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世界情勢エッセイ

ロサンゼルスの山火事は緊縮財政のせい!? 必要なところを削るな!

作者: 中将

◇「人為的な」悲劇の拡大



筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回はアメリカ、カルフォルニア州ロサンゼルス周辺の山火事について個人的な意見を述べていこうと思います。


 現地時間1月7日起きたロサンゼルスの山火事はあわせて5か所に及び、その範囲はおよそ132平方キロメートルに広がっているようです。

 9日時点の見積もりの被害額は1350億ドルから1500億ドル(20兆円前後)に上ると言われ、「過去最悪の被害」になるかもしれないと言われています。


 地元の消防によりますと、これまでに少なくとも7人が亡くなり、9000を超える建物が倒壊又は焼失するなどの被害を受けました。警察によりますと、あわせて13万人以上の住民に避難の指示や警告が出されているということです。


 現地メディアの米紙ロサンゼルス・タイムズなどは、「気候変動」の影響や、乾燥した気候と時速100キロ前後にもなる強風が被害を拡大させたと指摘していると日本では報道されています。


 確かにそう言った要素もあると思うのですが、「それ以外の要素」が被害を拡大させたという僕なりの視点で考えてみようと思います。



質問者:

 こう言っちゃ難かもしれませんけど、このカルフォルニア州って比較的山火事が多いような気がしますね。


 あまり手入れされていない山が乾燥しているせいでしょうかね? 消防のための予算が足りずに手が回っていないのでしょうか?



筆者:

 カルフォルニア州は「環境保護主義者」という属性の方が多くいます。

 彼らの主張を吞まなければ「暴動」にも発展してしまうために、環境保護名目により、山の利用が制限されています。


 その結果、林業は衰退し、枯れた木や病気の木、下草を除去することが阻止され、

天然燃料が蓄積していき、爆発的な山火事の条件を作り出しているそうです。

 

 つまり、「山を守る」ために「敢えて手を回していない」と言うのが答えだと思います。


 カルフォルニア州だけで日本のGDPを超えたという話が昨年ありましたので、経済的な能力はむしろかなりゆとりのある方です。

 使おうと思えばいくらでも使うことは出来ると思います。



質問者:

 環境保護とは「何もしないこと」を指すんですか……?

 燃えてしまっては本末転倒のような……。



筆者:

 彼らなりの信念があると思うのですが、総合的に物事を見て欲しいですね。

 環境保護は美しい理想だとは思いますけど、それを実現できる内容かどうか、

古今東西で大局的な視点を持った政治家がいないように思います。


 話を戻しますと、カリフォルニア州の消防機関カル・ファイアによれば、南部の95%の山火事が「人為的なもの」だと言われています。


 これは「意図的に火をつけた」と言う意味ではなく「人が作ったものが自然発火して燃え広がった」のが多いそうですけどね。


 例えば、カルフォルニア州サンディエゴ郡(ロサンゼルスより南にある)では2000~2010年、火災原因の1位は電動工具で、全体の20%、2位以下はキャンプファイア(10%弱)、放火(約5%)、ごみを燃やす行為(約4%)だったそうです。


 そこから1000平方メートル以上の火災が何年かに一度起きてしまっているそうです。


 このように、森林に手を付けずとも周辺住民や人為的な施設があるために「完全に自然の状態」は難しいので森林の手入れをしなければ燃え広がってしまうのです。



質問者:

 確かに、人が近くに住んでいる以上は燃え広がらない対策は必須ですよね……。



筆者:

 長期的に見れば1920年代の方が火災件数が多いのにもかかわらず、近年の方が焼失面積が広いというデータもあるようです。


「発火原因は人が作ったものが燃え、広がりは更に人為的不作為」がもたらしたと言えると思います。


 発火することは仕方ないにしてもそれが拡大することを防ぐことは可能だったという事です。

 


質問者:

 それで10万人以上の方が避難するような大火事になってしまうとは……。



筆者:

 更にこのロサンゼルスでは「緊縮財政」による悲劇があります。


 ロサンゼルスのカレン・バス市長は、今年度の火災に備えるための市の消防局予算を1,760万ドル(約26億円)を削減していたことが明らかになっています。

 カレン市長は膨大なホームレス人口への支援金のための財源としたようですが、しかしながらそのほとんどが使われなかったとニューヨークポストなどの報道で分かっています。


 この予算削減についてロサンゼルスの消防署長が昨年12月、消防局の管理を監督する市長任命の委員会である消防委員会に提出し、


「この資金がなければ、パイロットの順守と準備態勢が危うくなり、空中消火能力が低下する。航空作戦課の変更は、現在の自動・相互援助協定の遵守、航空救急サービスの提供、水投下ヘリコプターによる森林火災への迅速な対応といった消防局の能力に影響を与える」

 

 と言った旨の提言をしたそうですが一蹴されてしまったそうです。


 

質問者:

 まるで「死亡フラグ」だったというような感じですね……。

 日本レベルの規模の州だと思えば26億円ぐらい安いような気もしますけど……。



筆者:

 トランプ次期大統領は、1月8日の自身が立ち上げたSNSであるトゥルースソーシャルに、


「(カリフォルニア州)ニューサム知事は北側で降った多量の雨と雪によりできた数百万ガロンの水を、最近事実上終末がきたように焼けたところを含むカリフォルニア各地に毎日流せるようにする水復元宣言に署名することを拒否した。

