第一話
ギャンブルが好きなのだろうか?
お金が好きなのだろうか?
7が好きなのだろうか?
買い物の時にはいつもより100円も高い野菜やお肉には悩むのに
5分以内で泡のように消えていく1000円には抵抗が無い。
ガヤガヤとした騒音が心地よい。
うるさいのは嫌い。
だけどどうしてかな…ここはとても居心地が良い。
きっと時間が許すならいつまででもいれるだろう。
一万円がただの紙切れ同然にどんどん吸い込まれていっても
何度もう二度と来ないと思ったとしても
私は何度だってここに戻ってくる。
ここは私の居場所。
何も考えなくていいから
スロットをしている時は騒音に紛れて私の心の叫びも
書き消してくれる様な気がするから。
いつからだろう嘘をついてでも
ここに訪れるようになったのは
使ってはいけないお金を使い込んで誤魔化したのは
若いときは借金もした。
最初は軽い気持ちで少額を…
罪悪感はあった。
すぐに返した。
だけど、
一度が二度になり、気が付くと借りれる限度額が
自分の貯金額であるような感覚に陥っていた。
その頃には金融会社で借金をしているっていう
【罪悪感】はもうほとんど無くなっていた。
限度額いっぱいになった価値の無いカードの代わりに新しいカードが届いた。返済の期日に新しく届いたカードから下ろし返済にあてた。
そしてまた少し借りれるようになった枠でお金を借りる。
給料も返済に当てる分まで先にスロットで増やしてから返そうと使い込む。
負けても負けてもたまに勝つことで全て忘れてしまう。
自分がどれだけ負けてるのかさえ麻痺してしまう。
興奮したいのかお金が欲しいのか
心のどこかでずっと警笛が鳴っている。
それを騒音で書き消して聞こえないふりをしてきた。
私はまだ大丈夫。
なんとかなる。
私からこれを奪ったら
何が残るのだろうか
もうとっくに狂ってしまっていたのだろう。
借金は80万程になっていた。
返しても返しても減らない元金
利子だけ払い続けるような日々
もうとっくに心は壊れていたのだろう。
原因不明の息苦しさで病院を何度も訪れた。
行き着いた先は古びた心療内科。
私についた病名は【うつ病】だった。