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027ヨハナ

「じゃーの~!!」

ハーマリーに期待していてくれと見送られる。

とりあえずダンジョン攻略は、ハーマリー次第ということになった。

あの様子だと、以前話に聞いた、立派なダンジョンとなるだろう。

そして、やることが無くなった分、明日からの稽古が大変になるだろう。

「これでとにかく一安心ね。」

「それにしても、明日からどうしようかしらね。」

「ダンジョンで経験を積まないまま旅に出るのは危ないし...」

「じゃあ立ち直るまでは稽古ってことか?」

「そうねぇ。今度はどうやって----

「ちょっと待ったーーーーー!!!!」

ダンジョンから帰還しようとしていた俺たちに何やら立ちふさがる者が。

なんともみすぼらしい恰好をしている。

いや、服は元々キレイだったのだろう。獣道を歩くうちにボロボロになったという感じだ。

頭のサイドに大きな角が一本。

背も高い。全体的にスラッとしている。

そして肌が真っ白だ。まるで白紙をみているかのように。アルビノと言ったか。あんな感じ。

しかし対照的に髪は黒色だ。

それに顔だちも整っていて、思わず視線を奪われる。

「我が名はヨハナ!!!」

「難攻不落のこのダンジョンを攻略しに参った次第!!!」

難攻不落?ダンジョンは先ほど体験した通り、あの状態のはずだが?

「このダンジョンをやっとの思いで探し当て!!」

「いざ入ろうにも、人っ子一人見当たらない!!」

「さすがは難攻不落のダンジョン!!」

「踏破するのが難しく、皆断念をしていたのだろう!!」

「そこに貴様らがあのダンジョンから出てきた!!」

「どう攻略したのか教えてもらおうか!!?」

この話し方はどうにかならないのか。

騎士かぶれのような話し方。

格好と相成っていない。

「まずはコンディションを万全にすることね。」

「攻め入るまえの基本よ。あなたのその格好からして、万全ではないわね。」

「ダンジョンを探し当てたって言ったけど、道にでも迷ってたの?」

リリは淡々と答える。

「な!!?」

「私は迷ってなどいない!!」

「それに難攻不落のダンジョンだからといって臆していたわけでもないぞ!!?」

「潜入するタイミングを伺っていたら、貴様らに先を越されてしまっただけのこと!!」

いろいろと突っ込みどころがあるが。

とにかく残念な人だということはわかった。

「魔術師最強になるという夢が私にはある!!」

「これしきの事でくじけぬぞ!!今に見ておれ!!」

「あーっと、えーっと。」

なんて言おうか。

「つまるところ、ビクビクしてたら終わってしまったと。」

「なんというかご愁傷さま?」

リリに小突かれる。

失言だったようだ。

「あなたはほんっとうにトラブルばっかり起こすんだから...」

やれやれと言いたげだ。

「聞き捨てならんな。貴様。」

ビッと俺を指さす。

「みたところ貴様は戦闘職のようだ。」

「言ったが、私には叶えなければならない夢がある。」

「コケにされたままではもちろん気が済まない。」

「一騎打ちだ。貴様に申し込む。」

「もうダメね。達人、死なないようにね。」

この戦いは避けられ無いようだ。リリに見捨てられてしまった。

「こちらから行くぞ!!」

リリそっちのけで一騎打ちが始まる。

不意にヨハナが変なポーズをとった。

「ぷっ...」

思わず笑ってしまう。

戦闘中だというのになんだあのポーズは。

その瞬間。

「達人ッ!!!」

リリが怒声を上げる。

「どわああああああッ!!!!!?」

強烈な風に吹き飛ばされる。

ギリギリ体制制御し、着地。

「ちょ、ちょっとタンマ!!!」

「ふっ、我の魔術に臆したか。いいだろう1回だけだ。時間をくれてやる。」

ヨハナは雰囲気に酔っているのか、テンションが高い。

「リリ!!なんなんだあれは一体!!?お前の魔術より強いんじゃないのか!!?」

「そうね。彼女は強いわ。」

「最初見たときは私より下の魔術使いだと思ったのだけれど。」

「どういうことだ?結果が全く逆じゃないか。」

「あのポーズよ。」

「真面目に言ってるのか?」

「大真面目よ。」

「弱点を教えるようだから基本言わないんだけど。」

「私も魔術を出すためには、ある動作をしなければいけないの。」

「動作は自分で決められるけど、気づかれにくいほど魔術は弱まっていくわ。」

「あとは努力と才能次第。魔術を強化していくのよ。」

「彼女の場合、隙がありすぎるポーズが魔術発動条件よ。」

「隙があるから、魔力消費を大幅に抑えて大きく強い魔術を使えるようになってるってわけ。」

「それじゃまるっきり初心者って感じじゃないのか?」

「そうとも言えるわ。でも彼女は別。」

「魔術使い同士なら即ケリがつくわ。」

「だから私を指名しなかった。賢明な判断ね。」

「そして、いくら隙があるとはいえ、魔術が強力過ぎる。彼女の才能を見くびったわ。」

「もしこれがチーム戦だと思うと...正直ホッとしているわ。一瞬で相手はボコボコよ。」

「それにしても、なんで一人で行動しているのかしらね。」

「...プライド高そうだしなぁ。」

「そんなことより。」

「なんとか突破口を探しなさい。じゃないと死ぬわよ。」

リリは一回の魔術を見ただけでこれだけの情報を抜き出した。

俺なんて油断しきっていた。

戦うというのに全く意図しない行動に出られた。

この状況に置かれただけで体が硬直していた。

攻撃や防御などという考えはなかった。

下手したら死んでいた。

「さあ、遺言は残してきたか?」

あのポーズだ。

さあ、どうする?

「うわあああああ!!?」

またしても吹き飛ばされる。

風の魔術だ。

受け続けるわけにはいかない。

吹き飛ばされるだけかと思っていたが、切り傷ができている。

体力勝負に持ち込まれたらおしまいだ。

「おいおい、風だけか?」

「ふん、貴様にはこれがお似合いというものだ!!そして結果は貴様の負けで変わることは一切ない!!」」

不機嫌な顔を隠せていない。おそらくあたりだ。

ヨハナは風の魔術しか使えない。それにしても単純だ。

ポーズに入った。ここだ。

一気に突っ込む。

しかし、

「くっ!!」

さっきよりは弱めだが吹き飛ばされる。

「油断するんじゃないわよ!!ワンパターンではあるけど、相手は慣れてるわ!!」

リリに怒鳴られる。

「戦いにおいて油断するとは禁物であろう!!本気で来い!!」

舐めてかかっていた相手に苦戦を強いられている。

魔術師とは本当に相性が悪い。

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