と考えてしまいましたが、要するに真逆の性質の薬剤を作ればいいということ。
癒着剤を剥離剤に。
蘇生薬を除草剤などのあくまで人喰い植物を殺す薬剤。
そして新しく瘴気を取り除く薬剤。
安定剤。
簡単に考えついたのをメモしましたが、これはかなり骨が折れそうです。
しかもこれは正しい順番に使わなければ失敗してしまうということ。
私の手でトドメを刺すことにもなりうる。
慎重にレシピを考えなければ。
作成には本当苦労する。
まず時間が足りない。
時間は戻せばいくらでも作れますが、戻すということは作っていた薬剤も戻るということ。
うまく行きそうなときに達人様達が到着してしまうこともしばしば。
しかし難しい問題ばかりではありませんでした。
以前私の書いたメモ、私が置かれている状況と対応策を書いたメモをポケットに入れていましたが、これは身につけていたものとして残っていたのです。
薬剤のレシピメモも同様でした。
薬剤も身につければ一緒に戻るかというと。
戻りませんでした。
あまりにも材料が多いので、カバンに入れて背負って戻ってみたのですが、それはカウントされないようです。
なぜかと考えてみましたが、カバンを背負って寝る人はほとんどいないからだと結論づけました。
そんな腰を壊すリスクを負ってまで寝る人はいないでしょう。
ということは。
上記の薬剤作成と共に、達人様達が着くまでに薬剤を作り終え、お兄様を弱らせてくれるように頼みこむ。
かなり厳しい。
本当に1秒が惜しい。
こんな状況をまさか私が味わうことになるとは。
イライラしていてもしかたない。
一つ一つ薬剤を作成してレシピを作っていこう。
…
できた。
薬剤の瓶は5つになりました。
レシピもバッチリです。
しかし、外に出てみるとなにやら宴が。
もうそんな時間になっているのか。
この後何度も試しましたが、せいぜい宴の前までに作るのが精一杯でした。
チクショウ。
落ち着け。
頭の中ではこのような言葉がぐちゃぐちゃになって私を焦らせてきます。
こうなったら賭けるしか無い。
宴の終わった後、おそらく次の日になるがその日に話を持ちかけるしか無い。
もう体もヘトヘトだ。
でもそんなことは言ってられない。
私の夢を叶えるために。
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
この歳になると、お年玉をあげる年齢になったなぁとちょっと悲しくなります。
だれかお年玉くれないかな~なんて気楽なことばかり考えてます。




