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危機

遅れてすみません!

許してください!何でもしますから!!

次の日、いつもの時間に行くと朝早いというのにもうギルド長がギルドに来ていた。


「ああ、おはようさん。アルイアくん」


「えっと…」


「名前はギルドにあるしね、今日はお願いがあってきたんだよ」


「なんでしょうか?」


「昨日調査隊を出すって言ったんだがね、あれに君を入れようと思ってね」


「なんでですか?俺の扱いは知っているでしょう?周りに迷惑を掛けるだけです」


「いやね、場所を詳しく知っている奴がいたほうが良いだろ?それにあんたが腕が立つのは知ってるしね」


「いや、でも…」


「あんたも男だろ?やるときはやらなきゃ」


「わかりました、わかりました。やりますよ」


「それならいいんだ。もう少ししたら他の奴らも来ると思うし、ここで待ってな」


そういっている間にギルドのドアが開いて三人組が入ってきた。


「ああ、よく来たね。紹介するよ、アルイアくん。彼らは『グリフォンの翼』だ。ほら、自己紹介をしな」


すると、リーダーらしき赤髪の男が口を開いた。


「俺はリーダーで剣士のアレックスです。よろしくお願いします」


残りの金髪で軽装の男、青髪のローブを着たおとなしそうな女がそれぞれ


「俺はアサシンのマークっす。よろしくっす」


「あの…わたし…魔術師のレイです…得意な属性は氷と雷です…」


と怖がる様子もなく言った。


また俺の心を読んだかのようにルーシーさんが言う。


「この子たちはこう見えてもAランクなんじゃ。上がったばかりだがね。だからいろいろ体験しているし、この間まで別の街にいたから君に先入観も持ってない。適任じゃろ?」


「ええ…はい」


「君のことはすでに話してあるから、自己紹介も要らんだろう。早速出発してくれ」


そう言われてすぐに出発した。



―*―*―*―*―*―*―*―*―



特に話すこともなく、彼らが話しているのを見て少し疎外感を覚えながら歩いていると、マッスルホークの住処だった所についた。

そこにはまだあの死体は残っていて、他のモンスターが来た様子もなかった。


「これはひどい有様だな…」


そうアレックスが呟く。


「そうっすね、俺は周りの偵察をしてくるっす」


「頼んだ。じゃあアルイアさん、俺たちはもう少し詳しく死体を調べてみましょう」


「あ、ああ」


急に話しかけられ少し焦る。改めてその死体を見てみると、多少腐敗は進んでいるもののアンデッド化しているような気配は無い。

そもそもアンデッド化する原因は二つある。

一つは殺される前に恨みや悔しさなどを抱くこと。もう一つは死霊術で無理やりさせる方法だ。

わざわざこんな死体をアンデッド化させるメリットがないのは当たり前だが、恨みや悔しさを抱いていないということは相手に何の感情を持つ間もなく殺されたということだろうか?

だとすれば相当強いのだろうか?

そんなことを考えていると、マークが偵察から戻ってきたようだった。心なしか顔色が悪いような気がする。


アレックスもそう思ったのか、少し心配しながら話しかけた。


「大丈夫か?何かあったのか?」


「ええ、ここ一帯を調べたんっすけど生きている反応はなかったっす。その代わりに首が無い様々なモンスターの死体があったんっす」


「それは本当か?」


「はいっす。しかもオーガやその上位種のレッドオーガなんかの簡単にはやられそうに無い奴らまでそんな姿になってたっす。その上まだ新しい死体だったっす」


「ということは…まだ……近くに…」


衝撃の事実にレイは震えながらそう言葉を零した。そんな彼女を元気付けようと、アレックスは大きな声で


「大丈夫だ!一人では無理でも俺たちなら勝てるさ!ねぇ、アルイアさん?」


と言う。


「ああ、大丈夫だ」


勝てないかもしれないという言葉を飲み込んで、自分にも言い聞かせるようにそう言った。


「とりあえず戻りましょうっす。これ以上の長居は危険っす」


「ああ、そうしよう。暗くなる前には下山したい」


俺たちは少ない荷物をまとめて、出発する準備を始めた。

その時だった。奴の声が聞こえたのは。




「グギャアアアアアアア!!!!」




姿を現した奴は化け物だとかそういう生半可な言葉で表せるようなものでは無かった。


血で染まったのであろうそのどす黒い表皮。


オーガなど比べものにならない太さの腕。


その手についた血の滴る凶悪な爪。


血管の浮き出た脚。


この世の全てを憎んでいるようなその顔。


天を貫かんとする禍々しい一対の角。


全てを喰らうその牙と口。


見たものを凍てつかせる全て真っ赤に染まった眼。



Aランクとはいえ、そんなものを見た『グリフォンの翼』の彼らが思わず動きを止めてしまったのは仕方が無いことだろう。

しかしその一瞬が命取りだった。奴はアレックスに狙いを定め、襲いかかった。

反射的に俺は彼を押していた。奴の爪が背中に触れ、鎧が破けその下の体にも裂傷ができる。

そして攻撃の風圧で木に叩きつけられた。


「アルイアさん!!」


奴は標的を変え俺に迫ってくる。


「いいから逃げろ!!」


なんとか意識を保ってそう叫んだ。

彼らは一瞬戸惑ったものの、ちゃんと逃げてくれた。

奴は殺すのを楽しんでいるのか、口角を上げながらゆっくりと歩いてくる。


俺は右手の紋章をみた。

この力を使ってもこの怪我では勝てるかどうかわからない。

一か八か、勝てることにかけようと紋章に魔力を流し始めたその時だった。


「ふんっ!」


筋肉隆々のその男が空から降ってきて俺の前に立ったのは。

見覚えのある背中越しに彼はこういった。


「待たせたな!!アルイア!!我、参上!!!」




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