柊木学園編
[1章,柊木学園]
ーチュンチュン、チュンー
カーテンの隙間から朝日が指し、小鳥の鳴き声が聴こえる静かな部屋で朝を知らせる悪魔から耳障りな音がなり始めた。
ージリリリリリリリリリリー
「んんーるさい」
ーリリリリ カチー
「ふわぁぁ、もう朝か〜。まだ眠いなぁ」
大きな欠伸をしながらそう言いうと、顔に掛かった長い白金の髪を払い、背伸びしながら起きたのは、弥刀 妃墨。
彼は今日から柊木学園の高等部に推薦入学する高校1年生だ。
「眩し・・・・・・着替えよ」
とカーテンを開けながら言うとベットから降り制服に着替え始めた。
着替えが終わり机の上にあるベレッタを腰のホルスターに10cm程の針を袖の専用ポケットに仕舞うと右手人差し指に薄黒い結晶のはめ込まれた指輪をし、部屋を出てリビングに行く。
リビングの扉を開けるとキッチンの方から
「あっ おはよう。もう朝ご飯出来るから座って待っててね」
と黒髪ロングの少女がそう言った。彼女の名前は弥刀 静紅義理の妹だ。
「分かったー」
と言いながら椅子に座りテレビを眺めて居た。
少し経つとコトッと言う音が机からしたので振り向く。
「出来たよー」
と言ってベーコンエッグとパンとサラダを持ってきた。
「「いただきます」」
と言って朝ご飯食べ始めた。そして、朝ご飯を食べていると静紅がコ
「そういえば学校の支給された物とか持ってる?」
「持ってるよ。これの中に全部入ってる」
そう言うと指に付けていた指輪を見せた。
「そっか。じゃあ忘れ物も無さそうだね。それと後でその髪とくから待っててね」
と寝癖のついた髪を指差しながら言った髪をとかなくてもいいと思うけどなぁと思いながらも
「ん。分かった」
とサラダを食べ終わってから言うと静紅も食べ終わっていたのでお皿を貰うと
「皿洗っとくから準備してきなよ」
「ありがと。じゃあ準備してくるね。」
と言って2階に上がって行った。そうして皿を洗い終わって静紅を待ちながら壁に掛かっているダーツの的の様な物に袖から針を数本取り出し投げていると階段からとっとっとという足音が聞こえて来たので的に刺さっている針と取ると静紅が櫛を持って来て
「兄さん。ここ座って」
とソファーを指差したのでソファーに座ると器用に髪をとかし始めた。
「そういえば数年ぶりの学校だけど大丈夫?」
と心配そうな目で見れたので静紅の頭に手を乗せる。
「大丈夫だよ。学校だってテストだけは受けて成績は足りたし、出席日数は免除されたし静紅と同じ学校に行けるんだしへーきへーき」
静紅の頭をポンポンとしながら言うと静紅も安心したような顔になり
「はい。終わり」
「ありがと。じゃあ行くか」
「そうだね」
と2人はそう言って、家をを出た。これから行く学校の名前は柊木軍事学園この学園は日本に2校しか存在しない能力者専用学校である。学園の目的は戦闘技術を詰んでいつ戦争が起きても対応出来る人材を育成する場所である。この柊木軍事学園は初等部、中等部、高等部とエレベーター式を採用しており、初等部と中等部で勉学と魔法基礎を学び、高等部で戦闘訓練をメインにして学ぶ。そんな軍事学園に静紅は初等部から俺妃墨は高等部からの推薦入学者である。
しばらく歩いて学園に向かって歩いて居ると、
「あれ?おーい妃墨く〜ん静紅ちゃ~ん」
後ろから大声で呼ばれたので振り返ると2本の刀を携えた女の子2人が居て片方が大きく手を振っていた。
大きく手を振っている方が魂魄 氷華と後で手をヒラヒラしている方が魂魄 雹梨この2人は、静紅の中等部の同級生でよく家に来ていたので仲良くなり、それからはよく遊ぶ様になった友人だ。
妖夢が静紅向かって走り静紅に飛びつき2人が再開を喜んでいるのを見ていると
「久しぶり」
と横から声がした。
