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クレアルージュ  作者: 由布 叶
5/24

【5】  アル1

長らくお待たせして申し訳ありませんでした。

やっと書けましたので投稿します。


長くなりそうなので小分けにしました。

 西の公国。

 公国からの手紙なんて良い予感が少しもしないわ。

 確か数年前に第一公女様が跡を継いだのよね。聡明(そうめい)な方だと記憶しているけれど……それでも手に余る事態がおきた、と。

 私がどれだけ力になれるかしら?

 日帰り、と言うわけにはいかないわよね。何日かあちらに滞在することになるわ。そうすると、もう一通きたこちらの手紙は後回しにするしかないのかしら?

 たぶん、近くを通るとか顔を見に行くとかそんな内容だと思うけれど。まあ、運が良ければ会えるでしょう。早速帰って準備をしなくちゃ。

 


 気持ち歩調を速めてきた道を戻る。仕立てのいい馬車が横通りクレアは少し道の隅へ寄る。

 通りに、人は多くもないし少なくもない。だから、すれ違う誰かともし肩がぶつかってしまったらそれは故意(こい)にやったものだと思うのはおかしくないはずだ。

「あ、ごめんなさい」

 正面を歩いてきた三人組の男性にかるく肩をぶつけてしまい咄嗟(とっさ)に謝る。

「あ?ちょいと待てや」

 そう言って通り過ぎようとしたクレアの腕を掴む武骨な手。

「ぶつかっておいてごめんで済ます気か?」

 あん?とガンをたれる人相の悪い男たち。気がつけばクレアは三人の男に囲まれていた。

 たかが肩が当たっただけで何をそんなに怒るのやら。クレアは呆れてしまって言葉も出ない。

(だんま)りかよ。何とか言ったらどうなんだ」

「ビビッて声もでねぇ、か?」

 下卑た笑いを漏らす。

 何も言わないクレアの態度を「怖がっている」と解釈したらしく腕を掴んでいない後の二人が(まく)し立てる。

 

 端の端ではあるが、ここはまだ貴族達御用達の店が並ぶ界隈(かいわい)で道行く人々の身なりはそれなりにいい。

 しかし、この三人組は服を着くずし近くで見れば(ほつ)れて糸が出ているところもある。

 そう言えば、とクレアは記憶を辿る。最近下級貴族や金持ちを狙って何かと文句をつけ、金をせびる(やから)が増えていると噂を聞いたような。

 気の弱そうな人や女子供がよく被害にあうらしい。要するに、クレアはその迷惑な輩に遭遇してしまったらしい。迷惑なことこの上ない。



(さて、どうしましょ?)

「人に迷惑をかけたんだ。それなりの対応をすべきじゃないのか?」

 本当に。人に迷惑をかけているのだからそれなりの対応をしてほしいわ。

「誠意を見せろって言ってんだよ」

 あなたたちに誠意?……なさそうね。元より期待はしていないけれど。

「目に見える形で示すもんだよなぁ?」

 すでに示したと思うのだけれど。目に見えるように謝罪、という形で。理解できなかったかしら?

「おい、何とか言ったらどうなんだ!」

「痛っ」

 痛いじゃない。引っ張らないで腕を離してちょうだい。あなた力が強いのよ。

 あぁ、変なのに捕まってしまったわ。急いでいるのにどうしたものか……。

 できれば穏便に済ませたかったのだけど、何を言っても聞いてくれそうにないわ。本当にどうしましょ?

 男たちはなおも言い募り、クレアがそっと指先に魔力を集めようとしたそんな時だった。


「嫌がっている女性に言い寄るのは感心しないね」


 耳に心地よい声が割って入り、クレアの腕を掴んでいた男の手首を持つといとも簡単に引き剥がした。

 突然の乱入者に男たちが驚いている隙にその人はクレアを庇うようにそっと背後へ押しやった。

「なんだでめぇ。関係ねぇヤツは引っ込んでろ!!」

 掴んでいた腕をあっさりと引き剥がされた男が食って掛かる。

「関係ない?いやいや、そうとも言い切れない。なぜなら僕は彼女とは浅からぬ関係なのだから。それに女性が困っていたら助けるのは義務だよ」

「るせぇ。優男は黙ってろ」

「傲慢な貴族が一人で、大したこともできねぇくせに偉ぶってんじゃねぇぞ!」

 男たちが言うように確かに優男風の外見は彼ら比べひ弱そうで、荒事には向いていなさそうだ。

 色の薄い金色の髪は美しく、エメラルドのような碧の瞳は優しげだ。やや生地の荒い、それでも平民からしすれば十分に高価な服を身にまっとているが滲み出す気品は隠せない。仕草の一つ一つに育ちの良さが(うかが)える。

「ここ最近、君たちのような輩が増えていると報告が上がってきているんだよ。このまま増えるようならもっと罰を重くすべきじゃないかと言う案も出ているほどにね。今ここで君たちを捕まえるのは簡単だよ?」

 スッと碧の目が細められる。

「でもね、(ただ)ちに僕の前から消えてくれれば今回だけは見逃してあげるよ。未遂のようだしね」

 男女関係なく整いすぎた顔、というのは時に人に恐怖を与えることがある。

 男たちは顔を真っ青にしながらも「クソッ、覚えてやがれ!」と三下のセリフを残し逃げて行った。


男たちは「ぶつかってきたんだから慰謝料としてお金という目に見える形で誠意を見せろ」と言っていました。

要するに、金を出せと言っていた。遠回しですね。この世界に「慰謝料」という言葉があるは不明ですが。


アルが言うところの「浅からぬ関係」は「全く知らない他人ではない」という意味。


デュークは二十歳くらい。リュカは十代半ば。アルは二十代半ばくらい。ローザの年齢はヒ・ミ・ツ(笑)

アルの設定は育ちが良いことと何か重要な役職に就いている、というくらいしか考えていません。

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