絶景プラネット
『美しいですね。』
『あぁ、そうだな。』
茜色に輝く空。太陽が遠くの海に沈んでいく。手前に見える大地は、太陽の光を反射してきらきらと金色や銀色に輝いている。
丘の上で座って景色を眺めている2人の男以外、辺りには誰もいない。
『しかし 、何故こんなことになったのかな?』
『何が?』
『何故自分達で自分達滅ぼすような事をしたのかなって思って。』
『さぁ。』
『…この惑星を焼き尽くせるほどの兵器を作ることのできる知能を持っていたんなら、少し考えれば、その兵器を使えばこういう結果になる事は予測できたはずじゃないか。』
『そうだな、当事者たちも、そのことは分かっていたんじゃないかな。でも、分かっていても、止められなかったんでしょ。』
『…綺麗だね。』
『ああ、…そうだな。』
爆撃の残骸で、覆い尽くされた黒い地面には、所々からラジウムやら焼け残った何かの物質やら鉱石やらが混じっている。それがきらきらと輝いていた。おそらくずいぶん前から、この状態だったのだろう。
この男達は、はるか遠くの惑星から、星から星へと旅をしており、この星に立ち寄った宇宙飛行士である。
たどりついた星で、自分達と似たような種族、高い知能を持った生物が生息しており、自分たちと同じように社会を作っていることも、稀にある。
そして、この星のような事もごく稀に、ある。
『そろそろ機内に戻って出発するか。』
『そうだね。』
男達が、立ち上がり、歩き始めようとした時、ふと、足元で、何かが動く気配がした。男達が、下を見ると、2~3cmほどの色は濃い茶色で、6本足の生物がいた。
『生き物は、全て全滅していると思っていたけど…素晴らしい生命力だな。』
『こういう、下等生物の方が、長く生き続けるんですよ、大抵。』
『…高い知能なんて、持たない方が良いのかもな。』
2人は数十メートル歩いてロケットのそばまで来た。
そしてロケットに乗り込んで、太陽系第3惑星を後にした。