033ローズ
「おお、こりゃすげえな。」
チャップはご機嫌だ。
チャップの見た目がボロボロで、なんとなく寝れなかったのもあり、修繕してあげた。
家庭科の授業で習った腕前しか持ってなかったが、素人目にもうまくいったと思う。
「ありがと...」
グレイブが言葉少なにしてお礼を言う。
「いつも、チャップはいっしょ。」
「いつも一緒だからわかるんだけどよ、コイツ銃意外の事に関してはテンでダメでな。」
「俺はいつもボロボロなんだぜ。タキシードを着て、ビシッっと決めてるってのによ。」
「確かに見た目は大事だよ。タキシードでかっこいいと思ってたし。」
「おお!!友よ!!この良さをわかってくれるか!!」
最初は面食らってしまったが、もうすっかりチャップとは打ち解けてしまった。
「今日もドタバタしててな。俺はいつも通りボロボロなわけだ。」
「そこで、資金が尽きたっていうから、このホテルに忍び込んでだな---
「ちょっと待て。今なんて?」
「おおっと。残念だがもう寝る時間だな。」
ジャキン
グレイブも用が済んだみたいだ。
突っ込みたいところはたくさんあるが、おとなしく寝ることにしよう。
-------------------------------------------------
「うう...頭が痛い...」
昨日は...ええと...
ニーロに着いて、ちょっとした絶望をして、酒場に行ってヤケになって...
そこからどうしたんだっけ?
なんでベッドに寝てるんだろ。
「はっ。」
やってしまった。
達人に思いっきり醜態を晒したかもしれない。
「達人?」
部屋を見渡すと。
「おーいー、わるかったってー。やめてくれよー。」
「お前はもうちょっと反省の色を見せろっての。」
「そもそも俺ぬいぐるみだから三半規管無いぜー。」
「タツト。チャップを返す。早く。」
達人が人形遊びをしていた。ブンブン振り回している。
それに知らない女の子まで。ぬいぐるみを見上げながらオロオロしている。
キレイな髪...
「お、リリ。起きたか。おはよう!!」
アイツの笑顔はいつ見ても元気になる。
「グレイブが誰かって?」
「そんなのみんな知ってるわよ。」
ガンマン、グレイブ。
一匹狼で有名である。
しかし、一人だからと言って油断してはいけない。
戦闘中にグレイブの届く間合いに入ると、必ずやられる。
近づくことも許されず、指1本もふれられずやられる。
この時のグレイブとは槍のような武器を意味している。
ちなみにこれは例え話で、間合いはもっと広い。
彼の愛銃はリボルバー。もちろん弾は6発。サイトはついていない。
だからと言って舐めてかかってはいけない。
彼のリロードは一見の価値ありである。ただし、見えるのなら。
リロード速度が光速のように速く、弾切れを見計らって突撃しても、風穴を開けられる。
ちなみに、グレイブという名は実名ではない。みんなの呼び名である。
こちらのグレイブは、墓を意味する。
死人のように誰とも組まず、一匹狼を意味しているのだとか。
5年前に姿を見なくなってから、死亡したのではないかと噂をされている。
それにしても。
「そのぬいぐるみは何?」
「俺はチャップってんだ。よろしく!!」
ぬいぐるみがしゃべるなんてね。
魔術を扱う私がいうのもなんだけど、奇妙だ。
さっさと慣れたほうがよさそうだ。
「達人も急にグレイブのことなんて、どうしたのよ。」
どこでグレイブの情報を聞きつけてきたのか。
「いや、この子の父親がグレイブだって言うから。」
ホテルの手違いか、部屋にいた女の子。名前がなく、グレイブと呼ばれている。
達人が部屋に入ると銃のメンテナンスをしていたらしいが。
本人からすごいオーラを感じる。
見た目は幼いが、侮れない。
一匹狼の、娘。隠し子なんだろうか。
「グレイブ。お前すごいんだな。」
「その名前。イヤ。」
「え?お父さんすごいじゃないか。まるで伝説だよ。」
「伝説だったとしても、私とママを捨ててフラついてる。」
「気が付いたらママはいなくなってそれからチャップと一緒だった。」
「なんか悪いこと聞いたな...ごめんな。」
「でも、チャップは私の友達。いつも励ましてくれる。」
「よせやい。」
「私は何が何でもパパを探し出す。」
「そして、頭に一発お見舞いする。」
物騒なオチが聞こえたが、とりあえず、置いといて。
「チャップと友達になったのなら、もちろん俺もキミと友達だよな?」
「え?」
「それに、グレイブって呼ばれるのが嫌なら、呼び方も考えないと。」
リリも便乗してくる。
「ニックネームみたいなものさ。」
「ローズ。どうだ?キミにピッタリ。」
「ローズ。」
グレイブが反復する。
「ローズ。気に入った。私はローズ。」
「はあー。安直。」
「センスねえな。」
「な、なんだよ!!本人は気に入ってるみたいだし、いいだろ!!」
「どうせ髪飾りから連想したんでしょ?はあー。安直。」
「センスねえな!!」
「だーもう!!悪うござんしたー!!」




