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歌えない天使  作者: 黒羽
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04 蓮華草

鈴が来て数日。生徒会室はさらににぎやかになった。煩すぎる気もしなくはないが。前も言ったが、このクソ暑い真夏によくあれだけ騒げると関心しきりである。


「鈴!文化祭何したい?」

「えーとねぇ、劇!人形劇したい!」


鈴と音緒がきゃあきゃあ騒いでいる。鈴も来た時のような堅苦しさもなくなり、普通の女の子のように振舞っている。ただ予想外な事があった。それは・・・

鈴が致命的に勉強ができないという事。これは予想外だった。ものすごい。鈴によれば学校には通っていなかったらしく、かけ算わり算ぐらいはできるが小数なんかになるともうさっぱりらしい。でも鈴は物覚えが速いから少し頑張ればすぐに追いつくと思う。・・・鈴がやる気になれば、だが。


鈴は『歌えない』ということに触れようとすると困ったように笑う。きっと問い詰めれば言ってくれるだろうが、誰もそこまではしない。きっといつか言ってくれるだろうし。そうじゃなくても俺は別にかまわない。


「ねーねー蓮!人形劇でもいい?」


音緒がこっちをむいてでかい声で言ってきた。別に案はいいと思うが、その人形は誰がつくんだよ?


「蓮に決まってるじゃん」


音緒のやつ、自分で作るという選択肢はないのか。そういってみれば音緒は「ないよー」と当たり前のように言い放った。ふざけんな。やらないくせに案だすな。


「いいじゃん、蓮。俺も手伝うし」


桜が読んでいた本から顔をあげ、笑顔でいった。ありがたいが、できる事なら桜に裁縫はさせたくない。なぜかといえば、桜が前に裁縫した時仕事が倍になったからな。要するに不器用なのだ。桜にさせるくらいなら、樹か霧亜に頼む。それくらいだ。


「じゃあ私が手伝いますよ」


と、自分の席で書類とにらめっこしていた千優が言う。千優は裁縫上手そうだしな。


「じゃあ音緒もちゃんと手伝うならいいよ」

「えぇーーー!」


音緒が文句をいってきたが俺が「じゃあやらない」といったら、しぶしぶうなずいた。今年の文化祭は去年の生徒会より手の込んだものになりそうだな。この一時が鈴が隠している苦痛が少しでも和らげばいいな。そう思いながら窓を開ける。風はそよそよと生徒会室に入ってくる。真夏でも窓を開けたら涼しいな。クーラーなんか要らないくらい。窓際の隅には誰が持ってきたのか、一輪の蓮華草が飾られていた。

蓮華草の花言葉・・・幸福、私の苦痛を和らげる

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