表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

1話 プレイヤーに人権のないゲーム

「お爺ちゃん、お爺ちゃん! ボトムダウンオンラインって知ってる?」


「うん? 知らないなぁ。新作のゲームの話?」


 孫からの話題にうまく答えられない自分を恥ずかしく思いながら、私は話題の擦り合わせを行う。


「それがね、作品自体は随分と前からあるんだけど、何故か全く話題になってないの!」


 それは確かにおかしい話だ。

 このネット社会で、全く話題にならないと言うのがもうおかしい。


 何がどうおかしいのかうまく説明はできないが、つまらないならつまらないなりの評価が出回るのがこの情報社会。

 中には敢えてつまらない作品を楽しんでプレイする【クソゲーハンター】なんて危篤な人まで居る。

 しかしそんな人の目からも逃れ、謎が謎を呼ぶ、一部で七不思議扱いされてるゲーム、か。

 孫が気にし出すのも無理はない。


 それにしても全く記憶に残らない、か。

 それは一体なんのために?

 記憶消去を行う、またはゲーム内の情報を触れ回られると困る事でもあるのだろうか?


「不思議だね?」


「うん。でもね、偶然ログイン権を手に入れてね? それでお爺ちゃんと一緒に遊びたいなって」


「なるほど、ようやく話が飲み込めたよ。つまり一緒に遊ぶためのお誘いだったわけだ。そのくらい、お安いご用だ」


「やったー♪」


 もう高校生になると言うのに、孫はいつも可愛くて困る。

 娘はいつまでも私にべったりで困ると嘆くが、これぐらいのスキンシップ良いじゃないか。


「それじゃあ、少し情報を調べておくから、明日学校が終わってからログインしようか」


「今日じゃダメ?」


「流石によくわからないゲームをよくわからないまま遊ぶのは危険だからね。美咲を預かってる手前、無理をしたら私は由香里に怒られてしまうよ」


「そう言うことならはーい。でも、勝手に始めてちゃダメだよ?」


「もちろんさ。いっせーの、で始めるんだよね?」


「うん」


 無邪気に笑う孫が学校に行くのを見送り、私は件のゲームの情報を洗った。

 そしてそんなゲームはこの世に存在していない、全くのデマであると言う情報が多く散見された。


 では、このログイン権は一体どこに繋がっているのか?

 孫が私を騙すためだけに手渡したとは考えられない。


 だからと言って勝手にログインもできないし、新しい情報を探す。


 すると目を引いたのが『プレイヤーに人権のないゲーム』と言う出だしだった。


 そんなゲーム、孫に勧められない!

 でもR規制は特にないし、きっとAWOのような不可思議な体験を人権がないと言ってるだけだろう。


「ふぅん、チュートリアル武器か」


 プレイヤーは最初に複数の武器の選択を強いられる。

 全くなんの説明もないまま、一つ所に集められ、チュートリアル武器一本で世界を開拓することを強いられるらしい。


 死んだらログアウト、ではなくリスポーンポイントでの復活か。

 これはAWOにも見習ってほしいな。

 そう考えると、理不尽さはそこまででもないのかもしれない。


「ステータスの類はなし。称号を付け替えることによって、バフをかける。中にはデメリットを強いられるのもある、か」


 強い力には対価が必要になるってことかな?

 行動に応じてスキルが増えるAWOとは趣が違うか。


「スキルはレイドボスを討伐する事で解放される?」


 それが目を引いた。

 え、最初に渡された武器一本だけで1000人規模の討伐クエストを乗り越えるの? 流石にそれは難易度おかしくない?

 いや、AWOと違って規模はもっと小さい可能性もあるか。

 ゲームシステムからして違うし、そこは要検証。

 いっそ、長井君も巻き込もう。

 彼、そう言うの好き好んでやるし。


「いや、チュートリアル武器という字面に騙されてはいけないな。AWOが武器はおまけだったように、敢えて入手させる何かがあるに違いない」


 むしろプレイヤーの強化があるように、武器も強化できるのかもしれない。そう思うとワクワクした。


「他に情報は……え? いっしょに始めても同じワールドで遊べるとは限らない?」


 流石にこの情報は孫と遊ぶのに不向きにも程があった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