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見知らぬ少年

いちおうここがプロローグです。

サリーは木に登って下で待っているラルクにリンゴの実を投げ渡す。

ラルクはそれを籠に入れる。

「お嬢、そろそろ籠が一杯になるぜ」

「あれ? 向こうから男の子が馬に乗って来るよ」

「誰だ、それ?」

「いや……見たことない子だな」

「すみませーーん、デリラン大森林はどこですかーー?」

「えっ?」

サリーはその少年からそんなこと言われたので、びっくりした。だって大森林を目の前にして、そんなこと聞くからだ。

「デリラン大森林ですよーー。どこかわかりませんかーー?」

あ、全くこの子は他所からきたから分かんないんだな。

「ここがそうですけどーー」

「えっ、ここも大森林ですかーー?」

少年は自分の足元を何度も指さして聞いた。

サリーはラルクと顔を見合わせて首を傾げながら言った。

「どういう意味で言ってるんだろう?」

「厳密に言えば、ここはトロット村だよな。

だからトロット村でなくなる場所を言えば良いんじゃないか?」

なるほど、大森林はどこの領土でもないからそれを言えば良いのか。

「ここというより、そっちの方から大森林でしょうねーー」

「えっ? どこからですかーー?」

「どうしてあんな細かいことを聞いて来るんだろう?」

「知らんぞ。まだ開拓してない所を教えれば良いだろう」

「あのーー、そっちの方に切り株がありますよねーー? そうそう、今あなたが指さしているそれです。そこはまだ大森林じゃありません。その向こうの木の幹に赤いテープが巻いているところ、そこから大森林です。わかりましたかーー?」

「はーい、どうもありがとうございます」

少年は大森林の入り口らしい木の手前で止まって、目をつぶり大きく深呼吸した。

何をやってるんだろう? 何かの儀式かな?

「あのう、どこから来たんですかーー?」

って、聞いてみたけど、聞こえてないみたいだ。

それとも無視してるのかな?

あっ、馬を動かした。

「ラルク、いまハーピーの産卵期だよね?」

「ああ、あのまま進めば襲われるぞ」

「あの子、ハーピーを追い払えるかな?」

「無理だろう。腰に剣を差しているけど、使いこなせる程の腕があるとは思えないな。下手すると瞬殺されるだろうな」

「ちょっとぉーーーーーー」

サリーは呼び止めたが少年はそのまま馬を駆けさせた。

風を切るように。

読んでいただきまして、本当にありがとうございます。


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