「ん・・・久しぶり」
「相変わらず変わらんなお前は身長とかみたぐふぅ」
「うるせぇ」
そう言いながら雹梨の腹部に思いっ切り膝蹴りを入れた。
「いっつ。相変わらず禁句に触れるとこうなるのね」
「分かってたならなぜ聞いたし」
と呆れ顔で手を差し伸べると背後から突然敵意を感じ指輪に魔力を流した。
次の瞬間、指輪が淡く光る、そして光が収まる時には黒く美しい刀身が振るわれていた。
振るわれた先には大太刀を上段に構えた男が冷や汗を流しながら立っていた。
「で、何か用?」
「っ!」
妃墨は敵意に対して殺意も敵意すら返さず恐ろしく冷たい目を向け切っ先を首筋に当てた。
そして先程まで、賑やかだった通学路に静寂が流れた。
「妃墨、悪いけどそれ納めて。高橋お前もだ」
妃墨の肩をポンポンと叩きながら言った。
妃墨はその言葉と同時に刀身を鞘に納めた。が高橋と呼ばれた男子生徒は納得が行かなかったのか構えを解かずに雹梨に向かって叫んだ。
「しかし、こいつは貴方に危害を加えたのですよ。見過ごせる訳が」
「もう一度言う。それを降ろせ」
高橋が言葉を続けようとするが、雹梨の冷めた声音を聞いた瞬間、大太刀を降ろし頭を下げた。
「は、はい。申し訳ありませんでした。首席」
その言葉を聞くと妃墨の背中を押しながら、先に学校に向かった静紅と雹華を追っかけた。
「そう言えば、首席って何の事?」
「まぁ。後で説明するわ」
「ふーん。それと、何か周りがざわつき始めたんだがそんなに珍しいのか?柊木学園って軍事学校だろ?」
「んー、喧嘩自体は珍しくは無いけどあれは珍しいな」
などと会話をしていると静紅達と合流し柊木学園に向かった。
柊木学園に着くと周りの視線が凄く刺さりそんなに珍しかったのか?と疑問符を浮かべて居ると、校門前に立っていた紫色で先が金色の女性がこちらの存在に気づくと人の間をすり抜けるながらこちらに近ずいて来た。
「貴方達が弥刀 妃墨君ですね」
「そうですが貴方は?」
と聞き返すと隣から
「あっ四季ちゃんだ。おはよう。」
雹華が手をヒラヒラさせながら挨拶する。
「いつも言ってるでしょう。四季ちゃんではなく会長と呼んでください。」
「いいじゃん。四季ちゃんは四季ちゃんだよ」
「全く。貴方は」
などと2人で話している横で呆れている妃墨と雹梨を見て、こほんと咳払いをし妃墨に向き直ると。
「お見苦しい所をお見せしました。私は柊木軍事学園で生徒会長をしています。華蝶 四季と申します。それと学園長がお呼びですので着いて来て貰えますか?」
「わかりました。よろしくお願いします」
そう言った後に雹梨達の方に振り返ると
「じゃまた後で」
「終わったら連絡頂戴ね。お昼一緒に食べべ?!」
雹華は妃墨の頭をポンポンしなが話していると雹梨ら刀の鞘で雹華の襟を引っ掛け浮かせると
「じゃまた後で」
と一言残し校舎に歩き出した。
その間雹華が両手両足をバタバタさせながら「絶対だよ。絶対お昼食べようね」などと叫んでいたが妃墨はスルーし四季会長と静紅は苦笑いして声が遠くなって来た所で
「では行きましょうか」
と言うと1番大きい校舎に向かって歩き出したので
「分かりました」
と一言言うと四季会長の後ろを着いて行った。
少し歩いて学園の中心にある建物に入りエレベーターで最上階に登りそこに唯一ある大きな洋風扉の前に立つと、コンコンと扉を叩くと
「弥刀 妃済君を連れてきました」
そう言うと扉の奥から
「どうぞどうぞ〜入って来て〜」
その言葉と同時に生徒会長は扉を開き
「どうぞ私はここで待っていますので、それと」
一度口を紡ぎ、溜め息混じりに
「気を付けてくださいね」
「どうゆうこ」
「はやくー」
どうゆう事か生徒会長に聞こうとすると部屋の奥から催促の言葉が飛んできたのでさっきの言葉を意味を考えながら学園長室に入った。
