054ダマラとの日常
こんな生活を続けてもう何日が経ったのでしょうか。
未だに助けは来ず、毎日毎日同じことを繰り返しています。
せめてもの救いは、部屋に一人ではないこと。
話し相手がいるだけで、一日は楽しく過ごせます。
もしずっと一人だと考えると。
...あまり考えたくありませんね。
助けが来ないのも頷けるというか。
私の同室であるダマラさんも一年こうして過ごしているのですから、なんとなく想像がつくというものです。
起きて、内職のノルマをこなし、後の自由時間を過ごし、たまに異星人に呼ばれて何もないまま帰され就寝。
「ダマラさん。これっていったい何を作っているんですか?」
「さーなー。何かの装置らしいんだが。」
「ずっといじってるとなんとなくカンが働くというか。」
「魔導装置じゃないかって私は思うんだ。」
「魔導?」
「そう。魔を導くと書いて魔導。」
「これを使って、なにかしらの魔術を扱えるようになるかもってやつ。」
「そんなすごいものを私達は作っていたのですか?」
「そうそう。」
「でも、正直成功は無いに等しいだろうよ。」
「というと?」
「だって、私は魔術なんてからっきしだ。セッカは...」
首を横に振る。
「だよなぁ。そんな魔術のマの字も知らない私たちがそんな部品を効果が出るように作り出せるワケがないんだよなぁ。」
「しかも、魔術なんて殆ど人のセンスだ。頑張ったって習得できるのは初期レベルの魔術だけだ。」
「魔術といえば、私の先日のアレも?」
「おー。確かにそうかもな。」
「でも、私もさすがにわからん。適合者が云々ってくらいの知識しか持ってないし...はいっしゅーりょーっと。」
今日私たちが作っていたものは、ペンダントのような...ペンダント。
本当に部品を組み合わせるだけなので、ただの装飾品のよう。
これを作らせる彼らの魂胆がわかりません。
でも、組み合わせる石はキレイでした。
すりガラスのような石ですが、手に取ると途端にキラキラと輝きだして。
ダマラさんにそんな話題を振ろうとしましたが、早く終わらせて自由の時間を一秒でも多く得ようと必死のご様子で。
「んで、今日は何をしようかー。」
最近はめっきり二人で遊ぶのが日課となっています。
他にやることが無いので仕方ないのですが。
トランプをしたり、お茶会を開いたり、ダマラさんの絡み酒に付き合ったり。
すっかり私の「ダチ」となった、ダマラさんはハーフの鬼だそうです。
鬼の割にはすごく人当たりがいいというか。
それもそのはず。
彼女は鬼の末裔です。
鬼といえば、昔話の絵本にあるような鬼なんかはかわいいもので。
昔はもっともっと危険な存在だったとか。
あの異星人よりも強かったらしいです。
しかし、強すぎて、彼らの攻め入る場所は漏れなく壊滅。
彼らが全域を征服するころには、言葉通り草すら残らず虚無感しか残らかなかったそうです。
昔から奪うことしか頭がなく、征服が終わったあとの事を考えてなかったそうです。
虚無感から学習し、自分たちはこんなにもひどい仕打ちを多種族にしていたのか。という反省点からどんどん鬼たちは外界と接していくことにしたそうです。
やはり拒否反応は凄まじく、戦争宣言をされたり、一族の中の何人かが殺されても憤ることなく、自分たちがやってきた事は罪深い事、仕方がない事でもあるし、それを受け入れた上で鬼という存在を受け入れて欲しいという誠実な態度から鬼たちは迎え入れられ、次第に円満な関係を築いていったそうな。
お互いを信頼し、生を共にする。
彼らはたくさんの事を学んだでしょう。
今では、鬼と籍を入れることも珍しくないとか。
その結果...というのも失礼かもしれませんが、ダマラさんが存在しているのがなによりの証拠でしょう。
「こういった歴史を持つ私だから言いたいね。あいつらも見習えと。」
「でも奴らも奴らでおかしいからな。獰猛だと思ったら、あーいった下世話なことには怖気づく。中身が一瞬で入れ替わったとしか思えないね。」
あの異星人の態度もすごく気になります。
繁殖用に私たちを拉致したというのに、全くの無事です。
言うなれば、肌にさえ触れられていません。
「そうこう言っている間にお呼びだぜ。」
扉のモニターには私を表す番号、「447」が書かれていました。




