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小説家になろうラジオ大賞4

三枚のおふだの恩返し

作者: 夜狩仁志

小説家になろうラジオ大賞4 参加作品

テーマ「おふだ」

 俺は大学進学を機に上京。


 大学近くの激安おんぼろアパートを契約し入居。今日がその初日。

 無事に引っ越し作業も終えると、もう夜に。

 俺は布団を敷き眠ることに。


 その真夜中のこと……


「あの……ご就寝のところ、すみません」


 ……ん? 若い女性の声?


 俺以外、誰もいないはずの部屋から女の声が?


 恐る恐る目を細めて開けると、暗闇の中、3枚のおふだが宙を漂っていた。


 その3枚のおふだには見覚えがあった。


 今朝、荷物を整理していた時に発見した、この部屋に貼ってあったものだ。

 ユニットバスの天井裏、クローゼットの中、カーテンの裏に、それぞれ貼られていたおふだだった。


 邪魔臭いんで俺が剥がして捨てたやつだ。


 俺は起き上がって尋ねた。


「誰だよ、こんな夜遅くに! 何の用だってんだ!?」

「はい、私はこの部屋で殺された女の霊でございます」


「あー たしか、大家が言ってたな」


 以前ここに暮らしていた、同じ大学に通っていた女子大生がストーカーに襲われて殺されたとか、なんとか……

 俺は幽霊なんて信じないから気にはしていなかったが、まさか本当にいるとはな。


「おふだのせいで身動きが取れませんでした。こうして剥がしてくれた恩返しに参りました」


 おふだのせいで、封印でもされてたのか?

 それを俺が剥がしたために自由になって、そのお礼ってことか?

 やけに殊勝な幽霊だな。


 女の霊はそう言うと、1枚のおふだが赤く燃えだし、その明かりによって美しい女性の顔が照らし出された。


「おお―! すげー美人!」

「私で良ければ、なんでもいたします」


 こんな美人女子大生が、死んでしまったとは!?

 もったいない!


 次に2枚目のおふだが燃え上がる。すると今度は白く細い両腕が浮かび上がる。


「うおお!! もしかして、なにも着てない!?」

「お望みとあらば、夜のお世話も……」


 マジか!! 高校卒業して一ヶ月も経たずに、童貞も卒業!


 最後の3枚目が燃え上がると、太ももの付け根からつま先の、なまめかしい両足が姿を現す。


「うおお! これはエロい! 抜群のプロポーション! 死ぬにはもったいない身体!」


「さあ、なんなりとお申し付けください」


「じゃあ、手始めに今から……って、あれ? 体は? 胴体はどうしたの?」


 肝心の胸と、あそこが見えないじゃん!?


 相変わらず胴体は暗闇に包まれただけで、不気味に生首と両手両足がゆらゆら揺れているだけだった。


「体は……この先はおふだではなく、おさつが必要となります」


「まさかの課金システム!?」

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