「失礼します」
「そんなに固くならなくて砕けた喋り方でいいよぉ」
「はっはぁ」
妃墨は自分の中の学園長のイメージと目の前にいる学園長に違いがあり過ぎて少し抜けた返事を返した。
その返事を聞くと学園長はこほんと咳払いをし妃墨に向き直ると
「私は柊木 神楽。ここの学園長と理事長をだよ。まぁ理事長は仮だけどね」
と軽い挨拶をすると自身の机の上にあるタブレットを手に取り
「じゃあ早速で悪いけど君に決めて欲しい事があるんだよね」
「決めて欲しい事?」
「そうそう。あっその前に」
と言うと机の引き出しを開けると中に入っていた端末と4種類のバッチを取り出した。
「とりあえずこれは持っててね」
「ありがとうございます。所でそのバッチは?」
端末を受け取り机の上に並べられたバッチを指差しながら聞くと、学園長は手に持っていたタブレットを触るとそのタブレットを妃墨に手渡し説明を始めた。
「まずこのバッチは自分がどの学科に所属しているかを判断する為の物で、学科は強襲、諜報、支援、特異の4種類、細かい説明はそのタブレット見てね」
妃墨はその言葉を聞きタブレットを操作して説明を読み始めた。
【強襲学科】
[強襲科]拳銃や刀剣といった近接戦を得意とする学科。
[狙撃科]狙撃や観測といった遠距離支援を得意とする学科。
【諜報学科】
[諜報科]敵地の潜入捜査や破壊工作などの事を学び、特殊工作員を養成する学科。
[尋問科]話術、心理学、人体学などの人から情報を引き出す事を学ぶ学科。
【支援学科】
[通信科]通信機器を用いた情報連絡によるバックアップや事件現場で錯綜しがちな情報から必要なものを聞き分ける術のほか、盗聴なども学ぶ。特に聴力・判断力が重視される学科。
[情報科]情報処理機器を用いた情報収集と整理方法を学ぶ学科。
[武器科]刀剣や銃や弾丸といった装備を販売や改造、メンテナンスする学科。
[衛生科]戦闘地域での救助や治療、後方支援を学ぶ学科。
【特異学科】
[魔法科]魔力適正のある生徒が所属する。精神力や魔力を鍛える事を基本に様々な事を学ぶ学科。
[魔導具科]魔法道具の作成、販売、メンテナンスを行う学科。
人通り読み終わりタブレットから目を話すとそれに気づいた学園長は机の中から書類を取り出す。
「読み終わった?」
「はい。読み終わりました。」
「じゃあさっそくだけど、学科選ぼっか」
「あれ?でも学科はこの前の試験で学園側で決めると聞きましたけど」
そう言いながらタブレットを返すと変わりに書類を渡した。
「そこにも書いてあるけど、一言で言うなら適正のある学科が複数あるから自分で決めて貰おうと思って」
「なるほど」
「それで聞きたいことがあるんだけど」
身を乗り出し妃墨の腕を掴むと袖に手を入れ針を1本取り出した。
「あっやべ」
そう思い直ぐに手を振り払ったが既に針は相手の手の中にあった。
「これを作ったのは君?」
抜き取った針を見て妃墨を見ると妃墨はバツの悪そうな顔で溜め息は吐くと
「そうですよ。あんまり言いふらさないで下さいね」
「勿論よ。にしてもこんなに高度な魔法陣を複数組み込んでいるとは。それに・・・この魔法陣を見るにまだ種類あるでしょ」
「はぁ。確かにその通りです。学園長ならわかると思いますけど自分の弱点を克服する為に作った物です」
「確かに、貴方の能力は宝の持ち腐れと言っても過言ではないからね。まぁだからこそのこれって事か」
しばらく眺めると針を妃墨に返し椅子から立ち上がると。
「じゃあもう行ってもいいよ。話も終わったし。一応放課後また来てね。その時に、学校学科の事聞くから」
「分かりました。では、失礼します」
「はい。ばいばーい」
そう言うと学園長室を出た。
「はぁー。疲れた」
