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4つの鍵とその主人 Ⅰ  作者: キアラ
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鍵と4人の少年少女

「キアラ」と申します。今回初めての長編小説で、舞い上がっているところです。どうかよろしくお願いします。

 【PROLOGUE】


―――これは、ある少年の、突飛な夏の出来事。少年は、とある年の夏に、4人の不思議な青年少女と出会った。彼女らは国家的に関わる人ばかりで・・・! 少年と青年少女たちの『SUMMERSTORY』が今、幕を開けた―――



 【EPISODE1】


 炎天下。40℃以上を記録した、今年最高気温の夏。

 その太陽のもとに、少年が一人、人ごみに紛れていた。今回の物語の主人公の名は、「阿立 龍雅」。典型的な普通、何処にでもいるような高校二年生。誰にでも優しく、ルックスも勉学も良い事から、年齢問わず女子に人気な18歳男子。


《昨日、コンビニに強盗が入りました。ですが、同時刻、同じコンビニにいた元女子中学生に倒され、そのまま通報を受けた警察に逮捕されたとの事です。今回活躍した元女子中学生は、いつの間にか姿を消していたそうです。では、次のニュースです・・・》

「へぇ、勇気ある元女子中学生だな」


 よそ見をしていたようで、龍雅は目の前の少女とぶつかってしまった。ぶつかった少女は、怒る事もなく、ただ龍雅をじっと見つめると、そのまま人ごみに紛れて行ってしまった。

 その少女こそ、2番目の鍵『終焉』の持ち主「柊 李桜」。


「さて。調べてみよ・・・ッ!?」


 ふと、後ろから手刀で首の付け根を打たれ、そのまま龍雅は気絶してしまった。

 炎天下のコンクリートはとても熱く、業火の当たる鉄板の様な感じで、倒れ続けていたら、焼き豚のようになるのではと、龍雅は最後に思いつつ、目を閉じた。目を閉じる寸前に、夏の制服を着た少女がニヤッと笑って、龍雅を見下ろしていた。


 目が覚めたのは、どこかの施設の中だった。

 龍雅はイスに座った状態で縄で縛られ、身動きがとれず、スポットライトで照らされている状態。


「な・・・何だよ此処!」


 龍雅は必死に縄を解こうと奮闘するも、きつく結ばれていて、全く解ける気配がない。

 すると、暗がりの中から、少女2人と男性2人の声が聞こえた。


「おい、連れてきてどうするんだよ。馬鹿じゃないの?」

「す、すみません! だってあの人、私達を調べようとしてたんですよ!? 放っておくのはいかがなものかと思うんですけど・・・」

「それでも・・・何故・・・攫ってくる・・・」

「まぁでも、いつかは言わなきゃならない時だってあるんだしよ! 別にいいんじゃね?」


 スポットライトが照らしていない暗がりで、やけに大声で会話している4人の女性と男性。

 そして、龍雅の視線に気づいたのか、その中の一人の制服を着た少女が、龍雅に近づいて、自己紹介を始めた。その少女が自己紹介を始めると、他の3人も自己紹介をした。


「私は、月宵高校一年生「水谷 美月」です! 職業は研究所所長で、あだ名は「研長」です。以後よろしく!!」

「元月宵中学校二年「柊 李桜」。職業は特別自衛隊隊長。あだ名無し。よろしく」

「・・・元月宵高校二年・・・「五十嵐 怜央」。・・・職業は、特別警察署署長。・・・あだ名無し。・・・よろしく・・・」

「俺は、月宵高校二年「轟 冬弥」ってんだ! 職業は、レスキュー隊隊長! よろしくな!!」


 各々が自己紹介したと同時に、ありえない職業の事まで言った。しかも、その職業は全て政治に関わるものばかり。研究所に自衛隊、警察署、レスキュー。

 龍雅がしばらく唖然としていると、冬弥が顔を覗き込んできた。

 すると、李桜と怜央が言った。


「私達の事を調べようとするなら、なお帰さないよ」

「は、なんで!?」

「当たり前・・・だろう・・・。俺達の秘密を、バラされる可能性があるかも・・・しれないからだ・・・」

「バラすって・・・」

「昔、私達の仲間がもう一人いた。・・・でもそいつは、外で私達の事をバラした。だから、怜央の鍵で始末したんだ」

「なんで殺さなきゃならないんだよ!」


 すると、冬弥が重い口を開いた。


「なら、お前には分かるのか?」

「え?」

「自分達の秘密を外でバラされて、それ以来、変装するしか外を出ることができなくなった俺達の苦しみが」

「・・・」

「平凡な人生を送れる奴らが羨ましいよ。お前は、俺達の事も知らずに調べようとしたのか? 笑わせんなよ、俺達は籠の鳥。こんな狭くて暗い部屋の中に自分を押し込めて・・・! 李桜なんてな、‘外へ出る’事の恐怖を外の世界の奴らに植え付けられて、影で暮らさなければならないんだよ!!」


