サリー・トロット騎士爵令嬢(2)
ところである時父から私に重大な命が下された。
「えっ、私が?」
「そうだ。このたびアンナお嬢様がダニエル第二王子殿下のご好意により王立学園に入学することになったのだ。
ところが一緒に学友兼使用人としてついて行く適当な年齢の娘がいないのだ。
お前では勤まらないと私は子爵様に言ったのだが、お前しかいないのだ」
「子爵家には洗練された侍女の方たちが何人もいた筈ですが」
「学友として学園内に入るには年齢が上過ぎるのだ。以前は使用人として学園内に入ることも許されたらしいが、学園生以外は入れないという決まりになったらしくて」
「えーと領内には私より頭が良い、器量も良い娘がまだいた筈です。年齢も丁度いい」
「それが完全な平民では格好がつかないのだ。お前もほぼ村娘となんら変わりないようなものだが、一応騎士爵家の長女だからギリ合格ラインになる」
「でも、王立学園というと入学試験があるのでは? 私そんな勉強したことがないけれど」
「それに関しては付け焼刃の特訓があるのと、子爵家秘伝の技があるからなんとかなるそうだ。
お前は明日からラルクから離れて、子爵家の侍女長から侍女としての特訓を受けることになる。もちろん住み込みでだ。そのまま王立学園に行くことになるから、この村とは当分お別れになる」
「他の選択肢はーー」
「ない」
「わ……分かりました」
「おいっ」
「はい、なんでしーー」
「逃げ出すことを考えるなよ。村全体でお前を見張ってるからな」
「うわぁぁぁん」
もう泣くしかないよ。
私は洗濯場に行って、村の洗濯当番が干した服を取りに行った。
「サリーちゃん、あんたの下着名前も縫ってないのにどうしてすぐ自分のだって分かるのさ」
当番のアマンダが聞いて来た。
そうだ、こいつの方が向いている。お前が行けと心の中で念じたが……通じる訳がない。
「私の下着はすぐ分かるように縫い方を変えてあるの……です」
「あらまあ、そう? 一目でへたくそな縫い方だから、分かるのかと思った」
くそぉぉ、この村の人間はみんなこんな調子だ。
下手くそかもしれないけれど、私のは一点鎖線とか二点鎖線というのを混ぜて縫ってあるのよ。
最初は偶然そうなったけれど、見分けやすいから、この縫い方にしたんだけれど、他の人が見たらできそこないの縫製にしか見えないんだよね。
この村は領主も領民もない共同体だから洗濯も持ち回りなんだよ。
だけどこういう生き方をして来て、急に外の世界に適応しろって言われても、私は全く自信がないよ。
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