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逃亡

短いです。遅れたのにすみません。

遡ること1日、浅黒い肌に二本の角を生やした鬼族の男ーームラクモは5日ほど前からラングドリア王国を訪れていた。

5年前の大戦以来、祖国に帰っていたのだが急に昔馴染みに会いたくなり出てきたのだ。

しかし彼は誰がどこにいるかなどわからない。昔から無計画なのだ。


どこを目指すわけでもなく彷徨っていたその時、遠くの方から嫌な気配を感じた。

一般的に鬼族は気配感知に長けているが、彼はその中でも群を抜いていた。

今まで嫌な予感が外れたことはない。すぐに彼は走り出す。


走ること丸一日、気配の元にたどり着いた。そこには嫌な気配の奴だけでなく見覚えのある昔の仲間と

三人の冒険者がいる。ここは格好いい姿を見せるチャンスだとばかりに自慢の筋力を駆使して跳び上がった。



◆◇◆◇◆



俺の前に立ったムラクモは俺の知っている姿ではなかった。

いつも持っていた巨大な剣はないし、金ピカなマントも鎧も着けていない。

だがこの圧倒的な存在感と自己顕示欲は間違いなくあいつのそれだ。


ムラクモは俺に登場を大声で伝えた後、奴に向かって走り出した。

そして一気に距離を詰め、ものすごいスピードで拳を叩き込む。


「ふんっ!」


いつも剣を使っていたから気づかなかったが、武道も嗜んでいるようだ。

改めて自分の能力の低さを思い知らされる。

彼は拳を止めず、殴り続ける。殴る。殴る。殴る。

殴るたびにドゴン!と凄まじい音が鳴り響く。


しかし奴には全く効いている様子はない。

するとムラクモは攻撃するのを止めたかと思うと、急にこちらに走ってきた。


「おい!なぜこっちに走ってくるんだ!」


「これも我の作戦だ!安心しろ!」


そう言われてより一層心配になる。

その瞬間彼は俺の横で止まったかと思うと、俺を脇に抱えて跳び上がった。


「うわあああああ!」


思わず叫び声が出る。


「がっはっはっはっは!どうだ!完璧だろう!」


「どこがだ!逃げてるだけじゃねえか!」


「がっはっはっは!」


相変わらず人の話を聞かないやつだ。何も昔と変わっていない……


装備以外は…


「そういえば、昔の装備はどうした?」


「ああ、泥酔していたらなくなっていた!何故だろうな!はっはっは!」


あっていない5年間の間に何あったのかと思ったが、ムラクモはどこまでいってもムラクモだった。

そう思うと気が緩み、傷のことを思い出してきた。かなりの傷のようだ。意識が朦朧としてくる。

するとそれを感じたのか、


「このまま宿まで届けてやる!我とお前の仲だ!安心せい!」


また安心できないようなセリフだが、不思議とまぶたが重くなってきた。

そうして意識を失った。



―*―*―*―*―*―*―*―*―



ドンドンドン!


戸を叩く音で目がさめる。ご丁寧に体には包帯が巻かれていた。

何事かと慌てて開けるとそこには見たくないやつが立っていた。


「見舞いに来てやったぞ!」


周りの迷惑なので、一旦黙らせてから状況を聞く。

どうやら俺は半日ほど寝ていたらしい。

その間に何かがあったというわけではないが、万が一の時のためにCランク以上の冒険者たちが門を見張ったり町人を避難させたりと警備隊と協力して働いているらしい。


人より何倍も回復力があるので、もう傷は塞がっていた。

慌てて支度をすると、宿を飛び出す。心配していたがベリムさん達はもう避難したようだ。


急いで門へと走る。そこにはたくさんの冒険者たちがいた。俺を避けるように皆移動して道ができる。

いつもなら少しうんざりするところだが、今回は都合がいい。ムラクモと二人で最前線まで進みでる。


そして見張ること1日。

冒険者たちの疲れがピークになるのを待っていたかのように山から現れ、街に近づいてくる。


そして奴は冒険者たちに襲いかかった。




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