 彼は水を少なく供給しスメルトと呼ばれる本質的に使い道のない魚を保護することを望んだ。カリフォルニア州民のことは気にとめなかった」


 などと主張しており、スメルトを保護するために水量が豊富なカリフォルニア北部サクラメント・サンホアキン三角州で他の地域に供給する水の量を制限した措置を非難しています。


 トランプ氏への相手方への批判はいつも過激なのである程度割り引いて考える必要がありますが、

 必要な貯水池を作らなかったりするなど必要な予算を削り続けていることは間違いないと思います。



質問者:

 なるほど、カルフォルニアで大規模な火事が多いのも色々な人為的な理由が重なったためなんですね……。


 日本よりも1つの州で経済規模が上でも住みたいとは全く思いませんね……。



筆者:

 まぁ、僕はそもそもGDPを微塵も評価していませんがね(笑)。


 ちなみに、あまりのカルフォルニアの火事への対策が乏しいことからか

 カルフォルニア州保健局は住宅所有者の住宅保険(火災保険を含む)の値上げを平均して34%も昨年8月に許可したという話もあります。

 

 このように、州政府がコスト削減をした“ツケ”と言うのは仮に火災の被害から逃れることが出来たとしても、住んでいる住民にそのまま跳ね返ってきているのです。



◇「有事の予算」は軽視しがち――日本も「大地震予防」を!



質問者:

 州政府の失敗がそのまま住民に跳ね返ってくるのは酷いですね……。


 どうして、そんな重要な予算を削ってしまうのでしょうか?



筆者:

 「有事のための予算」と言うのは普段使われない又は効果を実感しにくいために「無駄」と言われることが多いんですね。


 ですから「実際に甚大な被害」が出るまでその必要性が叫ばれない傾向があるんです。

 被害が出てから叫んでも「後の祭り」だとは思うんですけどね。


 インフラ整備は未然に大きな損害を防ぐことを目的にしているので「あまり働きが見えなくてOK」だと思った方が良いと思います。

 勿論、「利権化」してしまっては問題なので複数の視点で見ていくことは大事だと思いますけどね。


 特に今回のカルフォルニアの場合は消防の現場責任者から費用を削減するなと提言されているぐらいなので「よっぽど必要な費用」を削ってしまったことが伺えます。



質問者:

 バランスよく色々な意見を聞くことが大事なんですね……。



筆者:

 ただ、日本も「対岸の火事」だと思わない方が良いと思います。


 日本も少子高齢化と人口減少が深刻な状況の上に「緊縮財政」を続けていますよね?


 日本は消防については問題はあまり無いと思いますけど、

 日本列島は地震が頻発するために、どこに住んでいても非常に高い地震リスクがあると思っています。


 東日本大震災の後に原発が地震や津波に対する耐性が低いといったことが露呈したりしますからね。


 そんな中で「財政黒字」とか「公務員削減」とかを声高に叫んでいたり、「インフラの修復を後回し」自治体の長が存在している地域は「ちょっと住むのに危険」と思った方が良いと思います。



質問者:

 今、日本全体のインフラが老朽化しているというお話がありましたよね……。



筆者:

 高度経済成長期に作られたインフラが「本来取り換えなくてはいけない段階」に来ているんです。


 NHKの23年3月の記事では全国約74万か所の橋やトンネルの安全点検に関するデータを分析したところ、


「早期に補修が必要」「緊急に補修が必要」と判断されながら、補修が行われていない橋やトンネルは全国であわせて3万3390か所。


 このうち、国は5年以内に補修などの措置が必要だとしているが5年を超えても補修されていないのは、橋が6967か所、トンネルが74か所を合わせて7041か所に上ることが明らかになっています。



質問者:

 それも大地震に対応した修復とは限りませんよね……。



筆者:

 そうです。 

 しかし、地方公共団体には通貨発行権も無く、予算の制約があります。

 大地震への備えは国が主導して行っていかなくてはなりません。


 京都大学大学院教授の藤井聡先生が2018年に推計されたところ、南海トラフ巨大地震の最大級の被害の際、金額は20年間で累計1048兆円としています。


 ところが、38兆円をかけて道路や建物、港湾の耐震性を強化し、さらには強い防潮堤を整備すれば、20年間の被害額を509兆円減らせると試算しています。


 日本の場合、全国的なインフラの強靭化を一刻も早く進めていかなければ、地震でそれ以上の損失を被る危険性があることを考えていかなくてはいけないと思います。



質問者:

 でもすぐに「財源」とか言ってくるんですからどうしたら良いんでしょうか?



筆者:

 「建設国債」は投資は地域経済の活性化や利便性向上に寄与することから、

 他の赤字国債と比べると発行しやすさはあります。


 しかしながら、予算を出したとしても建設業も人手不足が深刻で、人をインフラ整備や主要施設の補強に回せない状況にあります。


 これは日本全体にある「新築信仰」や住宅取得控除などの影響もあるので、むしろこう言った控除は無くして「耐震補強控除」などにした方が良いと思います。

 

 家が新築になっても人が増えているわけでは無いので、空き家問題になりますからね。

 住宅メーカー存続のためにやり続けているのだとは思いますけどね。



質問者:

 またしても利権で何か政策が歪んでいるんですね……。



筆者:

 日本全体についてもっと政治家の方は考えていただきたいと思いますね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。

 

今回は、


・ロサンゼルスの山火事は乾燥や気候変動の要素もあるものの「人災」の面も強いこと。


・日本では頻発する大地震に備えてインフラを整備しなくては大きな被害になってしまうこと。


 についてお伝えしました。今後もこのような政治・経済について個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧下さい。

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