051黒い粉
「ニーロへの遠征、お疲れ様でした。」
あんな出来事の直後だが、全く動じている様子がない。
さすが王女様。
「それにしても、異星人相手によく勝つことができましたね。」
「奴らを舐めてかかったのは失点ね。私は全く役に立てなかったわ。」
「俺も自分でもよく勝てたと思う。最後は無我夢中で...」
「そういえば、リリから、達人様が魔術を使ったと聞きましたが...」
「え?そうなのか?」
「あなた、戦闘後は死にかけてたからね。そりゃ記憶にないか。」
「お兄ちゃん、死にそうなの!?」
ローズと遊んでいたエミーが駆けよってきた。
「大丈夫だ。」
頭を撫でる。エミーは身を任せるままだ。
「それならいいの。」
そういうとローズの元へ戻る。打ち解けるのが早い。チャップの言う通りだった。
「わたしもぼんやりとしか覚えていないのだけれど。」
「あなたは金属をも焼き尽くす炎で敵の武器ごとぶった切ったわ。」
「それを見たと思ったら、私も気を失ってしまったみたいで。」
「次に見た光景があなたが死んだように倒れている姿。なんど呼びかけても反応がないから本当に死んだと思ったわ。」
「そして、戦闘に役に立てなくて本当によかったと思ってるわ。」
「そのおかげでガス切れせずにあなたを回復させることができたんだから。」
「魔術といえば、確か奴ら、リリの魔術を無効化してたよな。」
「そうよ!!あのグロ鎧!!どういう原理か全くわからないけど、私の魔術が全く効かないなんて!!」
「でもあのデカブツ以外には効いてたみたいだったけど?」
「ふん。一体何をしたのかしらね。捕虜がどうのこうのって言ってたけど。」
「捕虜...ですか。偵察軍に調べてもらいましょう。」
「魔術といえば発動条件って聞いたが、指定した覚えがないんだけど。」
「そりゃそうよ。あなたは数少ない2つの能力持ちなのよ。」
「大体ベースとなる能力に発動条件が似るわ。あなたの場合、超筋力がベースだから、無意識に発動するか、感情で発動するか。」
「無意識ってのはさすがにありえないわね。今まで使ったことないんだから。となると、感極まって発動しちゃった感じね。」
「本当に奴らは強かった。俺の戦闘から学んだことといえば、俺の剣でも奴らの鎧はかち割れるってことくらいだ。」
「そして、私の銃じゃ厳しい。」
今度はローズが来た。
「奴らの鎧硬くて、たくさん撃ち込まなきゃ剥がせない。」
「撃ち込んでるうちに、この子たちが機嫌を損ねちゃう。」
ローズの愛銃を見せつけられる。
「それなら~エミーちゃん、いいのがあるわよね~?」
「これがいいの。」
なにか黒い粉を持ってくる。
「お姉ちゃん。」
「ん?あ~...はいはい。」
リリが何やら笑みを浮かべている。いやな予感。
すぐさま魔術で拘束される。
次にサラさんが棒状のものを持ってくる。
随分と見慣れたもの。夏の風物詩。花火だ。
それに火をつけて。
花火からは勢いよく火が出ている。
「その火薬がこの花火に入ってるんだけどね~?」
と、説明しつつ俺に近づく。
あろうことか顔面に花火を...え?ちょっと待って?
人に花火を向けてはいけません。説明書きに絶対に書かれているはずだが。
「サラさん?焼けちゃいますって、それ。うわ、うわあああああああ!?」
花火の火が俺に触れる。大やけどだ。
「ああああああぁぁぁぁぁ...?ん?」
熱くない。
「エミーちゃんの作った、発熱しない火薬なのよ~。」
「安全な花火を、誰が扱ってもケガが無いようにって作ったのよ~。」
「ただ、威力を高めようとすると、ちょっと重いのよね~。銃弾に込めるとなると、一発10gは増えるわね~。」
「重くても構わない。4発でいいから作ってほしい。」
「かしこまりました~」
「ローズからの初依頼なの。頑張るの。」
3回目。一日の悲劇最高記録を更新中だ。
「男の子でしょ?我慢我慢。」
「やってもいいけど、せめて説明をしてくれ...」




