063 研究
それからというものの、私達はお互いに知恵を絞りながら研究を続けました。
以前と違ってアシスタントではなく、共同作業で。
1年一緒に研究を続けたので、どのような植物にも精通しました。
「ラミナが手伝ってくれると安心するようになってきたよ。まさかこんなに早く成長するなんて。もっと早く着手してもらえばよかったかな。」
「お兄様...そんな事ないですよ...」
「お前はまだまだ幼いからって買いかぶりすぎたか...」
「も〜!お兄様のバカ!」
「ハハ、ごめんって。」
それからも一緒に研究を進めているのですが、なかなか進まず...
「クソ...行き詰まってしまったのか?」
「まだです。お兄様。頑張りましょう。」
人喰い植物は危険でありながら、芽吹き、成長するのも早い。
それに、他の植物を放って置く訳にも行かないので時間を割くのも難しい。
研究、そして品種改良をしている対象となるのは、例えば人間。
人間の心をそっくりそのまま誰かしらの心に移し替えるようなものだ。
現段階では、まだ芽吹いたばかりのものにしか効くものを作れていない。
だからといって、その個体を食用にすると毒性が酷く、食したものが死んでしまう。
かと言って強めに調合をすると枯れてしまったり、毒性を持ったまま動かなくなる。
お兄さまの言う通り行き詰まってしまったのだろうか。
「ラミナ、少しほかの植物を担当してくれないか?」
ある時お兄様は急にそんなことを言い放った。
私は力になれなかったのだろうか...
「勘違いしないでくれ。試薬を作るのに少し篭ろうと思うんだ。」
「そんな、大変なことを任せっきりにする訳には...」
「分かってくれラミナ、お前はこの研究所を1人で研究、育成できる腕をつけた。」
「だからこそ安心して任せ、僕はこの研究を完成させたいんだ。」
「お兄様...」
「籠るとは言ったけど、いつでも来ていいからな。さすがにお前の顔が見れないのはクるものがあるからな。」
「お兄様...!」
「分かりました!人喰い植物以外の研究やメンテナンスは私にお任せ下さい!」
「雑用みたいなことをさせてすまないな。僕は僕で頑張るよ。」
「はい!」
それから私は研究所の仕事を頑張りました。
お兄様の研究が早く進められるように。
ちょくちょくお兄様に会うのも集中が途切れるかも知れず申し訳ないので、朝の挨拶と、食事、そしておやすみなさいを言うためのの5回だけ。
愛しいお兄様になかなか会えないのは辛いですが、お兄様の夢のため。
私は縁の下の力持ちとして頑張っていました。
「ラミナ、こんな長い時間任せっきりにして本当に申し訳なかった。」
ある日お兄様が研究室から出てきました。
「もしかして...」
「ああ、まだ完成とは行かないが…成功の兆しは見えてきたよ。」
相当根を詰めていたのでしょう。
目のクマが酷く目立っています。
「お兄様、少しお休みになられた方が...」
「そうだな...俺も歳を考えないと。ちょっと休むことにするよ。」
「はい。ゆっくり休んでくださいね。」
私の頭を撫でてお兄様は寝室へと向かった。
お兄様...頑張るのも程々にしていただきたいのですが…
でもあんな自信満々の笑顔久々に見れました。
私も今日はよく眠れそうです。




