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始まり

最高でもこのペースが限界みたいです。

では、どうぞ

いつも通り鳥の鳴き声で朝早く同時に目が覚めた。

食堂に降りると既にベリムさんとヨネズさんは仕事を始めていた。


「おはよう!アルイア!はい、朝ごはんのパン!そしてこれが昼ごはんのサンドイッチだよ!」


シンプルだがとても美味しそうなパンと皮袋が差し出される。

それらを受け取ると、俺はいってきますと言って宿を出た。あまりゆっくり飯を食べているとギルドに人が集まり始めてしまうから早くから出るのだ。

その事情をわかってくれている彼らは、ありがたいことに簡単に食べられるものを朝ごはんとして用意してくれている。



―*―*―*―*―*―*―*―*―



ギルドに着くと昨日の受付嬢がいた。怯えているようだが、気にせず無言で依頼の紙を渡し受注する。

今日のクエストはマッスルホークという筋肉隆々の鳥顔の魔物の討伐だ。

奴らは食料となる気性の穏やかなモンスターを惨殺するだけでなく、畑を荒らしたり人を襲ったりとにかく害悪なのだ。

唯一マシなことといえばホークという名だが体はほぼ人間なので飛べないということだ。


手続きが終わったようで受付嬢が依頼書をわたしてくれた。


「ありがとう」


答えは返ってこないだろうが、一応礼は言っておく。


「っ……」


受付嬢は目を合わせることもなく、裏にもどってしまった。

居心地が悪いので早速出発することにした。



―*―*―*―*―*―*―*―*―



昼ごはんも食べ終わって目的地であるワムカン山の中腹についた。しかし気になることがある。


「おかしいな……」


今日一度もモンスターに遭遇していないことに違和感を覚える。周りの気配を探るものの誰も見つからない。

仕方なくそのまま進むことにした。


すると、少し開けた場所に出た。土が掘られていて木の葉などが詰められている様子を見る限り、ここはマッスルホークの住処のようだ。


「なんだこれは…」


巣を覗き込んで中にあったものに驚く。そこにあったのは首から上がないマッスルホークの死体だった。

どの巣を覗き込んでも同じ惨状で、凄まじい死臭を放っている。思わず顔を背けてしまうほどだ。


「っ……」


瞬間、視線を感じた気がして振り向くが、そこには誰もいない。

この状況では依頼を達成することなどできそうにもないので、俺は帰路に就いた。


◆◇◆◇◆


side???


アルイアが帰った後のマッスルホークの住処にその者は立っていた。

怪しげな黒いローブをたなびかせながらマッスルホークの住処に近づいていく。

そして首のない死体を見て、満足気にほくそ笑んだ。


その後アルイアが去っていった方向を見て、


「あれが例の…」


そう呟きを残し、風が吹くように姿を消した。


side out


◆◇◆◇◆


ギルドに戻ってきた俺はいつもの反応にうんざりしながら受付へと向かう。

お互い運が悪いことに空いているのは今朝の彼女のところだ。

一瞬、怯えた様子の彼女を見て話しかけることを躊躇するが、そんなことをしている場合ではないと思い直し話しかけた。


「おい」


「ひゃっ、ひゃい!」


やはり話しかけるのをやめようかと思うくらいの怯えぶりだ。


「ワムカン山に行ってきたのだが少々問題があってな、報告しに来た。」


「しょ、少々お待ちください!用紙を取ってきます!」


「わかった」


すぐに彼女は戻ってきて言った。


「お、お待たせしました。報告をどうぞ!」


「ああ、ワムカン山のマッスルホークの住処が壊滅していた」


「あ、あの申し上げにくいのですがそれになんの問題が?」


「それだけならいいのだが、首がない死体が大量にあったんだ。モンスターならばわざわざ食べられる体を残すような真似はしないだろうし、冒険者ならば討伐証明部位の嘴だけとって体はアンデッドにならないように燃やすはずだと思ってな」


「な、なるほど。ではギルド長に報告してきます!お待ちください!」


少し待つと受付嬢の代わりにローブを着た老婆が出てきた。


「私がギルド長のルーシーじゃ。詳しく話を聞かせておくれ」


俺の顔を気にする様子もなくそう言った。それが気になり聞こうとすると、彼女は心を読んだかのように言う。


「あんたの顔を気にしない理由かい?そりゃ何年もギルド長をやったらいろんな奴を見てきたからね。あんたみたいな奴なんて、辺境に行きゃいくらでもいるわな。そんなことより詳しい話を」


「あ、ああ。今日マッスルホークの討伐を受けたからワムカン山に行ったんだ。そもそもおかしかったのがモンスターに一回も遭遇しないことだ。気配もない。だから警戒しながら進んでいると開けた場所に出た。そこが件のマッスルホークの住処だったってわけだ。」


「本当に何も気配は無かったのか?」


「ああ、一瞬視線を感じたような気がするくらいだ。」


「なるほどねぇ、明日調査隊を出そう。今日は疲れたろう、ゆっくり休みな」


「ありがとう、そうさせていただく」


俺はそのまま宿に帰り、眠りについた。何も知らないまま…



そう、これが俺の運命の歯車を再び回すとも知らずに…








感想などありましたらどうぞ。

今日の更新は無理かもしれません。

すみません。





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