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064 帰らずの森

次の日、お兄様におはようの挨拶をしようと寝室へと向かいました。

しかし、そこにはお兄様がおらず...

研究所にも向かってみましたがいませんでした。

一応メンテナンスを承っている施設内、なるべく立ち入らないようにと言われていた人喰い植物エリアも覗きましたが見つかりません。

書き置きもなく、どこかへ出かけてくると言ったお話もありません。

一体どちらへ...?

その日は1日お兄様が帰ってくることはありませんでした。

次の日の早朝。

「ラミナ、やっと見つけたぞ!」

何やら嬉しそうな声をあげながらお兄様が帰ってきました。

「どこへ行っていたのですか!?」

「す、すまん。あの夜休もうと思ったところに閃いてな...」

お兄様はそう言いながら、採取してきたであろう植物を何種類か詰めた袋を見せました。

「これは...?」

ほぼ全ての植物を知っていると自負している私でも見たことの無い植物。

「これは見たことが無いですね...一体どこで...?」

「えーっと...それは...」

「まさか!?」

「すまなかった。だが、相談したら酷く否定されそうだったもんでな。」

「だからといってあんな危険な場所に踏み込むなんて!」

この国は精霊がある程度守ってくれてはいますが、一部帰らずの森と言われる場所があります。

まず戦闘経験が無いと死の可能性が非常に高く、そこには瘴気が少なくとも立ち込めています。

自我をしっかり保てないと狂ってしまい、そこの住人と化してしまいます。

思わず泣いてしまった私の頭を撫でながら、お兄様は言いました。

「確かに非常に危険な賭けだったし、このまま帰らない可能性もあった。」

「心配をかけて本当にすまなかった。許されないことをしてしまったな。今回限りにするから。約束する。」

私はこのお兄様の目に弱いです。

私を特別な存在として見てくれる澄んだ目。

「わかりました...お兄様の夢でもありますもの。」

「ありがとう。ラミナ。どうしても諦めたくなくて。勝手にというか、動かずには居られなかったんだ。」

「はい...でも、その植物は...?」

「これは帰らずの森では滅多に見られない瘴気を纏った代物さ。」

「素手ではやはり持つことは出来ない。しかし幸いここは研究所だ。瘴気を遮断する袋はいくらでも作れる。」

「あの人喰い植物も元は瘴気を纏ったのが原因で発生してしまったんだ。」

「完全に見落としていたポイントだった。眠りにつく前に、せめて人喰い植物の復習をしようかと思ってな。そしたら瘴気が原因で変貌したと記載があってな。」

「目には目を。なんとかこの瘴気を纏った植物から有効成分を抽出できないかと思ってな。」

「そうだったんですね。しかし、その実験は…」

「そうだな。完全防備をしなければまず死んでしまう。」

「そこでだ。」

「俺が扉に立入禁止の看板をかけている間は、立ち入らないでくれるか?」

いつものお兄様がしないような真剣な目で私を見る。

「もし迂闊に入ってくるとお前が危ない。愛している妹を危険な目に合わせられないんだ。分かってくれ。」

そう言い放つとお兄様はばったりと倒れてしまいました。

「お兄様!?」

飛びつき、お兄様を抱き抱えました。

あまり体力が無い私でも軽々と抱えることが出来ました。

こんなに痩せてしまって...根を詰めすぎですよ...

私がドリンクを作り差し入れを渡すべきでした。

お兄様の叶えたい夢は何がなんでもやり遂げたいのですね。

分かりました。私は陰ながら応援致します。頑張ってください、お兄様。

その日は特別に調合した注射を投与し、お兄様を寝かせました。

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