カーテンコール?
ほんの付け足しです。
「アンナ様が息を吹き返したよ!」
ラルクが操る馬車がサリーの声で止まる。
「あれれ、ここはどこ? あの世なのですか?」
「違いますよ、アンナ様。いまもう少しでナウリー子爵領に着きますよ」
「えっ、意味が分からない。私は学園を退学させられて、実家の籍を抜かれて、自死の刑をうけたんじゃ」
「それが第二王子のダニエル様のお計らいで、学園を退学までは合ってるけど、その他の処分は取り消してくれたらしいの。だから飲んだ毒杯は一時的に仮死状態になる薬だったって。でも大っぴらに判決を覆せば貴族たちとの反感を買うので、秘密裡に助命をしてくれたらしいのですよ」
「あなたは私よりずいぶん早く蘇生したわね」
「はい、護身のペンダントのお陰です。もう三日前に復活しました」
「狡いわね。私には使わなかったの?」
「ええ、私が目を覚ました時はもうペンダントの魔力がカラになっていて」
「この服を着替えたのは」
「私です。遺品の荷物をすべてラルクが引き取ってましたから、その中から選んで」
「あなたの服は?」
「もちろん自分で」
「そう……それじゃあ、私たちはいつまで身を潜めていれば良いのかしら?」
「ほんの一か月ほどお屋敷に籠っていれば、あとは今回の貴族たちを抑えることができるそうです。
ダニエル王子様がラルクにそう伝えたとのことで」
「ラルクさん、あなたはどうやってダニエル王子様と会えたの?」
ラルクは懐からボロ布で包んだ紋章を出して見せた。
「亡きシャルロッテ様から預かっているものでさあ、お嬢が困ったときこれを王族に見せればなんとかなると言われて、今回早速使って見ましたぜ。すぐに王妃様が来てくれて、その後でダニエル王子様が」
「なるほど。サリー……いえ、サリー様あなたはただの騎士爵の娘ではないですね」
「何を仰るアンナ様、ただのサリー・トロットですよ、わたしは」
やがてナウリー子爵領が見えて来た。
二人はそれでもお喋りを続け敬語の応酬を続けていた。
今度こそ……
了
世の中で一番つらいこと、読者の池に小石を投げてもなんの波紋もできなかったこと。




