「お姉さんを傷つける奴は消すよ?」~もふもふショタ達に愛されすぎて困っています!~
「お姉ぇちゃ~ん、かまってよぉ~」
「こら。姉さんが困ってるだろ?」
「全くお前ら、恥ずかしくないのか?朝も早くからよぉ」
今日も朝から騒がしい。
3人のショタに囲まれ、私の1日は始まる。
「はいはい、今かまってやりますからねー」
私の名前はシノ。獣使いの2代目だ。といってもまだまだ半人前でして…。
で、何でそんな私の周りにショタがいるかって?それは…
「お姉ぇちゃ~ん!早く早く~」
この子の名前はイオリ、見ての通りの甘えんぼだ。
「だからぁ、困ってるって言ってるだろ?」
この子はエリオ、しっかり者だ。
「まったく、見てらんねぇよ」
で、この子がレイ。ちょっとひねくれものの子だ。
「おい、レイ!何いつも上からなんだ!?」
と、イオリ。意外と怖いもの知らずだ。
「なんだ?やろうってのか?」
ケンカを買うレイ。
「こらこら。やめろって」
仲裁にかかるエリオ。えらいぞ。
でもこうなったらもう止まらない。始まるぞ~。
イオリとレイは獣化した。
ガルルルと、お互いを威嚇する。
そしてお互いめがけて飛び出した!
「はぁ~い、ストップストップ」
私はその間に割って入った。
すると、2人は急ブレーキをかけて停止する。
「もう、そんなしょうもないことでケンカしない。分かった?」
「はぁ~い…」
「チッ…」
はぁ~、手が焼ける。
そう、この子たちはただのショタじゃない。正体は獣。この魔獣がはびこる世界の魔獣の子供だ。
ちなみに、イオリは魔狼の子。エリオは聖角鹿の子。レイは影豹の子である。
「さぁて、かまってやるからおいで~」
「わぁ~い」
エリオは獣化して、イオリと一緒に私に突進してくる。
モフモフ
「ほれほれ、レイもおいでぇ~」
「オレはいいよ…」
「早くしなさい!」
私はぴしゃりという。
「チェ、仕方がねぇなぁ…」
レイも獣化して私の所へ駆け寄る。
モフモフモフ
いやぁ~、モフモフはいい。この瞬間のために生きているといっても過言ではない。
私はしばらくモフモフを堪能した。
この子らはそもそも、人間に討伐されかけたところを拾われた獣の子たちだ。
親が危険な魔獣だったために討伐されかけたわけで。
子供には害はまだないだろうということで、私たちのような獣使いが引き取っている。
将来人間の味方になるように、そしてグレないように育てるのが私の仕事ってわけ。
この子たちはそんな過去がありながら、私には懐いてくれる。ありがたい。
私にも獣使いとしての才能がカケラでもあるのだろうか…?
それとも記憶もないほど小さいときに私の所へ来たからだろうか。
まぁいずれにせよ、私たちは今の所上手くやっている。
このままこの暮らしが続けばいいのだが…。
「なに暗い顔してるの?シノ。どうかした?」
と、イオリ。意外と勘がいい。
「なんでもないわよ」
「何かあったらボクにすぐ言ってね!」
と、エリオ。やっぱり頼もしい。
「…なんか言えば?」
私は意地悪くレイに話を振る。
「知らねぇ」
やっぱりな対応のレイだ。素直じゃない、まったく。
「ねぇ、私達が出会った日のこと覚えてる?レイ」
「うへぇ…」
うんざりなような顔をするレイ。
あれはある寒い地方でのこと。
私のほとんど初仕事の日だった。
私は1代目である父についていくだけで精いっぱいだった。
雪の中、山を登り、懸命に現場へ向かっていた。
ようやく着いたと思ったら、そこには討伐隊とそれに駆られた大型の影豹がいた。そして。
そこには小さな子供の影豹が傷ついて横たわっていた。
「さぁ。手当をしてやれ。それがお前の初仕事だ。」
父が言う。
「…え!?私が?」
そうだ。と、父。
「わかった。やってみる」
私は吹きすさむ雪の中、必死に手当てをした。
上手くいくかもわからない。そんな中でかじかむ手で私は手当てを続ける。
治癒魔法はあまり得意ではない。が、今はそんなこと言っている場合ではない。
練習はしてきた。できるはず…!できると信じてる。
討伐隊は去った後だった。彼らは討伐を終えて早々に帰っていった。
「終わった…」
私はできるすべてを尽くした。
「よくやった」
父が言う。
「さ、帰るぞ。冷えるからな」
治癒は施したが、弱った体でこの寒さはさすがに応える。
私たちも早々に帰ることにした。
「キュウ…キュウ…」
まだ人語は喋れないようだが。何を言っているのだろうか…。
こうして私の初仕事は終わった。
「覚えてねぇやい」
ぶっきらぼうにレイは言う。
「またまたぁ~。私あんなに頑張ったんだよ~?」
「じゃあ逆にあんな小さいときのこと覚えてんのかよ?」
「ふ~ん、そんなこと言うんだ。こうしてやるっ」
モフモフモフ―!と、私はレイをモフしだいた。
「ばっ、ばかやめろ!」
あははは、と私。
いやぁ~、ホントに今が楽しい。
「あ、ズルい!ボクにもやってぇ―!」
イオリが割って入ってくる。
「いやぁ~イオリくんにもいろいろなことがあってねぇ~…」
「ボクも!」
とエリオ。
「もちろん君もだよ~、エリオくん!」
今日も今日とてモフりの日々です。
そんなときだった
「おい!大変だ!!街に盗賊の集団が現れたぞ!」
街の人たちが一気にざわめき立つ。
「おらおらぁ!とっとと金目のものをよこせぇ!」
一体どういうことだろう。最近の不況のせいで暴徒が荒れ出したとでもいうのだろうか。
そして盗賊の一部が私の所にも来たのであった。
「なんだぁ、姉ぇちゃんと…ガキが3人かぁ?」
「ほら!命が惜しけりゃ金目のものだ!早くだせぇ」
盗賊が言う。
「やめなさい!」
私は大声で言った。
「フンッ!そんなんでやめるわけねぇだろぉ」
盗賊は私に襲い掛かろうとする。
「やめろ」
その言葉と共に盗賊の1人が後ろへ吹き飛んだ。
「だからやめろと言ったのに…」
私は飽きれながらに言う。
「大丈夫?ケガなかった?」
「大丈夫よ。私はね」
そこにはバキバキに戦闘モードに入った3体の魔獣がいた。
「あなたたちも大きくなったわねぇ」
そう。イオリ、エリオ、レイの3人だ。
モフモフ状態の時とは違う姿がそこにあった。
「さ、ついでに街を救っておいで!」
「OK!」
「任せてよ!」
「しゃあねぇなぁ…!」
と言って3人は街へ駆け出して行った。
その後、ものの5分で盗賊たちは制圧された。
「よくやったわ!さ、ご褒美よ~!」
モフモフモフ~!
「いったい、誰へのご褒美だ?」
と、レイ。
「もちろん私~!」
「なんだそれ…」
一件落着だ。
こうして私たちのモフモフライフは続いていくのだった。




