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マイケル王子

14歳になったグリーラ王国の第三王子マイケル・ロータス・グリーラは冒険小説が好きだった。

兄の17才の第二王子ダニエルが王命によりアンバート辺境伯のところに表敬訪問すると言うので、無理矢理ついて行くことになった。

彼にとって辺境はロマンの塊だった。魔獣はびこるデリラン大森林はよく物語の舞台になるところだ。

愛読書の『デリラン探索記』を携えて、従者の少年パンサーの私服や剣を借りて馬に乗りこっそり抜け出した。

ちょうど騎士団がダニエル王子をナウリー子爵領近辺まで案内したときだった。

直ぐ近くにデリラン大森林があるのでいてもたってもいられなかったのである。

探索記にはデリラン大森林の簡単な地図があるが、実際に来てみるとどこからが大森林なのかわからない。

辺境なので木はどこでも生えているし、木が生えていれば大森林かというと、そういう訳でもないだろう。

すると二人連れの男が馬を繋いで、一人が木に登りもう一人が籠を持って何かやってるのを見た。

この地域の住民だろう。第一村人発見だ。よし、声をかけてみよう。

「すみませーーん、デリラン大森林はどこですかーー?」

「えっ?」

木に登ってる少年が高い声で反応した。

「デリラン大森林ですよーー。どこかわかりませんかーー?」

「ここがそうですけどーー」

「えっ、ここも大森林ですかーー?」

マイケルは自分の足元を何度も指さして聞いた。

少年は木の下にいるもう一人と顔を見合わせて首を傾げながらなにやら喋っていた。

そして男に何か教えられたらしく、返事をした。

「ここというより、そっちの方から大森林でしょうねーー」

「えっ? どこからですかーー?」

するとまた二人でなにやら相談してからまた少年が答えた。

「あのーー、そっちの方に切り株がありますよねーー? そうそう、今あなたが指さしているそれです。そこはまだ大森林じゃありません。その向こうの木の幹に赤いテープが巻いているところ、そこから大森林です。わかりましたかーー?」

「はーい、どうもありがとうございます」

マイケルは大森林の入り口らしい木の手前で止まって、目をつぶり大きく深呼吸した。

ああ、ここが夢にまで見たデリラン大森林の入り口か。

自分は最初の一歩を今歩むところだ。

また例の少年がなにか話しかけた気がする。

どこから来たのですかとか言ってた気がするが、そんなこと言う訳がないだろ。

頼む、気が散るから話しかけないでくれ。そして馬を一歩進めて大森林の中に入った。

心臓が高鳴る。ああとうとう自分はデリラン大森林にやって来たのだ!

全身の熱い血潮が逆巻いて、馬を走らせる。

「ちょっとぉーーーーーー」

少年の呼び声が聞こえたが、いま君の雑談と付き合う気はない。

さあ、駆けろ。風を切って。デリランの森を。


さあ、最初に現れるモンスターはなんだ?

やはり定番はスライムか、もしかしてホーンド・ラビットか?

それを乗り越えたらゴブリン、できれば群れから離れた一匹ものがいいな。

ところが急に馬が怯えた。

見上げると女の顔をした鳥が叫びながら、こっちに急降下している。

えっ、これってハーピーじゃないのか?

ヒヒ――――ン!

馬が嘶きと共に後ろ足だけで立ち上がった。

読んでいただきまして、本当にありがとうございます。


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