068 時間軸
ぅむ...
なんだかすごく濃い夢を見ていたような...
...
....
.....
ッ...!?現世に戻れたのでしょうか。
今私がいるのは...
研究所。
...そして瘴気の研究室。
そこにはお兄様の姿がありませんでした。
悔しい。チクショウ。もうお兄様に会えないのでしょうか。
涙が枯れるほど泣きました。
もう愛しいお兄様には会えない。
この事実をこの研究室が強く。強く主張、証明してくるのです。
ひたすらに泣きました。
そして呪いました。この私を。
死神さんの甘いお誘いに私情を絡めて。
もしかしたらお兄様が笑顔でそこにいるかもしれないという甘い、甘すぎる考えを持って帰ることを決意した私を。
...
どのくらい泣いていたのでしょうか。
お兄様がいないなら、いっそ私もと振り返ったところ。
研究室の扉が破壊されているのを発見しました。
まるで力づくで殴り壊したような。
普通の手順で出て行ったのでは無いのは明らかです。
...それに
なにやら植物たちが慌ただしい。
あれからどのくらい時が経っているかわかりません。
皮肉にも日時はあの事故が起きた1時間後。
ほぼほぼ無いと言われていた時間軸、少し未来に戻されたようです。
私はお兄様がいなくなったという事実から逃げるように、研究所のメンテナンスを行うことにしました。
幸い植物たちは被害はないようでした。
しかしまた壊された扉が一つ。
研究所の入り口。
これもまた力づくで殴り壊したような破られ方をしていました。
外には村の人々が心配して声をかけてくれます。
どう誤魔化そうか悩んだ挙句、実験につかう薬品を間違って調合して大爆発を起こしてしまったと伝えました。
もう時間も遅いから気をつけろと気さくに笑いながら帰っていく人々。
私もあのように笑えたらよかったのになぁ。
お兄様...
それにしてもメンテナンスを行ったというのに植物達が騒いでいる。
外に出てわかりましたが、なにやら精霊も焦っている模様。
普段自然に貢献をしないものには全く聞こえない声(自然に貢献していても、植物について学がなければ警告は聞き取れません。)なので、村はいつも通り。
何があったのだろう。
不自然に壊された二つの扉。
しかし、空き巣や盗難にあった様子もない。
それに人喰い植物ごといなくなったお兄様が一番の不可解な所です。
夜も遅く不安がたくさんでしたが、私は一人でかけることに。
もしかしたら、お兄様が危害を起こさないように外出したのかもしれない。
その一縷の望みに賭けて。
私にとっては十分な原動力です。
まずは植物の話を聞いてみました。
曰く、なにか巨大で強い物体が外に飛び出て行った、もうあんなものは見たくないとのこと。
次にこの村を管理されている精霊達。
詳しく教えてくれました。
まず、人智を超える速度で巨大な物体が帰らずの森へ向かって行ったこと。
暗いので不確かではあるが、人の足のようなものが見えた。
それは徐々に人の形になりながら走って行ったとのこと。
かなり少ない情報ですが、これだけあればある程度の推測は可能と私は判断しました。
お兄様はショック死の後私が投げつけたという瘴気を纏った蘇生薬で生還。
人喰い植物と癒着してしまったことを知ったお兄様はこのまま研究所にいては危ないと踏み、敢えて人の少ない帰らずの森へ行ったはず...!
早速準備を整え帰らずの森へ。
やはり一人では心細いです。
いくら瘴気に当てられないように装備を整えたとしても怖いです。
それにしても、いつもの感じと違う。
帰らずの森だからじゃない、歩を進めるたびに生存本能が引き返せ、引き返せと語りかけてきます。
でも、そこにお兄様がいるのなら。
勇気を出し歩をすすめると、人影が。
恐る恐る近づくとよく見る後ろ姿が。
間違いない。
「お兄様!!!お兄様!!!」
そう叫びながら人影へと走りました。
そこには。
なんとお兄様がいました。
だけどなんだか様子がおかしい。
こちらに背を向けたまま微動だにしません。
「お兄様...?」
真正面へ立ってみると。
お兄様がいました。白目を剥いたままで立っていました。
もう叫ぶ声さえも出せませんでした。
お兄様の口から太い蔦が何本も。
身体中に巻きつき、まるで雑巾を絞るように締め上げてきます。
《その蘇生によってもう戻らぬ人となってしまったみたいだな...》
死神さんの言葉をふと思い出し、私はなんてバカなんだろうと思いました。
苦しい。助けて。死ぬ、死ぬ。
気を失いかけた時。
43(フォーティースリー)...
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