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第46話 聞いてないよ!

お読み頂きましてありがとうございます。


今週も1話更新となります。

「近衛師団・団長のリラだ。」


 今日は、王宮に御伺いしている。マクシミリアン様にあの戦いの際に真っ先に僕の元へ駆けつけてくれた騎士の方にお礼が言いたいと言ったところ、王宮で面会させてくれたのだ。


「えっ、女性の方だったんですかぁ?」


「実は、元々は父の側室だったのだが、父が亡くなったときに、俺のことをお願いしたらしく、母親のような存在なんだ。」


「いやですわ。同い年なのに母親ですか。」


 ハスキーな声のお姉さまである。マクシミリアン様と同い年には、とても見えない。ショートカットで細いがキリッとした眉毛が特徴だ。マクシミリアン様の態度からすると、相当厳しく躾けられたらしい。


「リラといい、フローラといい。俺の周りの人間は、強く厳しくてな。つい儚げな女性に目がいってしまうのだ。」


 僕って、そんなに儚げに見えるのだろうか、自分でもこの態度は、不味いかもと思う態度をマクシミリアン様に対して取ってきたと思うのだが、腐ってないかその目玉。


「まあ、本当に可愛らしいわ。確かに儚げではあるけど、どこかしっかりした部分も見受けられるわね。」


「先日は、失礼しましたぁ。貴女に抱きしめてもらってとても安心できましたぁ。」


「いえいえ、あの時は、マム様の方が皆を鼓舞して頂き、大変助かりました。真っ先にマム様の声が聞こえると言い出したのは、マクシミリアン様でしたが、はっきりと国境付近まで聞こえてきましたよ。」


「いえ、あの時は、本当に夢中でぇ・・・。あの後の活躍も見事でしたぁ。私と同じ風使いなのですね?」


 風使いの魔法剣士らしく、風魔法を使った壁やフライによる上空からの攻撃に、周囲の敵を渦巻き状に蹴散らせたりと縦横無尽の活躍だったのだ。


「いえいえ、あれは、マム様がレアのMPポーションを確保して下さってたお陰ですよ。それでなくては、あんな無茶な戦いはできません。」


 物見櫓には、いったいどれだけアンコールがあれば、すべて消費できるんだという量のMPポーションが置かれていたのだ。その多すぎる量のMPポーションが、彼女の戦闘に役に立ったというわけだ。


「それは、俺がだな。」


 もちろん、大量に置いたのは、マクシミリアン様だ。


「なにか言いました?」


 にこやかな顔をこちらに向けていたのが一瞬にして鋭い視線をマクシミリアン様に向ける。


「・・・うっ・・もういい。」


 マクシミリアン様は、涙目になっている。


 なるほど、しっかり躾けられている。


「リラ団長、風魔法を教えてくださいぃ。私、リラ団長のようになりたいですぅ。」


「マム、それは、止めとけ。無骨なマムにならないでくれぇ。」


「それは、どういう意味ですか。私が無骨に見えるとでも?」


 リラ様が睨みつけるような視線をマクシミリアン様に向けている。声もさらに低めになっている。


「いや・・・あの・・・その・・・。とにかく、俺は、マムを後宮に入れたいんだ。マムに後宮がどんなところか、教えてやってくれ。リラならわかるだろう?」


「マム様を籠の鳥にしてしまうおつもりですか。もったいない。」


「籠の鳥?リラが籠の鳥だったことがあるのか?どちらかといえば、後宮の侍女から側室までモテモテだったじゃないか。しかも、時折、出られないはずの後宮を抜け出しては、王宮の女たちまで手を出して。まあ、半分は、兵隊たちと訓練していたらしいが・・・。」


 はぁ。確かに下手な男性よりは、何倍も素敵に見える。それが、女性ばかりの後宮なら、一層目立ったことだろう。


「父も言ってたぞ。後宮で手を出した女の数で負けるって。」


 まるで兄の女性版だ。


「まあ、あの人がそんなことを・・・。私は、別に、可愛らしい蝶がこんなところで年老いていくのが、勿体無くて・・・。」


「そんなことを言って、嬉々と手を出しまくっていたくせに。」


「マム様。聞いての通り、私にとっては、花園でしたけど。やはり、女性ばかりですので、それは、嫉妬心が見え隠れしたドロドロとしたやりとりや派閥などもあるところです。決して安易に決めてしまっては、いいことではありません。」


「説得・・・。せっと・・。」


 マクシミリアン様が何かを言いかけるが、リラ様の視線を受けて止まった。


「とにかく、週に1回時間が取れるようでしたら、お教えします。」


 週1回だったら、学園が昼までで終わる日に伺えばなんとかなるだろう。


「はい。よろしくお願いしますぅ。」


「では、都合のいい日を教えて頂ければお迎えに上がりますので・・・。」


「えっ。それでは、リラ団長の余分な時間を使わせてしまいますぅ。王宮くらい1人で来れますぅ。」


「今、マム様は、大変微妙なお立場です。決して1人で行動しては、なりません!陛下から今日から護衛の任務に就くように仰せつかっておりますが・・・聞いて・・・らっしゃらない・・・ようです・・ね。へ・・・陛下。」


 聞いてないよ!


 僕とリラ様がマクシミリアン様のほうへ向くとそっぽを向いてらっしゃる。


 ああ、そうですか。そういうことですか、わかりました。わかりましたとも。


「ええと、これからはリラ様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」


「いえ、リラとお呼びくだされば。わたくしも、マムと呼んでも・・・。」


「ええ、ぜひ。では、送って頂けますかぁ。リラ。」


 実は、帰り道は、マクシミリアン様が送ってくれることになっていたのだ。まあ、マイルズさんもいっしょだから、いいかなと思っていたのだが・・・それならば、リラ様をありがたく使わせて頂きます。


「俺が・・・。」


「なんでしょう?それから、少々疲れたので今日の予約は、無しということで・・・よろしいですね!じゃあ、お願いしますぅ。」


 僕がリラ様の腕に抱きつき、エスコートしてもらうことにした。


またまた、危ない人物が・・・。しかも、こっちはモノホンの・・(汗)


はてさて、マムの貞操は、いかに。・・違うって(笑)


来週をお楽しみに。


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