第2話 初めてのモンスター討伐
武器を手に入れた俺はアリスとともに狩りに行くことにした。クエストは一般クエストとバベルの塔があることを聞いた俺はバベルの塔を希望したのだがアリスに却下されてしまった。
俺達は村を出発して狩りをする場所へと向かうことにした。村の広場から転送ポートでモンスターのいる島のレベルアップの森に行くらしい
「じゃあ出発前に確認ね。翼が前衛で盾をして、モンスターたちの注意を集めている隙に私が後ろで魔法の詠唱をする。で、詠唱が終わったら翼はすぐさま退却して魔法を待つ。最後に私が魔法をうち終わったら残党を翼が一掃して終わり。オッケー?」
「お、おう。んかアリスが一人でやってる感じあるけど初めてだしオッケーということで。てでも俺まだ防御魔法習得してないんだけど…」
「え?じゃあ端末のスキル習得のところ見てみて。何か出てる?」
「えーと、ファランクスってのが出てる。あと、斬撃」
俺はそう言ってアリスを見ると呆れた顔で俺を見ていた。
「やっぱり翼は化け物ね(笑)ファランクスっていうのは最高峰の防御魔法で、高等魔法なのよ?まさか、レベル1で習得できるなんて…取り合えず2つとも習得しといてね。じゃあ気を取り直して、レッツゴー!」
「お、おう」
話をしているうちに広場についた2人は転送ポートに乗りレベルアップの森へと向かった。
小さな村についた二人は早速森に入った。
「ここからはいつモンスターが来るか分からないから注意して」
アリスがとても真面目な顔で言った。しばらく歩いて行くとアリスが立ち止まり回りを見渡した。
「右から何か来る」
と、アリスが言った次の瞬間右の木の影からウサギに角を生やしたようなモンスターが飛びかかって来た。
「ファイアーボール」
声と同時に俺の背後から飛んで来た火の玉がモンスターに当たった。小さなうめき声を出したあとモンスターは小さな緑色の石に変わった。
「この石はアイテムっていってギルドで換金できるの。オッケー?」
すると、俺が呆然と立っているのを見かねたアリスは
「まぁ、しょうがないよ。初めてなんだし、ね?元気出して次頑張りましょう」
と、俺をばげましてくれた。俺はアリスが励ましてくれたお陰で正気に戻った。
「あ、あぁ。次は連携プレイで行こうな」
俺は多少の迷いはあったがアリスと共に森の奥へと進むことにした。しばらく歩いているとまたアリスが立ち止まった。俺は身構えて、アリスの言葉を待った。
「どうした?モンスターが来たのか?」
「精霊がざわめいてる。近くに何か来てる。それもかなり強い」
俺は素直に驚いた。それは強いモンスターよりもアリスの発言の方だ。
「あ、アリス。精霊ってなんなんだ?」
しかし、アリスは固まったまま1点を見つめていた。するとそこには牛に似たモンスターが二足歩行でこちらに向かって来ていた。俺はすぐさま端末を取り出して見るとそこにはミノタウロスは表示されていた。
「に、逃げるわよ。あれはミノタウロス。バベルの塔の10層の階層主よ。低レベルの冒険者が相手をしていいものではないの。でも、何でこんなところにいるの?」
アリスの言い方からしてかなりの強敵らしい。だが俺はなぜだか倒せる気がしてならない。根拠はないが倒せる気しかしない。
「アリス、俺は行くよ。倒せる気がするんだ」
アリスは反対するかと思ったが意外としなかった。
「リーダーのあなたが行くならしょうがないわね援護するわよ」
なんて頼もしい仲間なのだろうと思いつつ俺はイザナギ丸を抜いた。
ミノタウロスはもう目の前まで来ている。俺は距離を一気に詰めて斬りかかった。
「斬撃!」
アリスの支援魔法がかかった俺は人間とは思えない速度でミノタウロスめがけて突っ込んだ。カンカンと剣が当たる音がしたが相手にダメージはなかった。同時に背中に凄まじい衝撃を受けた。
相手のカウンターアタックを受けた俺は一気にHPをもっていかれ、立ち上がるのがやっとだった。そして、俺は側に落ちていた端末を取り上げ逃げようとしたそのときだった。画面が黄色く光り「EXスキル 雷切」という文字が。すかさず俺は雷切をタップしてスキルの習得を完了させた。
2本の剣を右手に持ち精神を集中させた。そして、今だ!と思った瞬間に俺は目を見開き斬りかかった。
「雷切」
次の瞬間稲妻となったイザナギ丸がミノタウロスを真っ二つに切り裂いた。そしてしばらくの沈黙のあとモンスターが紅色の石となった。
「お疲れ様」
アリスが笑顔でこちらに向かって来た。その笑顔を見た俺はまだ生きているのだと実感した。
「お疲れ様」
俺は抱きついて来たアリスを受け止め無事に村へと戻った。
その夜、二人は村の居酒屋へ行った。
「いや~凄かったわよね、雷切。ミノタウロスが真っ二つよ真っ二つ」
お酒が回りよくしゃべるアリスを見ながら俺もお酒を一気に飲んだ。その後、2人は酔いつぶれるまで飲んだあと朝方宿舎へとふらふらになりながら戻った。
こうして初めてのモンスター討伐は無事に終わった。