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13 Who is a killer?

 火事現場に残った焼死体は、誰が身元か判別つかないほど真っ黒に焼け焦げていた。

しかし、遺体から推測される体つき。出火した部屋で浦島太郎と乙姫が休んでいたこと。何より、浦島太郎と乙姫が行方不明であること。

これらの根拠から、焼死体が浦島太郎と乙姫であることは、否定しようのない事実であった。


火事の後、俺たちは屋敷の客間に案内されて、そこに泊まるよう使用人に言われた。

「誰が犯人だと思う?」

2人きりの客間で、俺はミナに尋ねる。

「まだなんとも言えないでしょ。そもそも、火事が事故か他殺かも分からない」

「ストーリの流れ的に、絶対他殺だろ。やっぱり、犯人は桃太郎かね?浦島に乙姫を寝取られたっていう動機があるし」

「うーん。桃太郎は可能性薄そうよね」

「根拠は?」

「誰がどう見ても、今一番怪しいのが桃太郎だもの。犯人が桃太郎なら、ストーリーに意外性が出ない」

「超メタ読みじゃん」

「悪かったわね。それと、事故の線も、馬鹿には出来ないわ。他殺だと思っていたら、タダの事故でしたーってオチ、推理小説だと稀によくあるもの」

ミナは読書好きで、1か月に6,7冊ほど本を読む。そのためか、国語が得意だ。『稀によくある』なんてワードを使っているが、国語の偏差値は70ほど。道徳の偏差値があれば、よくて30だろうけど。

「まぁ、私も他殺だと思うわ。メタ的に一番怪しいのは、金太郎かしら」

メタ的な考察は少々気が引けるが、俺も同意見だ。

ゲームにおいて、一番最初に出会ったNPCが黒幕というのは、定番も定番。しかも金太郎のキャラは純朴な田舎少年。それが黒幕だというのなら、意外性もある。

俺たちが議論を繰り広げていると、部屋の襖が開かれた。襖を開いたのは、犯人候補筆頭んお金太郎だった。

「すみません。冒険者がた。少し、お願いがあるのですが…」

金太郎は襖を閉め、座布団の上に正座をして話始める。

「離れが燃えた件ですが…調査の結果、事故と判断されました」

金太郎の発言に、俺もミナも目を丸くする。ストーリーの流れ的に、間違いなくあの火事は放火によるものだと思っていた。

驚く俺たちを尻目に、金太郎は話を続ける。

「ですが、おらにはどうにも信じられんのです。浦島さんは、海底都市で最強の桃太郎様に匹敵する身体能力の持ち主。火事が起きようと、乙姫様を連れて逃げるくらい訳ないはず。拘束されて、逃げられない状況下にあった。そうとしか思えやせん。それに、火事が起きた時。離れから去っていく謎の2人組を目撃したという証言があるんです。おらはその2人が、離れに火をつけたんじゃあねぇかと思うんです。それだけではありません。今日、食事会で浦島殿に出された食事に、毒が入っていたんです。幸い、浦島さんは途中で退席しやしたんで、未遂に終わりましたが、何者かが浦島さんの命を狙っていたことは、まごうことなき事実なんです」

「それだけの根拠があって、どうして事故だと判断されたんですか?」

ミナが尋ねると、金太郎は待ってましたと言わんばかりに返答する。

「この件について調査したのは、というかこの海底都市で起きた事件の殆どを調査するのは、桃太郎様が率いる“桃組“です。それはつまり、調査に桃太郎様の息がかかっているということです」

「放火の犯人は桃太郎で、捜査権を利用して事実を隠蔽しようとしていると?」

「はい。桃太郎様は、公明正大が服を着たようなお方。普段なら、私情を挟むなどあり得ませんと断言できます。しかし桃太郎様は、乙姫様のことを傾慕されておりやした。乙姫様が惚れていた浦島さんに、嫉妬を向けていても不思議はない。恋は人を狂わせます。おらにも……気持ちは分かります」

金太郎はすぅと息を吸い込み、蛇口をひねる様に言葉を紡ぐ。

「秘密にしておいて欲しいのですが、おらも桃太郎様のように、叶わぬ恋に落ちていたのです。しかし此度の火事で、おらが愛する人は殺されました。だから、おらは絶対にこの事件を闇に葬りたくないんです!」

金太郎の熱い言葉に、俺とミナはただただ圧倒される。

まさか金太郎も、乙姫のことが好きだったとは。三角関係ならぬ、四角関係。乙姫モテすぎだろ。まじで少女漫画のヒロインじゃん!

「おらの恋心は、報われることはありません。でも、別にいいんです。おらは、おらの好きな人が幸せならそれでええんです。だから、好きな人を殺した輩は、絶対に許さない。桃組とは関係のない、陸から来た冒険者様なら信用できます。おらはこの事件の真実を暴き、浦島さんの無念を晴らしたい。どうか、協力してくれたませんか?」


………………………ん???????

今の言い方からして、金太郎さんが好きなのは浦島太郎………………………………??????????

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