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卒業試験

『なぁ、誰かここ教えてくれないか? 頼むよ』


 三年間の集大成となる卒業試験ともなれば、皆の意気込みも違う。

 順位も大事だが、万が一試験結果が最低基準を越えていなかった場合卒業資格を失うだけでなく貴族としての立場も失うことになる。


『そんなもん、教えるわけねぇだろう』


 学園中が緊張感に包まれ、生徒同士も神経質になっていた。



 そして、試験期間。


 普段休憩時間は噂話で盛り上がっている生徒も椅子から離れることなく次の試験の最後の見直しに教科書やノートを見返している。

 試験問題を所持した教師が現れる直前まで何かしらの情報を頭に詰め込んでいた。

 教師が現れ教科書やノートを仕舞うように指示されると、今度は早く問題を配ってほしいと訴えるように教師に視線を向ける。

 問題と答案用紙が配られ今頭に入れた内容を忘れないうちに早く回答用紙に記入したい思いでいる生徒の気持ちが伝染する。

 誰もが試験開始の合図の音を待っている状態。


「試験開始」


 教師の合図と共に皆が一斉に問題用紙を捲り試験が始まる。

 紙を擦る音や答案に記入する音が教室に響く。

 過去の私も彼らと同じ様に緊迫した空気に呑まれ、他人の発する音に追われながら問題を解いていた。

 私にとっては二度目の卒業試験なので緊張もなければ卒業できなくなるという精神的圧力もない。

 カンニングのようだが、過去と丸っきり同じではないが似た内容なので問題なく解いていき試験時間をかなり余らせ終える。

 時間が残ってしまったので答案用紙を裏返し終了の鐘が鳴るのを待ち続けた。

 私が余りにも早く終わらせたので試験官も驚きの表情で私に視線を向ける。


「……終了、答案用紙を回収する」


 一つの試験を終えても安堵する空気ではなく、皆は次の試験に意識を向けている。

 試験は午前中のみで終わり、続きは翌日。

 試験期間中は居残り禁止の為に生徒は一斉に帰宅。



「本日で、試験は終了。職員室はまだ入室禁止だ」


 そして、約一週間の試験を終えると試験休みに入る。

 試験が終わり、卒業パーティーまで残り……三ヶ月。

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