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ご挨拶

 ガチャ


 扉が中から開き、足元から光が差し込む。

 部屋は植物に囲まれ中央に丸テーブルを囲むように椅子が六脚。

 既に四人が着席しており、空席に私とタリベルが座るのだろう。

 席まで近付き全員の視線を受けるも、誰一人口を開かなければ席も勧めない。

 私にはずっと立っていろと言うことなのか?


「初めまして。私のお茶会に参加してくださり、ありがとう」


 本日の主催者が漸く挨拶をするも色々と言いたいことがあった。

 まずは名前を名乗っていない事。

 それとお茶会に参加したつもりはない。

 最後に私はいつまで立ち尽くしていれば良いの?

 私以外にもその事を思っているのか、俯きながら笑みを携えているのがわかる。


「……あなたは……誰ですか?」


 入学早々『娼婦の娘』と宣言した私に礼儀を尽くすつもりがないのか、彼女の無礼な態度に不快感を感じたのでこちらも無礼で返す。

 教養がないフリをして名前を尋ねたが、本当は知っている。

 過去に王子の婚約者の座を狙っていた人物。


「……そうでしたね、私としたことが名乗っておりませんでしたわ。私は侯爵家のミルティー・モリアンナですわ」


「そうなんですね」


 相手の名前を聞けば自身も名乗るのが常識的だが敢えてせず、モリアンナの隣に座る令嬢に視線を移す。


「わ、私は伯爵家の、ペイジ・ポーリンですわ」


 私の視線の意味に気付き、名乗ってしまったポーリン。


「……私は伯爵家のレイチェル・トレヴィーです」


「私は子爵家のシャルビー・スリエンナです」


「私は子爵家のキャシー・タリベルです」


 爵位や立場の高い順から名乗り、私を連れ出す事を押し付けられた彼女が最後に名乗る。

 彼女達はモリアンナの取り巻きではあるが、伯爵家のポーリンとトレヴィーも婚約者候補。

 公爵令嬢である私の悪評を流したのが侯爵令嬢であるモリアンナだと問題になり評価が落ちれば、自分達にもチャンスがあると虎視眈々と狙っている。

 だが結果として彼女達が婚約者になれなかったのは、私の悪評を流すまでは成功したが誰よりもその状況と噂を利用したのが義妹のローレル。

 王子にすり寄ったかと思えば『義姉様に王子様とお話ししたと知られてしまえば酷い罰を受けてしまいます』と涙ながらに王子に訴え同情を買っていた。

 その言葉を聞いていた周囲の人間が信じ込み、私の悪女が作り上げられていく。

 なので、公爵令嬢の嘘の噂を広めた彼女達はローレルを蹴落としたくても自分達の嘘が明るみになることを恐れ、ローレル側に付くしかなくなった。

 そんな彼女達と初対面を交わす。


「初めまして、ニルヴァーナ・キャステンです」


 誰かに微笑むのは久しぶり。

 私はちゃんと笑顔を作れただろうか?

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