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048ボーンレス

俺とアイラは人気のない場所で生活をすることにした。

俺のせいだ。

俺という存在は言ってしまうとトラブルメーカーだ。

いろいろな小悪党から恨みを売るほど買っている。

いつ嗅ぎつけられて、狙われるか。

「これは愛の逃避行かしらね。」

そんな状況でもあいつは楽しそうだ。

今まで俺を追いかけていた時とは大違いの態度で俺に接してくる。

「悪いな。こんな状況になってしまって。」

「護身用といってはなんだが、これ。使えるか?」

「まあまあ。」

俺も本当に不器用だ。

あいつに渡したのは、オートマチックの二丁拳銃。

扱いやすいように、そしていつ襲ってくるかもわからない、小悪党共にも対応できるような銃を準備した。

もっと気の利いたプレゼントでも用意するべきだっただろうか。

それでも、あいつは本当に嬉しそうだった。

だが、あいつはそんなもしもの危険な状況に陥ったとしても使わないだろう。

今では、高級な布に包まれて保管されている。

メンテナンスは全くされていないが、時々あいつは嬉々として取り出して触っている。

本当に扱い方がわからないのだろう。手垢がびっしりだ。

あいつの強さは俺が組み伏せられる程の強さだ。

あいつには必要ないのではないかと思われるだろうが、これには事情があるんだ。

俺たちが愛の結晶を授かってから、アイラは病気になった。

それも不治の病。

快復の兆しは無く、衰弱していく一方だ。

俺はどうしたらいいのだろう。

ちょっとしたことでも、アイラを気遣い、行動する。

その度にあいつに煙たがれるのだが。

あいつは滅多に弱気な態度は見せない。

あの時の強さは無くなっていない。

「どんな子になるかしら。私の病気のせいで大変なことになったりしないかしら。」

そんな事をいいながら、生まれてくる我が子の事ばかり気にしている。

身重な体で、病気も辛いだろうに、あいつは本当に元気な子を産んだ。

あいつが病気にかかったというのに、あんな元気な子が生まれるのは奇跡だった。

名はアルメール。どうしてもというので、俺が付けた。愛情をたっぷり込めて。

生まれたばかりだが、俺は確信する。俺を超える存在となることを。

俺と同じ、ガンマンの血を引いている。

あいつは、アルメールを産んでから衰弱していく一方だ。

そんな時に、異星人が近隣の国を滅ぼしたとの情報を耳にする。

アーデのおとぎ話で聞いた異星人。

本当に存在するとは。

大きな戦いの予感は見事に的中してしまった。

「グレイブ。」

愛銃をメンテナンスしている時に、不意に名を呼ばれる。

そういえば、本当の名を教えていなかったな。

だが、本名は名乗りたくない。

幼いころからの仕打ちは忘れられるわけがない。

ボーンレス。

俺の本当の名だ。

親にふざけた名前を付けられたあげく捨てられ、貧困街生活のゴミ箱をあさる毎日からようやく脱却し、今の地位にいる。

これは語る必要はないだろう。俺にとっては無いも同然の過去だ。

それに今となっては、心を開ける人ができた。

「あなたのやりたいことをやってもいいのよ。」

そして、その最愛の人に心を見透かされている。

「アルメールはまだ小さいけど、私だけでも大丈夫よ。」

「...ああ。行ってくる。」

「気を付けて。風邪ひかないでね。」

アイラの言葉にもう私はもう長くはないという意思を感じ取る。

俺はその事実に目を背けようと逃げたのだろう。

俺は即決で旅に出ることにした。

英雄になるために。

誰に知られる必要もない。

平和な世界を、考えたくはないが、天から見る事になるであろう、アイラに見せるために。

そして、その最愛の人との間にできた子、アルメールの為に。

今ではこのざまだ。

カエルの子はカエル。

俺も大事な人を捨てたということだ。そのツケがやってきた。遅いくらいだ。

アルメール。

俺は敗北した。

次はお前の番だ。




















...と、悪役は言うだろうが。

俺は違う。お前にとっては俺は悪になるだろうが。

これでも俺は家族を愛していたんだ。わかってくれ。許してくれなくていい。

すべてをお前に丸投げにしてしまった。本当に申し訳ない。

お前にはもう仲間がいるようだな。

それも本当に頼りになる仲間が。

俺に望む権利はないだろうが、一言だけでいいから言わせてくれ。

頑張ってくれ。それだけだ。

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