 ダァン!! と壁を拳で叩きつけながら叫ぶ冬弥。その表情は、苦しみと痛み、悲しみがかけ合わさったよう。

 李桜は、怜央の胸に自らの身体を埋める。怜央は、李桜の心情を悟ったようで、李桜の頭と背中に手を回し、そのまま抱きしめた。

 暗がりだからその姿は見えないが、とても悲しそうだった。

 聞いてはいけない領域に入ってしまった、そう思った龍雅は、一言「悪い」とだけ謝ると、自分の自己紹介を始めた。


「そういや俺の自己紹介がまだだったな。・・・俺は「阿立 龍雅」。月宵高校二年の、ごく普通の高校生だ」

「そのわりにはモテるくせに?」

「えっ!?」

「お前、その優しさとルックス、勉学の優秀さから、年齢問わず周りの女子に大人気。バレンタインデーの時なんか、学校と街中の女からチョコを貰ってんだろ?」

「なんで知って・・・!?」

「お前の通ってる高校の男子生徒が普通に話してたのを、ちょいと聞いただけ。ま、半分は盗み聞いたくらいだし」


 「個人情報!!」と膝をつきながら崩れ落ちる龍雅。李桜がその肩に手を置きながら、「まぁ口が軽すぎたあいつらもどうかと思う」と笑う。

 確かに、個人情報はしっかりと守るべきだ。しかし、口が軽すぎる友達がいるとなると、それは別。きっと龍雅の友達は、買収によわかったのだろう。思い出して笑っている李桜を見れば、一目瞭然だ。


「あいつらぁ~ッ!!」

「そう怒らないでくださいよ! どっちみち、龍雅さんだって私達の事を調べようとしたんだし、人の事言えませんよ!」

「お前・・・ド直球のうえに、見境なくハッキリと言うな」

「はい! いつもそれで李桜さんに怒鳴られてます!!」

「怒られてんじゃん!!」

「いえ違います! あれは説教という名の・・・」

「それが怒られてるっつってんの!!」



 【EPISODE2】


 龍雅が、この施設にやってくるようになってから数日。

 ふと、思った事を、近くにいた怜央に聞いた。


「なぁ怜央。ここに来る階段はあったけど、窓がない。ここって一体どこなんだ?」

「ここは・・・地下だ・・・」

「地下!?」

「だから・・・ここでどんな騒音たてても・・・地上までは、届かない・・・」

「そ、そうか・・・」


 「騒音」と言われて、あのメンバーで起こす騒音が解らない龍雅。

 そんな龍雅の心情を悟ったのか、怜央が付け足して言った。


「時々・・・ここに、俺達の・・・部下が来る。・・・その時に、宴を開く・・・」

「あ~・・・だからな」

「お前は・・・李桜を、嫌うか・・・?」

「え・・・? いや、別に。だって友達だろ?」

「・・・ありがとう・・・」


 読んでいた分厚い本を置いて、そんな質問を投げかける怜央。龍雅は、少し焦りながらも答える。怜央は「友達だろ」と言った龍雅に思い切り振り向き、そしてなぜか礼を言った。


