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アンナ・ナウリー子爵令嬢

私はナウリー子爵の長女、アンナ・ナウリーだ。

わが領はデリラン大森林に隣接していて魔獣のスタンピードや国境侵犯に対応する辺境伯様の寄子という立場になる。

当然武を重んじる家風で、女の私としても乗馬や剣や弓矢の心得を普通に身に付けている。

ところが今日突然前触れもなしに、わが領内に辺境伯の騎士団がやって来たという。

騎士の一人が子爵邸に来て言うには、第二王子の表敬訪問を受けた際に、随伴して来た第三王子が行方不明だというのだ。

その足跡や目撃情報を辿ってここまで来たのだそう。

そして騎士団に伴って第二王子のダニエル殿下も来ていると言うので、私は慌てて従者と共に騎士団の元に駆けつけて行った。

ところが騎士団の所にたどり着く前に三頭の馬に乗った人物を見た。

しかも一人は気を失っているらしく、馬の背にうつ伏せになって縄で括られている。

年恰好から言うと第三王子のマイケル殿下に違いない。

私はうまく行くと、第三王子の救出に一枚噛めるかもしれないと、彼らが騎士団に着く前に呼び止めた。

殿下の乗っている馬を並走しながら引いていた男が私に頭を下げた。

もう一人の少年は恥ずかしがり屋なのか離れたところにいて、近づいて来ない。

まあ、私の身なりを見れば貴族令嬢だとすぐ分かるので恐れをなしたのだろう。

この男の息子か孫なのだろうが、この際それはどうでも良い。

「あのうこの少年が一人で馬に乗って大森林に入って行ったので、注意しようとしたんですが」

「ひとりで入ったのですね?」

なんと無謀なことをする王子だろう。私は呆れてしまった。

「それで呼び止めたんですがさっさと行ってしまったので、追いかけたときはもう手遅れで、多分魔獣に襲われて落馬したものと思われます。それで一時は呼吸が止まっていたので蘇生措置をしたんですが、記憶を全く失っておりまして、自分が誰かもわからない状態でした」

そうか頭を打って記憶喪失になったのだわ。こういう話はよく聞く。

「それで本人に聞いても分からないので色々と推理すると、どうもこっそり家族に内緒で服装を借りて出てきたような様子なのです。それで私がこちらに出向いて調べたら、辺境伯の騎士団の方たちが、ちょうどこのくらいの男の子を捜していると知りまして、こっちに連れてきたのでございます」

「まあ、そうだったの?それでどうして気を失っているの?」

「はい一度息を吹き返した後、また眠ってもう一度目を覚ました時に、打撲した個所を湿布したのです。そのときは自分の名前を言えるようだったのですが、体の痛みが酷そうなので痛み止めの薬茶を」

あら、ということは一度記憶が回復しかけたのに痛み止めということは、記憶がさらに曖昧になっているということね。これは私の手柄にできそうね。どうせこの者たちは領民だと思うので、別途褒章を与えればそれで済むし。

そのとき殿下が目を覚まして馬上でモゾモゾしだしたので、

「おや、目を覚まされましたか?」

と声をかけてみた。

「この方の縄を解いてさしあげなさい」

「へい」

男は早速殿下の縄を解いた。

「じゃあ、あっしはこれで」

もう行ってしまおうとするので、無知な村人は欲もないのが都合が良い。

ここで殿下の前で色々喋られたら困るので追い払う前に立ち去るのは渡りに船というもの。だが一応形だけでも引き留めておかないと。

「待ちなさい。辺境伯騎士団の方に報告するので、謝礼が出ると思いますから」

「とんでもねえ。領民として当たり前のことをしただけでございます、アンナ様。これから途中で投げ出した仕事を片付けなきゃならないんで失礼します」

「お前はどこの村のーー」

ところが男は馬に乗ってさっさと去って行く。

遠くで乗馬して男を待っていた少年と共に一目散に走り去る。

あらあら、よほど急いでいたみたいね。あとで自分たちが見つけた方がこの国の王子殿下だと分かったらどんな顔をするでしょうね。

私は呟いてから殿下に向かってスカートを摘まんでコーティシーをしてみせた。

「そなたは?」

「はい、このナウリー子爵領のナウリー子爵が長女アンナ・ナウリーと申します、殿下」

「マイケルだ。私はいったいどうしてここへ?」

「なにも覚えていらっしゃいませんか?」

「確かこの馬で大森林の方に行った気がするが」

私は咄嗟に真実を混ぜて嘘を吐いた。

まず恩着せがましくしないのがコツだ。

「魔物に襲われて落馬したところを領民に発見されたのです。私の所に連絡があったので、すぐここに連れて来るように指示しました」

そのとき殿下はは頭や胴に巻き付けている布に手をやった。

それも私は用意した布石の説明をした。

「ああ、それは私が心得のある領民に言いつけて応急措置をさせたたものです。辺境伯の騎士団がすぐそこまで来ていますので、ご案内します」

私は従者に言いつけて、殿下の乗っている馬の手綱を引かせた。

読んでいただきまして、本当にありがとうございます。


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