第30話 留学生
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今週は2話放出。1時間ごとに予約いれました。
王立学園の楽士専攻科は、朝からその話題で持ちきりだった。なんと友好国である隣国のルム王国の王子と王女が留学してくるというのだ。
ここ王立学園の騎士専攻と楽士専攻は、この大陸でトップの講師陣を集めており、近隣の国の貴族が留学してくることが多いのだが、さすがに王族が来るのは、珍しいため話題を攫っていたのだ。
「ユーティー、聞いたかあのうわさ。」
「うん。ルム王国のことだよね。」
「どうやら、かの国の近衛師団クラスの実力の持ち主だそうだ。俺のトップも風前の灯みたいだ。」
「しかたがないよ。同等の実力だとしても、相手を怪我させるわけには、いかないもんね。」
「くそっ。来年の競技会も優勝して、マムちゃんとお話ししようと思っていたのに!」
まあ、来年には、居なくなっていると思うけどね。
「おいおい、まだ諦めていなかったのか?」
「なんで諦める必要があるんだよ!ライバルが減ったかもしれないという噂なのに。」
「えっ、なにが噂になっているって?」
なんだろう。まさか、マクシミリアン様を出入り禁止にしたことがバレているのか。そんなことがわかったら、『チェリーハウス』の未来は、無いに違いない。
「国王様がこのところ情緒不安定なんだって!きっとマムちゃんに嫌われたんだろうって。」
よかった。その程度か。でも、不味いな。今度来たら、もっと優しくしてあげよう。
「王女さまは、凄い可愛いという噂だけど?」
「ああ、友達の侯爵家子息によれば、凄い可愛いらしいんだけど身体は未発達なんだと。」
それって、要約するとロリ体型ということなのか。
「じゃあ、ケイのタイプじゃないか。」
「それは、無い。」
「マムみたいなんが好きなんだろう。」
「マムちゃんは1年もすれば、ナイスバディになるよ。きっと・・・。」
ケイが夢見るような目をしている。僕の胸やお尻が膨らむのか・・・・。想像したくないな。というか、想像するなよ。
「よく、そんなことが解かるな。夢を壊すようだが、ここ数年、そういったところは、成長していないぜ。あいつは。」
「・・・・・。とにかく、王女さまは、もう16歳なのにその体型なんだってさ。マムちゃんと2歳も違うんだから、大丈夫だって。」
・・・・・・・
「皆も噂になっているようだから、知っていると思うがルム王国から留学生が来たから、紹介しよう。第3王子のヨハン・ダマスス・フォン・ルム殿だ。」
えっ、楽士専攻に王子が?ということは、騎士専攻に王女なのか?
「よろしくお願いします。ヨハンと呼んでください。」
王子のわりに物腰が低い。これなら、それほど、気を使わなくてよさそうだ。まあ、こちらは平民だから近づく機会はないだろうけど。
と思っていたのに・・・。
「皆も既に知っていると思うけど、ヨハン王子が当ロビン教室の生徒としてお迎えしました。皆さん、仲良くしてあげてください。」
どうやら、僕の弟弟子になるみたいだ。
「ユーティー君、同い年は君だけだから、お世話をしてあげてね。」
僕は、ヨハン王子の前まで行くと跪き、頭を垂れて挨拶をした。
「平民のユーティーと申します。よろしくお願い致します。」
相手が弟弟子でも、物凄い身分違いだ。マムの時に習った礼儀作法で挨拶をする。
「よいよい。私の臣下では、ないのだから、普通に弟弟子として接してくれれば良い。」
「ですが・・・。」
チラっと視線をロビン先生のほうに向け、御伺いを立てる。
「ユーティー君、そうしてあげなさい。王子は、同世代の友達が欲しいそうよ。」
そう言ってロビン先生は、すまなそうな顔をする。
「はっ、僕でよろしければ。では、ヨハン王子、よろしくお願いします。」
「できれば、ヨハンと呼んでくれないか。」
いくらなんでも、隣国とはいえ、王子を平民の僕が呼び捨てにできるはずもない。
「そ、それは・・・。」
僕ができないと頭を振ると彼は、悲しそうな顔を向けてくる。ロビン先生のほうをみるとさらにすまなそうな顔で手を合わせている。
「わかりました。ヨハン、よろしく。」
僕が手を差し出すとその手を握りかえしてきた。
「ユーティー君、よろしく。」
まあ、学園内だけの話だろうからなんとかなるか。
・・・・・・・
「ヨハン!」
噂の美少女が目の前に飛び込んで来た。しかも、ケイが引き攣った顔で付いてきている。どうやら、あちらも王女と友達にさせられたようだ。
「ユーティー、お前もか?」
「そうみたい。」
「ヨハン、そちらの可愛いかたを紹介してちょうだい。」
「こちら、兄弟子のユーティー君だ。姉のアマーリエです。」
今は、ドレスを着ているのでよくわからないが、顔は、確かにロリ顔だが、手には、剣ダコができているし、腕も筋肉質らしい。きっと、身体も筋肉の塊なのだろう。
念のため、跪き頭を垂れ挨拶する。
「ユーティーと申します。お見知りおきを。」
「よいよい。堅苦しいのは嫌いじゃ。アマーリエじゃ、騎士専攻に入ったのじゃ。」
僕は、立つことを足され立ち上がると王女が顔を近づけてくる。
「うー、可愛いのう。よし、わしの小姓にしよう。」
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