特別仕立ての服
試験勉強も不完全のまま、今度は王都に行く時の服装についての話になった。
アンナ様はそれなりのドレスを持っているが、私などは村娘の普段着しかない。
いや、それが余所行きで普段着は少年用の服だ。
アンナ様も実は男装用の服の方が多いのだ。辺境の下級貴族の娘なんてそんなものだ。
それで私もシルクという訳には行かないが、木綿の綺麗な色のドレスを何着か作って貰った。
もちろん子爵家に。
騎士爵家にはそんな余裕がないから。
それで専門店から縫子さんが来た時に私は注文をつけたのだ。
ワンピースじゃなくて、同じ色にしてツーピースにすること。
そしてそれと同じ色のズボンを作って、スリーピースにすること。
そしてスカートはフックを外すとマントになるようにすること。
その色は中間色で、藍や柿渋や蓬色にして男女両用に使えるようにすること。
それを横で見ていたアンナ様は自分にも同じデザインのスリーピースが欲しいと言った。
このアイディアはラルクと冗談で話していた時に出たものだ。
私が女の服はスースーして嫌だという話をしたら、ラルクが中にズボンを履けばいいじゃないかって言ったんだ。
でも走る時スカートだと足に絡みつくからって言ったら、上にあげてマントにすりゃ良いだろうって二人で大笑いしたんだ。
私はその後ブラウス部分の背中に飾りボタンをつけて背中でボタンを脱着すると見せかけて、前の部分に隠しボタンを付けるように頼んだ。
私の注文に縫子の人は相当のベテランだったらしいけれど、目を白黒させてメモをしていた。
確かに背中でボタンをつけるのは召使いに着せてもらえる貴族令嬢のステータスだけど、合理的ではない。
アンナ様は目を輝かせてそれを聞いていた。
あとはコルセットも私は代用品を使うことにした。
実は村の村長さんは腰が悪くて困っていたが、ラルクが厚手の布で腰に巻いてやると楽になったというのがあって、私はそれを思い出したのだ。
紐で締めたりする女性用スタイル保持のコルセットは苦しい。
長い広めの帯で角度をつけて巻き、布の端を中に織り込むようにすると、立ったり座ったりしても布がずれないのだ。
食事をしてお腹が膨らむとそれに合わせて巻き直せば良い。操作も簡単だ。
あとは自分に合った寸法の生地を注文すればそれで良い。
もちろんアンナ様もコルセットにはいつも泣いていたので、その方式をとることにした。
「たまーーーにお茶会とか、どうしても出なきゃいけない集まりってあるのよね。そのときに侍女たちが3人がかりで、一人は前から後の二人は後ろから引っ張るのよ」
「前には紐がないんじゃあ?」
「前の人は両手で私が倒れないように支えてるの!
だから会合はさっさと帰って来て、コルセットを外すまでが地獄の苦しみなんです。それなのに、顔は笑顔で上品な言葉を選んで言わなきゃいけないし、ああいうパーティは世の中からなくなれば良いと思ってるのよ」
「世の中からなくさなくても、自分が行かないようにする方が実現できそうですね」
「それができれば苦労はしないわよ」
それから私はスカートの上を紐で絞るようにして貰った。
「そうかツーピースの場合は、きちんと締めるようにしないと下がってしまうからね」
「それだけじゃないんですけど」
「どうゆうこと?」
「それはまたいずれ分かる時が」
「すみません。私のも同じようにしてくださる?」
まあ、こんなんで、服を揃えるにも大騒ぎだった。
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