043パパ
「まったくもって見上げた根性だ。」
建物の上に立っていた男は飛び降りる。
「ナンダ アノ ヤロウ!!ブチコロセ!!」
とうっ!!という台詞がお似合いな飛び方だ。というかアレは絶対言ってる。
建物の壁を蹴り、奴らの投擲する武器を避けながら見事に着地。
「なんかクセのあるやつが降りてきたな。ローズ。」
現代風のカウボーイといったところか。
全体的にレザーの装備。
重く硬そうだが、動きやすそうな着こなし。
リボルバーを扱うガンマンによくあるハット帽にレザーのブーツ。
口元を隠せそうなスカーフまで完全装備だ。
そんな彼の得物はやはりリボルバー一丁。
その割には6発以上の着弾が見られた。
リロード速度が常人のそれではないのだろう。
それにその弾丸は奴らの硬い鎧を貫いている。
理屈は簡単だ。
ピンホールショット。
彼は一発じゃ仕留められないと踏んだのだろう。
頭めがけ、一点集中。
あまりに速い射撃のため、弾頭に弾頭が当たる。
その威力はライフルを上回るだろう。
...何かが引っかかる。
しかし、気にしている場合ではない。
「さあ、お嬢ちゃん。お逃げなさい。」
「もしくは手伝ってくれるかな?ちょっと骨が折れそうだ。」
「はやく処理する。」
「勇ましいお嬢ちゃんだ。」
動作不良は直した。
ただし、銃の温度は変わらない。
このままではまた動作不良るだろう。
でも、大丈夫。
私はこの子達を信じる。
もうちょっとだけ、頑張って。
「さて、お嬢ちゃん。」
「敵はまだまだ眼前に立ちはだかっている。」
「俺の射撃をもってしてもさばけるかは正直微妙だ。」
「だが、こうしてチームを組んだ以上、ベストを尽くしてもらう。」
「さあ、行くぞ!!」
スカーフを投げ捨て、男は動く。
彼の戦闘能力はだてじゃない。
さすがに奴らも戦闘状態に入っている。
先ほどのピンホールショットはできないらしい。
しかし、彼の得物はリボルバー。
私のハンドガンと違って威力の差は歴然。
若干だが、私よりは連射がきかないようだ。
しかし、その差を埋め尽くすほどの威力。
それに、安心して任せられる。私の背中を。
背中をカバーされるだけでこんなに安心できるとは。
「ナンダ コイツハ!!?イキナリ アラワレヤガッテ!!」
「チョウシニ ノルモノ ソレクライニ シトキナ!!」
「べーつに、調子に乗ってるわけではないんだが...」
彼のリボルバーは奴らの鎧を引っ剥がし、ヘッドショットをお見舞いする。
鎧の継ぎ目を探すのはやはり苦労するようだ。
何かいい方法はないだろうか。
共闘をしているうちにまた背中と太ももがぶつかる。
「おいおい。奴らの鎧本当に硬いな。俺のリボルバーを泣かせるとはな。」
「並みの攻撃じゃあの鎧は壊せない。」
「だろうな。ライフルでもダメそうだ。」
「なんとかあの継ぎ目を探し出す方法さえあればいいんだが。全部が全部バラバラで時間がかかりすぎる。」
「チャップ。」
「おう。今日は使ってないから満タンだぜ。」
チャップには弾丸生成機能が備わっている。
一日300発が限度。
一日が経つと、使われなかった弾丸が消え、再補充される。
使用した場合、薬莢は消える。
しかし弾頭は残るようだ。
あまり気にしていなかったが、なかなか謎の原理である。
気付いたら、このような機能が備わっていた。
「なんだぁ?そのぬいぐるみ。しゃべったぞ?」
「戦闘に集中しなさい。」
「それもそうだな。お嬢ちゃんもしっかり頼むぜ。」
「チャップか...やっぱり...」
奴らに向け、速射をお見舞いする。
「継ぎ目。あそことそことそこ。」
「さっすが~。」
口笛を吹いて、さも余裕そうだ。
大体の継ぎ目の場所は戦闘を重ねる内に掴んだ。
そこを露出させるように弾を打ち込んでいく。
あのグロテスクな見た目はカモフラージュの役目もあった。
弾丸をなぞるように打つことで、継ぎ目を探り出すことができた。
そうなれば、あとは彼の出番だ。
マーリットとビーネの調子もある。
威力の高いリボルバーに任せたほうが効率がいい。
本当に頼りになる。
...異星人との戦闘はあっけなく終わった。
やはりタツトの所に残った一人がボス核。
私を延々追い回した連中は取り巻きだったのだろう。
どちらにせよすごいオーラだった。強者のそれだ。一度スイッチが入ると手が付けられない。
タツト達はあんなのを相手に戦おうとしていたのか。
ボス核一人とはいえ、彼らは大丈夫だろうか。
しかし、これも気にしていられない。
問題は、共闘した、コイツ。
「やあ。お嬢ちゃん。かなりのヤリ手だな。あんな射撃できる人を見たことない...うおわあああぁぁぁッ!!!?」
パン
彼の頭めがけ一発。
彼はわざとらしく大げさなポージングをしながら避ける。
「ローズ!?どうしたってんだ!!?」
仕留め損なった。
不意をうまく突いたつもりだったのだが。
「おおおおお嬢ちゃん!!?一体なんのマネだこれは!!?」
「マネも何もないわよ。」
「探したわ。...本当に探したわ。グレイブ。」




