034集金奴隷
おそらく、奴らによって壊滅に遭ったであろうニーロ。
ローズはこの国に不穏な気を感じ、入国したという。
ここで何かが起きそうなこと。不吉なことが起きそうだということ。
そしてその出来事が自分に大きな影響を与えるだろう。
ローズはしばらくここにいるらしい。
俺たちは魔法陣の状態を調べるため出かけることに。
「おいおい、せっかく知り合ったんだ。一緒に行ってもいいだろう?」
チャップの一言でローズも同行することになった。
魔法陣は広場からちょっと離れた裏路地にあった。
「大抵、魔法陣は国の需要部分に設置されるのよ。」
「移動した先でことを済ませやすいしね。」
「それにしても、これはひどいわね。」
魔法陣は血で覆われていた。
「この近辺で争いがあったみたいね。」
「上書きされてちゃ使えないわけだわ。ニーロ王に伝えないと。」
「ニーロ王はいない。もう国中の噂。」
「...うすうすそうじゃないかと思ってたけど。」
俺たちで魔法陣を修復する。いままで目にしたものより大きい。10人ほどは中に立てるだろう。
しかし、修復したところでこの国に飛んでくる人はいなくなる一方だろう。
この不遇な戦いが終わるまでは。
地面に描かれているので、慎重に扱っていたのだが、ちょっとやそっとじゃ削れはしないらしい。
ブラシでガシガシこすって修復を進めた。
魔法陣が修復されたところに、ルルが準備してくれた魔法陣を追加登録する。
「魔法陣は便利よ~。使った人の情報がひとりひとり記憶されるの。」
「でも、一度足を運んで記憶させないと使えないから、記憶させるまでが手間なのよ。」
リリが手をかざすと、魔法陣が奇妙に光る。
「さあ。できたわ。あ。」
「どうした?」
「Red Lips.の魔法陣、ローズも組み込んじゃったわ。一緒に魔法陣に立ってたし。」
「いいじゃないか。お得意様が増えるなら。」
「そうだといいんだけど。」
「またダチがふえそうだな。ローズ。」
その時。
「おう、また≪集金≫にくるからな!!しっかり準備しとけよ!!」
そんな怒声が聞こえたと思うと、男たちが店からでてきた。
俺たちには気づいていないようだ。
「ニーロも襲撃に遭って落ちぶれたかと思っても、俺たちはいつまでも勝ち組でいられるとはな!!」
「まったくだ!!あの異星人のやつらに土下座をした甲斐があったもんだ。」
「兄貴ですら勝てない相手が生かしてくれるんですぜ?それは認められたも同然でしょうよ!!」
「それもそうか!!!」
異星...人...?
リリが落ち着けと言わんばかりに小突いてきた。
「あまり気分は良くは無いがな。あいつらは強い。まあ、俺が勝てなかったんだからな。」
「だが、いい、俺たちは最高のところに立ててる。十分だ!!」
わははと、大きな声が響く。
「さあ、今日は俺のおごりだ!!クソ虫共から≪集金≫した金でパーッとやろうか!!」
何かが切れた。
「おい待て!!お前ら!!」
たまらず呼び止める。
「おっと。まさか見られていたとはな。」
「お前らは一体何者だ。」
「いやなに。怪しいものじゃない。この近辺を取り締まってる者でさ。」
「店を置かせてやってるんだ。場所代を請求して回ってただけだ。悪いことあるか?いや、ないだろ?」
「異星人とは誰の事だ?」
「異星人...?さぁーてな。何のことやら。」
「とぼけるんじゃない!!」
せっかくの手がかりだ。逃がしてたまるか。
「へっへへ。さすがに聞こえてたかねぇ。」
「異星人は異星人だ。」
「この国を襲撃し、破滅させた張本人さ!!」
決まりだ。奴らはここへ来た。
「そいつらは今どこにいる!!」
「それはしらないな。俺たちも殺される間際だったしな。奴らは本当に強かった。」
「だが、話が分かる奴らでよ~。」
「ちょっとこっちが頭を下げたら、ここの仕切りを任してくれたんだ。」
「もう異星人様様さ。これからはおいし~い蜜を吸って生きていけるんだからなぁ。」
「何を...」
こいつらは何を。
何を言っているんだ。
こいつらは本当に。
本当に。
「それでもお前ら人間か!!!?」
「もちろん。人間さ。」
「ただし、この国のトップとなりえる人材さ。」
いけしゃあしゃあと。こいつらは。虫唾が走る。
「そんな俺たちにたてついた...覚悟してもらうぜぇ?」
男たちが血気付く。
「俺たちはなぁ!?あのグレイブをも倒したんだ!!」
「そんな俺たちに挑もうなんざ、百年はえーんだよ!!」
「グレイブ...?」
ローズの表情が険しくなる。




