伝説の誕生
王都のギルド本部では二つのパーティが人気が出ている。二つともベテランのDランクパーティということもあるが、彼等は辺境迄商人を護衛して行って、こっちに戻る途中で倍の人数の盗賊を全滅させたのだ。
その信じられない偉業を語って聞かせてくれるというので、ギルドの酒場は毎日その話で湧いているのだ。
二つのパーティは酒場の端と反対端で二つに分かれて喋っている。しかもその両方に吟遊詩人がネタの仕入れにへばりついている。
『銀翼の剣(剣)』というパーティではリーダーの剣士のノブ―ルという男がアンナ・トロット子爵令嬢を持ち上げている。
「確かに盗賊たちに止めを刺して殺したのは俺たち護衛の冒険者さ。だがその前に辺境から馬に乗って俺たちに同行してた二人の令嬢がほぼ全員制圧したんだ。いやはやその速いのなんのって。普通さ、盗賊が『命は取らねえから金目のものを置いて行け』とかなんとか決め台詞を言うだろう? それで、ああこいつらは盗賊なんだなと判断して彼我の戦力差を見て交渉に入る訳だよ。特に向こうがこっちの倍のときにはな。ところが一番先に辺境のお嬢さんたちが弓を使ったんだ。相手が何も喋らないうちにだぜ。特に子爵令嬢のアンナ・ナウリー嬢ってのが二呼吸する間に道の両端の木に隠れていた盗賊の弓士を二人とも射落としたんだ」
ところが同じ酒場の反対端の席に陣取っていた『血まみれの凶手』というパーティのリーダーのマキャーブはサリー・トロット嬢のことを語っていた。
「俺は驚いたよ。馬に乗ってはいるがお嬢様たちは商人と同じく護衛対象の積りだったんだ。だから盗賊に対敵したときの打ち合わせもしてなかったんだ。だけど辺境の貴族たちってのは魔獣や密入国者とかをいつも殺してるんだね。見た途端矢を放っていたんだ。で、サリー・トロット嬢というのは初めは少年だと思っていたんだ。
騎士爵の娘だそうだが、そんじょそこらのお嬢さんと同じに考えちゃだめだぜ。最初の盗賊の野郎はどこを
射抜かれたと思う? 股間だぜ、股間! 酷い声をあげていたぜ。それでびっくりして仲間に警告しようと叫んだ奴がいたんだが、そいつは大きく開いた口の中に矢をぶち込まれたんだ。そいつは声もだせなかったよ。子爵令嬢の方は痺れ薬の矢毒を塗ったものを正確に足に射てたけどな。サリー嬢はどこに当てるか分かんねえんだ。
あれくらい恐ろしい弓士はいないぞ。ビビッて逃げ出した奴は、普通は放っておくけど。背骨をざっくりやられてた。とにかく矢の連射の速いのなんのって、あっという間に矢が尽きたと思ったら、今度は戦意を失って逃げる奴の首にザックリ剣を突き刺した。逃げることもゆるさないのさ。そして剣が抜けなかったから、もうやめると思ったら、馬を使って蹴り殺し、踏みつぶすんだ。最後の奴はずっと苦しんでたな。俺がとどめを 刺してやるまでは地獄のくるしみだったとおもうよ。流石の俺もそいつに同情したね」
この調子で毎日話しているものだから、吟遊詩人は弾き語りで歌い、冒険者たちは町の者や旅人に教えるものであっという間に『二呼吸のアンナ・ナウリー』と『股間射抜きのサリー・トロット』の名は王都中に広まったのだ。
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