「李桜は昔・・・自分の目の事で、いじめられてたんだ・・・」

「目?」

「李桜は・・・どんな時でも、目の色が黄金に変わる。・・・それは、まだ幼く、両親を亡くした時から・・・そうなった・・・」

「・・・」

「李桜は・・・その時のいじめが、トラウマになって・・・ずっと、誰も信用できなくなってた・・・でも、」

「?」

「お前に会ってから・・・すごく、楽しそうな李桜・・・初めて見た・・・」


 そう言って微笑んだ怜央は、とても暖かかった。

 怜央によると、いじめにあった自分を捨て、新しい『特別自衛隊隊長』という世界でこれからの人生を生き抜くと言っていたそうだ。

 ずると、向こうから買い物終わりの変装した李桜が、帰ってきた。そのまま風呂へ入りに行ってしまった李桜を追うように、怜央も慌てて風呂に入りに行った。

 その様子を唖然と見る龍雅は、冬弥に聞いた。


「なぁ、なんで女子と男子が一緒に風呂入ってんだ?」

「あいつらは二人で一緒に入るんだよ。なんでか知ってるか?」

「え、なんで?」

「実は実は! 怜央さんが李桜さんの事好きだから!!」

「ちょっと・・・全部聞こえてる!!!」


 突如風呂場から聞こえた怜央の大声。

 冬弥から、「怜央は聴力が常人の何倍もあるからなぁ~・・・」と溜め息をついた。


「え・・・?」

「ん? 李桜は目が異常で、怜央は聴力が異常なんだよ。ま、怜央の場合、李桜と違ってコントロールできるんだ」

「なんか・・・ここって常人が少ない系な?」

「言っとくが、俺と美月も常人じゃないぞ?」

「え?」

「俺は怪力。美月は髪の色だな」

「髪の・・・色?」

「あぁ。だよな? 美月」


 先ほどからいた美月に問いかける冬弥。

 すると、美月はなんの悪びれる様子もなく、悪戯に笑って言いのけた。


「そうですよぉ~! 私は、普通はこういうこげ茶色なんですけど、いざ感情が高ぶると、このこげ茶がなんとぉ~? 青色に変わるんです!!」

「ええっ!?」

「本当ですよ? あーでもなぁ・・・あんまり感情が高ぶることがないし、見れる確率は大体・・・二十パーセント程度くらいですかねぇ」

「そんなに感情が高ぶらないのか?」

「感情が高ぶると言っても、『喜怒哀楽』の中の一つ、『喜』ですけど」

「『喜怒哀楽』って・・・」


 聞くところによると、この四人は、『喜怒哀楽』で表しているのだそうだ。

 美月は『喜』、李桜は『楽』、怜央は『哀』、冬弥は『怒』。これで当てはめてみた龍雅は、一人納得していた。

 しかし、冬弥は「口コミでそういう噂が広がって、そのせいで変装するしかなくなった」と付け足した。


「ふぅ~・・・いい風呂だった」


 丁度いいところに、李桜と怜央が風呂から上がってきた。

 龍雅は、確かめるために李桜と怜央に聞いた。


「李桜、怜央」

「ん、何?」

「何だ・・・」

「李桜が『楽』で、怜央が『哀』っていう口コミ・・・本当か?」

「「は?」」


 綺麗に重なる不機嫌な声。

 しかし、ハモる事よりももっと優先すべきことに気付いた龍雅。それを指摘する。


「まぁそれはいいとして・・・なぁ怜央。なんで上半身裸なんだ?」

「これで・・・いつも・・・寝てる・・・夏だと、暑いから・・・毎日上半身裸で・・・寝てる・・・」

「もちろん部屋は一人だよな?」

「李桜と・・・同じベッドで、寝てる・・・」


 その怜央の言葉に沿えるように、李桜が「大丈夫。まだ襲われてないから」と言った。

 その李桜の言葉に安心した龍雅は、気絶してしまった。


「あ~あ、気絶してしまったか・・・」

「流石に・・・言うのは、恥ずかしかった・・・」

「あのなぁ・・・寝るのも恥ずかしいんだよ? こっちはあんたの寝息がいちいちかかって、もう心臓バックバクでさぁ」

「今夜は・・・いい?」

「別にいいよ?」


 傍からすればいかがわしい会話に聞こえるが、話している内容は、ちゃんと正常だ。

 その夜、龍雅は美月と冬弥の同室で寝ることとなった。



 【EPISODE 3】


「んっ・・・もうちょっと優しくして・・・ッ!」

「気持ちいい・・・?」


 ただいま李桜は怜央にマッサージされている。夜はこうして怜央のマッサージをしてから寝るのが、李桜の特権。怜央は、李桜にしかマッサージしない。前に、李桜が冬弥にマッサージを頼んで、李桜の骨が砕けそうになったことがあり、それ以来、ずっと怜央がマッサージをしている。


「ふぅ・・・もういいよ。お前もだいぶ、疲れたろ」

「いや・・・まだ、大丈夫・・・だったのに・・・」

「別にいいよ。今度は私がお前に何かお礼をするよ」

「・・・ありがとう」


 怜央は李桜を抱きしめる形で眠り、すやすやと整った寝息を立てている。一方、李桜は眠れず、赤面していた。


「・・・おい」

「ん・・・何だ・・・」

「今夜は・・・私に・・・構ってよ」

「・・・・・・分かった」

「間が長い」 【PROLOGUE】


―――これは、ある少年の、突飛な夏の出来事。少年は、とある年の夏に、4人の不思議な青年少女と出会った。彼女らは国家的に関わる人ばかりで・・・! 少年と青年少女たちの『SUMMERSTORY』が今、幕を開けた―――

いかがでしたか?

不快に思う方はどうぞ続きを見ないで、そのままUターンして忘れてください。応援してくださる方は、多分いませんが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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