【閑話】女神の密やかな楽しみ[その2 ]
ふんふんふふ~ん♪
「……ご機嫌だな」
「ほれはほんなほひしひほほが」
「ちゃんと飲み込んでから喋れ」
ごっくん。
「それはこんなおいしいものが、出来たんだもの~」
右手に串揚げ、左手にコロッケ。テーブルにはピザ。
と、ビール。最高!!
そもそも、あの子をうっかりこっちで転生させたからって、あっちの世界に行けなくなるとか、拷問だった。
こっちの世界は、美味しいものが非常に少ない。
本当に少ない。
いじけるほど少ない。
「……三回も言うか」
「だったらお土産くらい頂戴よ!」
「出入り禁止はお前のミスからだ。自業自得だろう」
「うっ」
まあ、だからってあの子にこんな能力付け足しちゃう私もどうかとは思うけど。美味しいから問題な~し♪
この展開になるまで長かったけどね。全然料理の話にならないから、何か仕込んじゃおうなんて考えちゃった。えへ。
「……お前、降格したいのか」
「ないよ、ないない。今更修行とかやり直したくない!」
「あんまり過剰に干渉するんじゃない」
へいへい。分かってますよう。だ。
「……反省しろよ」
「おっ。お茶会始まった」
もぐもぐもぐ。
ごっくん。
今回はいい感じだね。ちょっと攻略対象があの子に惹かれすぎな気もするけど。
って、ん?
「突っかかってきたな」
ノリが悪役令嬢だけど、何もかも足りないねぇ。小物っぷりが半端ないなぁ。
「……あれにはなんて書き込んだんだ?」
「へ?あれには干渉してないよ」
「……」
なんで黙るの、もう。
ん?あれ?
攻略対象が助けて……ああ、本命ライバル令嬢がお出まししたのね。
「本命ライバル令嬢?あの子がライバルじゃなかったのか?」
「ライバルの一人。でも伯爵令嬢だから、本命は公爵令嬢だよ。勿論」
「勿論?」
なんで睨むの?あっ、また手がグーだよグー。
「お前な」
あっ、婚約?そんな話になるなんて。
「あの子もやっと幸せになるんだな」
「まさかぁ」
「は?」
だってヒロイン登場前だもん。お話はこれからよ。
「そのヒロインはどんな子なんだ?」
「うん。私と同じで乙女ゲーが好きな子」
「……ウチから一人連れていってたよな?」
「そうそう、その子。異世界転生して乙女ゲーのノリをしたいっていうから、じゃあ来てみる?って聞いたの」
「……そんな理由だったのか」
まあ、同意の上だし。しかも乙女ゲーじゃないって言ってあるし。
異世界転生と能力高めとちょい足しの魅力アップ、としか伝えてないよ。
「人に好かれやすいって?」
「うん。好かれやすいってだけで、好かれる訳じゃないし」
ただねぇ。なんかおかしいんだよね、彼女。
ヒロインとか言ってないし。フラグなんてないし。
ゲームみたいな展開になっても、ゲームじゃないのよ。
人の話聞いてたのかなぁ。
「……痛い奴になってないか、それ」
「でも、私があんまり頻発に会うわけにいかないよね?」
「ま、様子見だな」
そうだね。痛い奴って関わらず見てるだけなら面白いし。
「過干渉にならないようにな。
じゃあまた来る」
はいは~い。
もう一本ビールいっちゃおうっと。




