【閑話】女神の密やかな楽しみ[その1 ]
女神様の覗き見です。
思考駄々漏れしています。
やっとこの日がきたー!
私が拳を握り締めると、後頭部を叩かれた。
容赦ないな、お前。
「誰がお前だ」
しまった、心の声が漏れた?!
「今も駄々漏れだ」
「なんですってー!」
さとり、さとりなのね、貴方。
「……自分が声に出してるだけだろ
「まあ、それはそれとして」
私がうっかり転生させちゃった女の子の、元々の世界の神様も一緒に見ている。
やっと攻略対象者との出会い……五年、長かったなぁ。
「俺はその間のあの子が不憫でしょうがなかったけどな」
うん。聞こえな~い。
「まあ、俺のところから勝手に連れ去って不幸にするとかなしだからな?」
でも、ライバルキャラだからなー。ちょっと当て馬?
「当て馬?」
「いやいやいやいや」
慌てて首を振る。
目が怖い、怖いよおっさん!
「誰がおっさんだ!」
お。宮廷魔術師もいる。めでたい門出を祝して、だね。
「……門出なのか?」
ん?魔術師、退場。若いのきた。けど攻略対象者じゃないな。当たり前か、まだヒロイン七歳だしね。
「ん?あの子五歳だろ?」
「うん。あの子は五歳」
「おい」
「ライバルキャラだからね」
おっさんが睨んできた。
「ちゃんとヒロインとライバルって決まってる訳じゃないよ?
私の希望的観測なだけで」
「おい」
「……ヒロインの子に、能力(上)って書き込んじゃったし」
「ちなみにあの子は?」
攻略対象者、二人だけかぁ。
あっ、王子きたー!隣に大臣の息子きたー!
おっ。あの子見つけて、王子が興味持ったみたいで、上々だわ。
って、あれ?
今、確かに興味持ったよね?
なんで睨んでるのよ、王子?
へ?
『茶会の雰囲気を壊したのだ。もう下がれ。
ーー俺がいいと言うまで、二度とその面を俺に見せるな』
はぁ?何言ってるの言っちゃってるの?
うわぁ、隣から流れてくるブリザードがヤバいよ、ヤバい。
「お前のところは神からして、常識なしだが、こいつもか」
ねえ、なんか手がグーになってない?すごく嫌な予感がするよ、ねえねえ。
「あとさっきの答えがまだだ」
「さっきの?」
「ヒロインが能力(上)だろ?あの子は?」
「……中の上」
痛い痛い痛い痛い。
グーの手でこめかみをグリグリしないで!
「梅干しの刑だ」
「初耳だよー」
ようやく手がはなされたので、指で撫でる。可哀想な私。
「可哀想なのはあの子だろ。
まさか、能力値このままにしないよな?」
「だってライバルだし」
「しないよな?」
はい、しません!
だからグーの手をしないで!また梅干しの刑とかやだー!
「雑巾の方がいいか?」
「どっちもやだよ?!」
雑巾の刑って何?
私だって五年待ってこんな展開になるなんて思ってなかったもん!
「取り敢えず、中の上を上限にはするなよ?」
「……は~い」
渋々、書き込み追加。
えっと!中の上のところに、「人より少し努力を必要とするが、上も狙える」って、感じか。
「まあ、それでいいか」
ん?王子がなんか落ち込んでない?あれ。
「ああ。……焼きもちか」
何ぃ?お前のせいで梅干しの刑を食らったじゃないか!
「あれも気にしているな」
ほうほう、大臣の息子もか。問題はあったけど、収穫がない訳じゃなかったのね。
どっちが落とすかなあ。いや、その前にヒロイン出てこないとダメか。
「ヒロインが今いないのはなんでだ?」
「最近引き取られたばっかりで、マナーがなってないみたいよ」
何しろ、いいとこのお嬢様だもん。王子様だって狙える身分だから、ちゃんとしてからだってさ。
親がそんな考え方みたい。
「また見に来る」
じゃあね~。
さて。私も仕事に戻るかな。




