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020装備完成

「ほらほらぁっ!!」

「うおっ!!」

ここ最近はリリとずっと稽古ばかりしている。

変わったことと言えば、リリの魔術が解禁されたこと。

ついに。ついにアミュレットを千切ることに成功したのだった。

稽古を始めて1ヶ月。

リリの動きが手に取るようにわかるようになるまでにかかった日数だ。

同時にアミュレットを千切った日でもある。

あの悔しそうなリリの顔は忘れられない。

俺も強くなれた証だろうか。

「こんなに早くこなしてしまうとは。感服しました。」

どこかで見ていたのか、ルルが一礼をして話した。

「では、次のステップですね。」

「えっ」

というわけで、リリが魔術を交えた戦法で戦ってきているわけで。

しかも俺の使っているダメージ皆無の棒とは違い、普通に効く。

行動を制限する魔術、得意の電撃は禁止されている。

しかし、よく漫画やアニメとかである詠唱とかは一切無しに、ノータイムで火やら水やら飛んでくる。

上級魔術を使おうとした場合には詠唱が必要らしい。(リリはまだ習得していないらしいが、これをイジると殺されかねない雰囲気だった。)

次々と飛んではくるが、手加減してくれているのがわかる。

だが身体的ダメージが大きいのには変わりない。

しかし、魔術解禁されるだけでこんなに戦いにくいとは。

リリのステップを見切っただけでは勝てない。

相手が魔術を使えるだけで、俺のような近距離ファイターには強制的にハンデをつけさせられてしまうというわけだ。

どうにか突破口を探さなくては。

「うわあああああああ!?」

何度も何度も吹き飛ばされる。

体力は回復してくれるのだが、ゴリゴリとどこからか音が聞こえてきそうなくらい精神を削られた。

一方リリは。

「はぁ~、やっぱりエミーの回復薬はおいしいわね~。」

爽やかに汗をかきながら、試作品の回復薬を飲んでいた。

この国、ルズベリーは女性しかいないため、魔術に必要なマナであふれかえっているが、さすがに連続使用には耐えられ無いようだ。

自分には基本的に回復魔術をかけられないらしく、魔術も使用限界があるため、十分に休息を取り休むか、今のリリのように回復薬を飲む方法の2つしかない。

一般的に市場に出回っている回復薬は、まさに薬です!!!といった感じで、まずい。

しかも、組み合わせによっては後遺症を患ってしまうような副作用まで出てしまうようなものらしい。

安価で、すぐに効くためみんな買っていくのだが。

それに比べ、エミーのはまさに特効薬である。

先ほどの副作用はもちろん、後遺症を引き起こす心配は皆無。

いくつか味がある。

リリのは爽やかなレモン味。

果物が主流の味。他も開発中だとか。サラさんがよく飲んでいるコーヒー味が次の目標らしい。

そして、効果を出す時間を若干ではあるが選べる。

すぐに効くタイプと、戦闘中に効果を出せるようにあえて遅効性にしたタイプ。

もうすぐRed Lips.で販売予定だ。

サラさんのお店は冒険者にとって知る人のみぞ知る名店のようで、エミーとのコンビネーションで質のいい武器を供給できるようになった。

ただ、人を選ぶような武器が増えてきたのが悩みだそうだ。

魔導装置を使い質を高めているが、どうにもクセが出てしまうらしい。

意図せずエンチャントが施されたり、武器自体が意思を持っているように買い主を呼び寄せるようになったり、一種の呪いのような武器が出来上がる頻度が高いようだ。(呪いといってもあの路地裏は邪気などが全くないので、タチの悪いものはできないらしい。つまるところ相性のいい装備を求めやすいということだ。)

サラさん達は贅沢な悩みだと思っているようだ。

もちろん普通に使える武器もあるので安心をしてほしい。

そんな話をしていると。

「こんにちは~。今日も精がでるわね~。」

サラさんがやってきた。

なにやら大きな木箱を持って。

「仕上がったわよ~。達人ちゃんの防具。」

木箱をひょいと下ろす。そこにはエミー。

「できたの。会心の出来なの。」

サラさんが担いでいたせいで気付かなかったが、どうやら木箱の上にいたようだ。

「早速着るの。」

「今日はこれまでね。」

ふぅ〜と、汗を拭きながらリリは言った。

正直辛かったので助かった感じはあるが、攻略せねば。

これを突破できる日を想像できないが、もしできたら。

サラさんの持ってきた木箱を開けると、そこには燃えるような赤がベースの防具があった。

エミーに急かされるまま身につけると、軽く、しかし強靭である。

こういった防具をつけた経験が全くなくてもそう感じられる。

「馬子にも衣装てやつね〜。それにしても素晴らしい装備ね。心底羨ましいわ。」

武器といい防具といい、冒険初心者にはもったいないくらいの最高級品を与えられている。

それほど期待を寄せられているのだろう。

「サラさんに俺の体のサイズ教えてましたっけ?」

今更ながら、どうでもいい疑問をぶつける。

「聞いてないわよ~。初対面の時にアイアンメイデンでデータを取ったから~。」

「データがまだ残ってたから、採寸の手間は省いたわ~。数字くらいだったら読めるし〜。」

杞憂だった。というかあの装置の名前はそのまんまのアイアンメイデンだったのか。

採寸したほうがもっと平和的でもあると思うが。

なんにせよ準備は整った。

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