マイケル王子(3)
目が覚めるとマイケルは馬にうつ伏せに乗せられてロープで縛られていた。
落ちないように胴を縛っていたので、手は動く。思わず首に手をやると、ペンダントの鎖があったので、ほっとする。なにやら近くで話声がするので顔を上げると。
「おや、目を覚まされましたか?」
と綺麗な貴族の娘が声をかけて来た。
「この方の縄を解いてさしあげなさい」
「へい」
中年の村人風のおっさんが縄を解いてくれた。
どこかで見たことがあるようだが思い出せない。
「じゃあ、あっしはこれで」
「待ちなさい。辺境伯騎士団の方に報告するので、謝礼が出ると思いますから」
「とんでもねえ。領民として当たり前のことをしただけでございます、アンナ様。これから途中で投げ出した仕事を片付けなきゃならないんで失礼します」
「お前はどこの村のーー」
ところが男は馬に乗ってさっさと去って行く。
遠くで乗馬して男を待っていた少年と共に一目散に走り去る。
「あらあら、よほど急いでいたみたいね。あとで自分たちが見つけた方がどなたかと分かったらどんな顔をするでしょうね」
そして馬に乗ったままぼんやりしている私に向かって、その貴族の娘はスカートを摘まんでコーティシーをしてみせた。
「そなたは?」
「はい、このナウリー子爵領のナウリー子爵が長女アンナ・ナウリーと申します、殿下」
「マイケルだ。私はいったいどうしてここへ?」
「なにも覚えていらっしゃいませんか?」
「確かこの馬で大森林の方に行った気がするが」
「魔物に襲われて落馬したところを領民に発見されたのです。私の所に連絡があったので、すぐここに連れて来るように指示しました」
マイケルは頭や胴に巻き付けている布に手をやった。
「ああ、それは私が心得のある領民に言いつけて応急措置をさせたものです。辺境伯の騎士団がすぐそこまで来ていますので、ご案内します」
私はいったいどんな魔物に襲われたのだろう?
スライムに襲われて落馬したのだろうか?
どうもよく思い出せない。
さっきの男と少年はどこかで見たような気がするが、思い出そうとすると頭がボーッとなって何も考えられなくなる。
アンナは従者に言いつけて、私が載っている馬の手綱を引かせて、自分も一緒に歩き出した。
歩いてほんの5分もしないうちに辺境伯の紋章の旗をひらめかせた騎士団の姿が見えた。
そして先頭にいたのはダニエル兄上だった。
アンナ嬢は小走りに駆けて行き、兄上に事情を掻い摘んで説明したらしく、なにやら兄に感謝の言葉を受けていた。
私はアンナ嬢に助けられたらしい。
だがどうもそのことに違和感を感じてもいるが、どこがどう違うのかわからない。
兄上とアンナ嬢は何度も互いに頭を下げてから、別れて行った。
兄上は私の所に来ると諦めたような顔になり、
「言いたいことは沢山あるが、目を離した俺にも責任がある。とにかく治療師に診て貰ってから、今はゆっくり休め」
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