「お疲れ様です。これどうぞ」
扉を閉めたと同時に精神的な疲労で本音を言うと、そうなる事が分かっていたかのよように四季会長は水を手渡してきた。
「ありがとうございます。生徒会長」
さっきの「気を付けてくださいね」はこういう事かと内心で思いながら水を受け取ろうとすると伸ばして手を避けられ「え?」という表情をしていると。
「生徒会長は堅苦し過ぎます。もっと気楽に呼んでください」
「じゃあ・・・会長とか?」
「・・・・・・」
「・・四季会長」
「・・・・・・」
「・・・・四季先輩」
「!はい。これからよろしくお願いしますね。弥刀 妃墨君」
そんなやり取りをしているとジト目からあからさまに雰囲気が変わったので少し苦笑いしながら水を受け取り水を飲み終わり近くにあったゴミ箱に捨てると
「では、行きましょうか。」
そう言うと会長はエレベーター中に入って行ったので妃墨も中に入った。
「そういえば弥刀君はこれの用途はご存知ですか?」
そう言うと学園長に渡された端末と同じものを見せて来た。
「いいえ。知りません」
「そうですか。」
と言うと頭を抱えながら全くあの人はとボヤく。
一度咳払いをし妃墨に向き直ると自分の端末を見せながら説明を始めた。
「まずこちらの端末は自分の身分と成績、ランキング、ルームキー、あとは連絡の役割があります。学園からの重要事項は基本的にこの端末に送られて来るのでこまめに確認をしておいた方がいいかと思います。後は妃墨君の端末を貸して貰えますか?」
と言われたので端末を渡すと端末同時を「コツン」と当たると少し画面を触り妃墨に手渡した。
「今のは?」
「連絡手段の交換です。今みたいにすると生徒同士で連絡が取れます。例えば」
と言うと会長は自分の端末を触ると自分の端末から音がしたので、自分の端末を確認すると『よろしくお願いします』と言う通知が来ていた。
「こんな感じで連絡が取れます。細かな使い方は静紅さんに聞いて下さい。」
「分かりました」
「後、この後の案内人はエントランスに居ますので着いてきて下さい」
そう言うとエレベーターが開き会長はエントランスに向かって歩き始めたので着いていくと会長はキョロキョロと周りを見渡すと近くのソファーに座っていた男子生徒に向かって歩き始めた。
「深夜君」
「ん?やっと来たか」
と言うとソファーに座っていた深夜と言う男子生徒が立ち上がりこちらに振り返ると少し驚いたような顔をした。
「お前、妃墨か?」
「あっ、深夜久しぶり」
「ほんと久しぶりだな。2年振り位だな
「そうだね」
と2人で話していると完全に空気となっていた会長が咳払いをし2人を見る。
「お二人はお知り合いなんですか?」
「知り合いと言うか幼馴染です」
「確か小三の頃か?知り合ったのは」
「なるほど。では深夜君、弥刀君の案内をお願いします。私はやる事があるので」
と言うと誰かに電話を掛けながら少し急ぎ目にその場を後にした。
「じゃあ俺らも行くか」
「そだね」
と2人もその場を後にし学園を見て回る事にした。
しばらくして学園の案内を終え妃墨と深夜は自分達の教室に向かっていた。
「そういえば。お前何科になったんだ?」
深夜は能力で結晶を様々な武器に変化させながら妃墨に聞くと妃墨は少し唸り。
「まだ決まってないんだよね」
「は?」
深夜は予測していなかった答えに能力による形状変化を辞め驚いたような顔をした。
「そんなに驚か無くても良くない」
「いや。普通に分かってるだろ、普通」
「そんなに普通普通言うなし」
そんなやり取りをしていると“1-A”と書かれた教室が視界に入る。
「着いたな。じゃあちょと待ってろ」
そう言うと深夜は教室に入り、少しすると、扉が開き深夜が手招きしたので多少緊張しながら教室に入った。




