苦し紛れのカンニング
サリーはアンナ嬢にお願いした。
「アンナ様、ナウリー家伝来の指輪今日はずっとつけていてください。お願いします」
アンナ・ナウリー子爵令嬢はサリーのお願いを拒否することができなかった。
自分が合格しても、サリーが落ちればとてもこの学園でやっていける自信がないからだ。
サリーを巻き込んだのは自分の都合であり、ほとんどただの村娘と変わらない彼女に僅か数か月で貴族の子女たちの常識を詰め込むのは元々無理な話だったからだ。
「わかったよ。でもここぞというときにだけ使ってね。二人とも指輪をはめているときは監察官がいない時に限るから」
「監察官……ですか?」
「そう……監察官は受験生が他の誰かと念話しているときすぐにそれが分かるらしいの。看破のスキルを持っているのよ。でも指輪をどちらかが外してる場合は精神パスが切れるから、分からない筈」
サリーはこの日のためにちょっとしたものを用意した。長袖の内側の隠しポケットに入れた、王都の露店で買った安物の指輪だ。アンナ嬢から預かった子爵家家宝の指輪と遠くから見たら同じように見える。
前日はその二つの指輪を素早く交換する動作を徹底的に練習した。
もともとトロット村では宴会芸で三つのカップと銅貨一枚の技を得意としていたサリーなので、手先の動きには自信があるのだ。
試験会場は幸い一会場五十人で、六会場ある。受験生三百人の中から百五十人が合格することになる。
そしてアンナ様は席は離れているけれど同じ会場なのだ。これは絶対有利になる。
そして試験が始まった。一時間目は王国歴史だ。
監察官は試験官とは別にいて各会場を見回るのが仕事だ。その為に会場の出入り口は開け放たれていて監察官が自由に動き回れるようにしている。
サリーは狩人をしているときの耳で、監察官の足音を拾って警戒しながら答案を作成する。
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