どちらかを選ばなければ出られない部屋
目が覚めると真っ白だった。ここはどこだ?昨夜は自らのベッドで眠りについたと思うんだけど。
「駆!起きたのね!」
「宮野くん!私たち、どうしたらいいの!?」
二人によると、僕は今、母親と恋人とともに真っ白い部屋に閉じこめられている。
壁には赤文字で、『宮野 駆さんへ。この部屋からは2人しか出られません。貴方は母親と恋人のどちらを選びますか?』と書いてある。
一体どういうことなんだ?
「駆はお母さんが大好きだもんね?」
「もちろん、私を選ぶよね?」
家族と恋人が僕に媚を売ってくる。こんなのは初めてだ。
僕が選んだのは…。
「僕には選べない」
色々思い悩んだけれど、僕はどちらも選ばずに一人で部屋を出ることを決意した。
だって、どちらかを連れてでてしまえば、僕がもう一人を見捨てたんだって分かってしまうから。帰ったら、二人の行方は知らない、目が覚めると一人でいたんだと言えばいい。生き証人は僕一人だけ。だから誰も僕を疑わない。僕は狡い人間なんだ。
二人は僕の答えに不満だろうけど、仕方が無いよね。だって自分が一番可愛いもんね。
「そう、やっぱり選ばなかったわね」
「宮野くんさよなら、元気でね」
僕との別れを心から惜しむような二人の声に背を向けて、僕は部屋の外へと足を踏み出した。
「僕は行くよ。二人ともごめん」
僕は二人がいなくても、一人でも生きていける。
グサッ!!
「…っ!?」
体が、胸が熱い…なにかが、外に流れ出ていくような…。
前のめりに倒れてしまった僕に声が降ってくる。
「ほんと、私たちは正しい選択をしたわよね」
「ええ。彼は親不孝で加えて恋人も見捨てるような最低の人間でしたから」
なんで…僕が見捨てた二人がここに…。
「な…んで…」
「我が愛息子は察しが悪いわね」
「まだ分からないの?宮野くん」
力を振り絞って顔を上げると、笑顔の二人がいた。
「私は息子より息子の恋人を選んだのよ」
「私は恋人より恋人の母親を選んだんだ」
そんな…選ぶ権利があるのは僕だけじゃ…。
「バイバイ」
「宮野くん、天国でも元気でね」
目の前がぼやけて…二人が見えなく…。
僕は…どうなって…。
読んでくださってありがとうございます!
しょうもない話で申し訳ない!!
ホラーが書いてみたかったんだと言い訳させていただきます!!
あらすじ詐欺と言えなくもない。騙されちゃった人にはごめんなさいm(*_ _)m