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第2章 ー奪われた未来ー
妹のセシリアは、学園に入るとまるで別人のように王太子アルベルトに甘えはじめた。可憐で人懐っこい妹は、自然と周囲の注目を集め、次第にアルベルトの心も奪っていく。リディアは何度も妹に距離を取るように諭したが、セシリアは涼しい顔で答えた。「だって、お姉様はつまらない女ですもの。私の方が王太子に相応しいわ。」周囲も次第に妹を持ち上げ、リディアは王太子妃教育と公務で忙殺される中、孤立していった。やがて卒業式の日。リディアは王太子から突然、婚約破棄を言い渡される。「君にはもう、僕は必要ない。君には公務がお似合いだ。」「ええ、そう。あなたも妹も、もう私に必要ないわ。」リディアは涙を見せず、静かに学園を去った。リディアは祖国を離れ、隣国ラヴァンナへと向かう。──たとえ全てを失っても、私は、私の道を歩む。