053 アルヴァルトへ
「銃弾はもういいって、どういうことかしら~?」
サラさんの言うこともごもっともだ。
ローズに準備された弾数は4発。
一発はチャップに飲ませた。
一発はプロトタイプの鎧の継ぎ目に。
そして二発は鎧に穴を空けるために使われた。
ローズはもう銃弾を持っていない。
そこでチャップが呼ばれたのだ。
皆目見当がつかない。
あんなに感動していたのに、銃弾を必要としないローズに一同が釈然としない。
「チャップ、どう?」
「ああ、なんだか身体がずっしりと重てぇ。楽に浮遊ができなくなった感じだ。」
「成功。」
といいつつ、ローズはチャップから弾丸を取り出す。
「どうなってるんだそれ?」
「チャップには弾丸を生成する機能が備わっているの。」
「一日300発。とてつもねえ数だ。」
「6マグだけ。」
「そういうなよ。で、だ。今までも重かったのには変わりないんだが、もっと重く感じたんだ。」
「姉さん。アンタの作った弾丸は一発何gだったっけか?」
「大体18gね~。」
「いつもローズが使ってる弾丸は約8g。」
「それが300発で2.4kg。姉さんの弾丸で5.4kg。雲泥の差だ。」
「その重さが俺にもわかるんだ。」
「つまり。この結果から、導き出される結果は。」
「俺の体の中には、姉さんの作ってくれた弾丸が300発入っている。」
チャップが言い終わると、ローズが装填を始める。
マガジンに叩き付けるようにして50発もの実弾の装填をする。
見たことのないリロードだ。
あっという間にリロードを終え、銃を構えた。
あの独特な構えだ。
ローズは鎧に向けて弾丸を撃ち込んでいく。
鎧はまるで悲鳴を上げるかのように反射音を響かせ、宙に浮く。
百発百中だ。
ローズは不規則に動く鎧を逃さない。
鎧は蜂の巣のように穴を空かされ、地面に落ちた。
銃を撃ち終えると、ガンプレイをし、しまう。
なんともスタイリッシュでかっこいい。
サラさんは口笛を吹いて驚いた様子。
「ローズ、かっこいいの。」
エミーはローズの手を取り、ピョンピョン跳ねている。
その後、ローズは薬莢を拾う。
「チャップ。」
「ああ。」
「大成功。」
釣られて俺も薬莢を拾った。熱くない。
「しかし、ローズ。」
「何?」
「たった6マグで足りるのか?いつも体中にマガジンを巻き付けてるだろ?」
「一日300発が決まりだし、一日経ったら消えるぞ?」
「あ。」
「やっぱり追加注文をお願い。」
ローズは天然...なのか...?
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「次はアルヴァルトへ向かってもらいます。」
「アルヴァルト?」
次のルルの指示はそこへ向かえとのこと。
リリが首をかしげている。
あまり有名ではないようだ。
「アルヴァルトとは自然が豊かな国です。」
「自然を愛する人々ばかりで、最近では自然を利用した研究が盛んになっていますね。」
「近代は自然に頼ることが少ないため、この国を知る人は少なくなっています。興味を持つ機会も少ないのですから。」
「かくいう私も恥ずかしながら、その国をよく知りません。」
「今後の国の発展と共存に向けて、いろいろと調べてほしいのです。」
「魔法陣は機能していますが、達人様とローズ様の登録がされていないので、億劫かもしれませんが、馬車での移動をお願いいたします。」
ルルからの依頼を受け、馬車を取りにニーロへと魔法陣を使って飛び、そこからアルヴァルトへと向かう。
「馬車は初めて。」
「乗り心地はどうかしら?お姉さまが用意してくれたものだもの。聞くまでも無いかしら?」
新しい仲間、ローズを加えて。
これからの旅路はいっそう楽しくなりそうだ。




